基礎知識

サプリ葉酸より『葉酸含有酵母』が優秀?厚労省はサプリ葉酸を推奨!

厚生労働省が葉酸摂取を推奨

ネットで良い葉酸サプリはないか探していると「葉酸含有酵母」または「酵母葉酸」という言葉を見かけたことがあると思います。

ただ、商品の紹介ページを見ても普通の葉酸とは何が違うのか、酵母に意味はあるのかなど詳しく説明しているものはほとんどありません。

説明と言っても、ほんの1、2行程度ばかりです。メインの葉酸について知りたいのこれでは安心して購入することができませんよね。

そこで今回は「葉酸含有酵母」とは一体何なのか酵母やメリット・デメリットなどについて詳しく解説していきます。

 

葉酸含有酵母の「酵母」ってなに?

葉酸含有酵母の「酵母」とは一体どういうものかご存知でしょうか。酵母とは目に見えない微生物で、カビやキノコも同じ仲間に属する真菌類の1種です。

酵母は地球上のあらゆるところに存在し、生息しています。その数は1000種類以上とも言われ、私たち日本人が慣れ親しんでいる味噌や醤油、酒なども酵母が使われています。

このように酵母は目には見えないだけで、意外と身近なところに存在しているのです。例えばワインだと、酵母がブドウに含まれる糖類を利用することで、炭酸ガスとアルコールが生成されて作られています。

酵母ってどこにでも存在しているんだね!

そうじゃよ。そして炭酸ガスとアルコールが生成される作用を、みんなも聞いたことがある「発酵」と呼ぶのじゃ。次にその発酵について解説するぞ。

発酵とは?

発酵には酵母が出す「酵素」が関係しています。酵素とは酵母と文字は似ていますが、生物である酵母とは違い、たんぱく質を主体とした物質です。

酵素は様々な化学反応を促進させる働きを持っており、その働きで酵母や微生物の多くは発生するエネルギーを利用して増殖します。

増殖した微生物が出すのは酵素と、酵素によって作用された副産物を私たちが利用して発酵食品を作っているのです。

葉酸含有酵母とは?

葉酸含有酵母についてわかりやすく説明をしたいので、まずは「葉酸」の性質について説明をしていきます。

葉酸の性質を知ってもらうことで、その次に解説する葉酸含有酵母がわかりやすくなると思います。

葉酸の性質

葉酸はビタミンB群の1種で、熱に弱く、水に溶けやすい性質をもっています。熱に弱く、水に溶けやすいことからとても体内吸収率が悪くなっています。

そのため、食品から葉酸を摂取しようとしても調理工程の段階で半分以上失ってしまうので吸収出来る量が減ってしまうのです。

さらに葉酸の吸収率の悪さはそれだけではありません。食品に含まれる食事性の葉酸は体内に入ったとしてもそのまま吸収できるわけではありません。

体内に入ると一度吸収しやすいように分解して作り直す必要があるのです。その分解して吸収しやすくするときに、また一部の葉酸が失ってしまうのです。

最終的に吸収出来るのは4分の1(25%)程度だと考えられています。そこで少しでも吸収しやすいように作られたのがサプリに添加された葉酸です。

既に体内で吸収しやすいように変換しておくことで食事性葉酸よりも吸収率が良くなります。その吸収率は85%程度だと考えられています。

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葉酸含有酵母について

葉酸含有酵母とは、吸収率が優れたサプリ添加の葉酸を酵母に取り込ませることで、酵母の出す酵素の働きで葉酸を増殖させたものをいいます。

ここでワンポイントあくまで吸収率が優れているというのは企業のデータです。実際に人に対しての研究などのデータではありません。どこまで信用するかは人によりますが企業もデータを出しているので全く根拠がないわけではありません

なぜ、わざわざサプリ添加の葉酸を酵母に取り込ませるのかというと、葉酸の中には「異性体」と呼ばれる吸収することができないものが生まれます。吸収率が100%ではないのもそれが理由の一つです。

異性体は化学的に生成されたときに生まれるもので、化学の技術が低いレベルであればあるほどたくさん生まれます。

しかし、酵母に異性体ではない葉酸を取り込ませると、異性体がないまま葉酸が増殖されていきます。

ちなみに商品によっては葉酸含有酵母ではなく「葉酸酵母」と説明している場合もあります。どちらも同じなので安心してください。原材料の表記では葉酸含有酵母となっているはずです。

サプリ添加の葉酸にも吸収できないのがあるんだね!

酵母を使うことで吸収出来る葉酸のみを増やしているのじゃ。

葉酸含有酵母にメリットとデメリットはある?

葉酸含有酵母にメリットがあれば、もちろんデメリットも存在しています。これからメリット・デメリットを紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

葉酸含有酵母のメリット

葉酸含有酵母の一番のメリットはやはり「吸収率の高さ」です。

葉酸含有酵母には先述したとおり、吸収できない異性体が含まれていないため、サプリ添加の葉酸葉酸よりも吸収しやすくなっています。

また、吸収率が優れているとその分食べる量も減らすことができます。葉酸の必要摂取量を食品から満たそうとすると吸収率が悪いので、それなりの量を食べないといけません。

葉酸は主に緑黄色野菜に含まれているので、野菜が中心なら肥満になる可能性は低いでしょうから、妊娠を計画している段階なら摂れると思います。

しかし、妊娠初期になるとつわりによって食事が喉を通らないという人がたくさんいます。それでもお腹の中の赤ちゃんのためにも葉酸を摂取しないといけません。

そこで大切になってくるのが吸収率の高さです。吸収率が高ければ単純に食べる量を減らすことができます。

ここでワンポイント食事性葉酸だと吸収率はおよそ25%ほどですが、サプリ添加の葉酸はおよそ85%と3倍ほど違います。つまり量は3分の1に減らせることができます。つわりが酷くても負担を少なくすることができます。

葉酸含有酵母のデメリット

葉酸含有酵母のデメリットは2つあります。それは「コストが高くなる」と「過剰摂取の可能性」の2つです。

コストが高くなる

1つ目の「コストが高くなる」ですが、酵母を使って増殖させているのでその分コストも高くなります。

また、酵母もサプリ添加の葉酸葉酸も品質が悪ければ意味がないので品質の良いものを使いますが、結果、商品の金額も他よりも高くなりがちです。

まれに工場の管理が悪く、酵母や葉酸の品質が悪い葉酸サプリが販売されていることがあります。その場合は工場の管理ができているのか商品ページを確認しましょう。

工場の管理について「GMP認定」など触れていれば安心です。もちろん書いていなくても良い商品はあるかもしれませんが、工場について書いているほうが確実に安全です。

過剰摂取の可能性

2つ目が「過剰摂取の可能性」です。メリットで挙げた吸収率の高さですが、逆に飲みすぎると過剰摂取となってしまう可能性があります。

用法用量を守っていれば問題ありませんが、間違った飲み方を続けると過剰摂取となってしまうかもしれません。

1回飲みすぎたぐらいで過剰摂取による症状が出ることは考えづらいのですが、そのまま続くと赤ちゃんにも影響を及ぼすこともありえます。

吸収率の高さが過剰摂取の原因になってしまうこともあるので、葉酸含有酵母を摂取するのであれば用法用量に特に注意してください。

注意してね!もちろん、どんなサプリメントにも量を守らなければ過剰摂取の危険はあることを覚えておいてください。

葉酸含有酵母を含んだ葉酸サプリはどんなものがある?

ベルタ葉酸サプリ

葉酸含有酵母を含んだ葉酸サプリで有名なものだと「BELTA(ベルタ葉酸サプリ)」があります。

BELTAは自然の酵母にサプリ添加の葉酸(モノグルタミン酸型)を含有させて「酵母葉酸100%」として商品を販売しています。

酵母を使っているのでコストが高くなり、他の葉酸サプリに比べて価格が少し高めの設定になっています。

価格が少し高めになってまでも葉酸含有酵母を選んだほうが良いのか気になる方もいると思います。次に選ぶ基準にしたほうが良いのか解説していきます。

葉酸含有酵母は絶対に必要なのか

葉酸含有酵母を選ぶ基準にする必要はあるのか、ないのかですが結論から言うと私は「必要ない」かなと思っています。

もちろん葉酸含有酵母は吸収率が高く、BELTAだとさらに自然酵母を使っています。酵母には自然と養殖があり、自然のほうが強く品質も良いです。自然と養殖の違いは魚などで考えると分かりやすいと思います。

吸収率が高いというメリットがありながらも、なぜ選ぶ必要はないのかというと吸収率が高いからといって完全に神経管閉鎖障害を予防できるわけではないからです。

あくまでも”リスクを低減する”ためのものです。厚生労働省も葉酸を栄養補助食品から摂取することを推奨していますが、葉酸含有酵母のほうが良いとは言っていません。(参照:厚生労働省「神経管閉鎖障害について」)

また、厚生労働省のリスク低減の情報は栄養補助食品の摂取であって、葉酸含有酵母だとどうなるのかについては書かれていないので、吸収率が高くなったからといってリスクをどこまで低減できるのかは不明です。

もちろん葉酸含有酵母でも神経管閉鎖障害のリスク低減には期待できます。ただ、サプリ添加の葉酸とどこまで違うのか分からないので私は基準にする必要はないと考えています。

葉酸サプリは何ヶ月も飲んでいくものなので高ければそれなりに費用も重なります。

BELTAの価格でも問題なければBELTAで良いと思いますし、少し高いなと感じるのであれば無理せず、別の葉酸サプリでも良いと思います。

そこまで気にする必要はないんだ!

そうじゃよ。無理なく続けることがなによりも大切なのじゃ。

まとめ

以上、葉酸含有酵母について解説しました。

葉酸含有酵母とは酵母に通常の葉酸を取り込ませることで吸収率をさらに高くしたものです。しかし、その分コストが高くなる、過剰摂取になる可能性というデメリットもあります。

葉酸含有酵母はサプリ添加の葉酸よりも優れているかもしれませんが、葉酸サプリの選ぶ基準にはならないだろうと考えています。

厚生労働省が出している情報は栄養補助食品によるもので、葉酸含有酵母ではありません。そのため、葉酸含有酵母がサプリ添加の葉酸と違ってどこまでリスク低減できるのかが分かりません。

食事性葉酸とサプリ添加の葉酸のようにはっきりと吸収率の違いなどが出ていれば、選ぶ基準になったかもしれませんが、それも不明です。

このことから葉酸含有酵母の葉酸サプリを購入しても負担がなければ、選んで良いと思います。正直、家計の負担になるなと思うのであれば、別の葉酸サプリで良いと思います。

葉酸サプリは何ヶ月も続けて飲んでいくものです。途中でやめてしまわないように無理のない葉酸サプリを選びましょう。何よりも続けやすさが大切です。

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  • 葉酸含有酵母とは葉酸の吸収率を高めたもの
  • 酵母を使っている分、通常よりコストが高くなっている
  • 葉酸サプリ選びで葉酸含有酵母は基準にする必要はない
  • 吸収率が高いからといって神経管閉鎖障害のリスクがどこまで低減するのか分からない
  • 厚生労働省が推奨しているのは栄養補助食品であって葉酸含有酵母ではない
  • 余裕があれば葉酸含有酵母を購入しても良いと思うが、無理して購入するほどではない。続けやすさを優先する