時期

10人に1人が低出生体重児!少子高齢化でも増加する理由とは!?

体重の軽い赤ちゃんが増加中?

いきなりですが、みなさんは「低出生体重児」という言葉を知っているでしょうか。低出生体重児とは2500g未満の赤ちゃんのことです。近年、日本は少子高齢化といわれ出生数は減少してきます。

しかし、出生数は減少してきているのに対して、低出生体重児の割合は増加してきています。

赤ちゃんが生まれてくると嬉しいや楽しみなどさまざまな感情が出てくると思いますが、もし赤ちゃんの体重が平均よりも軽いと不安ですよね。そこで、不安を少しでも解消できるように、今回は「低出生体重児」とは何か詳しく解説をしていこうと思います。

低出生体重児とは?未熟児とは違う?

「低出生体重児」とは生まれたときの体重が2500g未満の赤ちゃんのことをいいます。その中でも1500g未満の赤ちゃんは「極低出生体重児」、1000g未満で生まれた赤ちゃんは「超低出生体重児」と細かく分かれているのです。

低出生体重児の多くは妊娠22週~37週未満の早産となった赤ちゃんですが、まれに妊娠期間が37週~42週未満の正期産であっても、体重が軽い赤ちゃんもいます。

ここでワンポイント早産の中でも34週~37週未満の「後期早産」だった場合は、とくに危険な合併症などはなく、退院することも多いです。

しかし、Increased risk of adverse neurological development for late preterm infants.という海外での研究結果だと「妊娠期間が短くなるにつれ、脳性麻痺や発達の遅れなどのリスクが増加する」と報告されています。

体重が軽い子は予定より早く生まれてきた子だけだと思ってた。

正期産であっても体重が軽い子はいるから、順調に出産日に近づいても栄養バランスは大事にするのじゃぞ。

未熟児と低出生体重児は違う?

未熟児とは、文字通り「身体の発育が未熟のまま出生した乳児(生後1歳頃まで)」のことをいいます。

世界保健機関(WHO)は2500g未満の赤ちゃんを未熟児と呼んでいました。しかし、体重やお腹の中にいた期間(在胎週数)に関わらず、身体または臓器の機能が十分に成長していない場合もありました。

そのため、現在では「出生体重」「妊娠期間に対しての身体の大きさ」「出産週数」の3つの定義をつくり、それぞれ細かく分類しています。現在では出生体重が2500g未満の赤ちゃんは未熟児ではなく、低出生体重児と呼ばれています。

未熟児と低出生体重児って同じだと思ってた!

昔は同じ意味じゃったが、最近では別の意味として使われるから覚えておくといいぞ。

低出生体重児の出生割合は増加中?

近年、日本は子供が少なくなり、高齢者の方が増える少子高齢化が進んできています。その結果、出生数が少なくなっているのですが、反対に低出生体重児が増えてきています。

第二次ベビーブームが起きた直後の昭和50年は出生数が約200万人に対して、2500g未満の赤ちゃんの割合は5.1%ほどでした。

しかし、低出生体重児の割合はどんどん増加していき、平成19年には出生数が約100万人に対して、2500g未満の割合は9.6%にまで増加しました。つまり、現在はおよそ10人に1人が低出生体重児だということになります。

赤ちゃんは減っているのに、体重が軽い子は増えているのね…

そうじゃな。今では10人に1人といわれているから他人事ではなくなってきたのじゃ。

低出生体重児の死亡率は?

まず、新生児と周産期の医療が進歩してきているため、過去に比べて低出生体重児の死亡率は激減しているので安心してください。日本を含めた先進国の中でも新生児と乳児の死亡率は最低を維持することができています。

1,000グラム以上の極低出生体重児の新生児死亡率は1980年の20.7%から2000年には3.8%に,500グラム以上の超低出生体重児の新生児死亡率は55.3%から15.2%にまで低下した.さらに,500グラム未満児においても1985年の91.2%から,2000年は62.7%に減少した

1500g未満の「極低出生体重児」の死亡率は1980年だと20.7%だったのですが、2000年には3.8%にまで改善されているのです。

1000g未満の「超低出生体重児」の死亡率は1980年だと55.3%と半分以上だったのですが、2000年には15.2%と約2割まで死亡率が下がりました。

死亡率が下がっていることは、とても良いことだね!

さらに現在では死亡率を下げるだけでなく、できるだけ障害がないことを目指して医療は進歩していってるのじゃ。

低出生体重児となる原因

低出生体重児となる原因はさまざまで「母体側が原因」の場合もあれば「赤ちゃん側に原因」がある場合もあります。

赤ちゃんが原因の場合もあるんだ!

母体に原因がある場合

母体の原因にはさまざまなものがあります。病気が原因のものや、生活習慣が原因のものあります。それぞれ詳しく説明していきます。

  • 母体が痩せすぎている
  • 妊娠高血圧症候群
  • 胎盤早期剥離
  • 妊娠中の喫煙と飲酒
  • 貧血
  • 歯周病

母体が痩せすぎている

以前まで、赤ちゃんは「小さく産んで大きく育てる」というのがよい方法だとされてきました。これは妊娠中の糖尿病や高血圧症候群のリスクを下げるために対策として重視されてきました。

しかし、最近では女性のダイエット志向が高まり、妊娠期に過度な体重制限を行うなどの人が増え、赤ちゃんの発育に必要な栄養が確保できない状態になっています。

その結果、出生体重が2500g未満の低出生体重児というのは増えてきているのです。

ダイエットには気をつけないといけないね。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは「妊娠20週~産後12週」に発症するもので「高血圧を必ず伴った」症状がでてくるのです。

仮に妊娠21週で高血圧、たんぱく尿だった場合は妊娠高血圧だと診断されます。たんぱく尿のみだと「妊娠たんぱく尿」だと診断されます。

妊娠20週までに高血圧だった場合は、もともと高血圧か腎臓に疾患をもっているかもしれないぞ。

高血圧になると赤ちゃんに栄養を送る胎盤が上手く作られなくなります。その結果、赤ちゃんに送ることができる量は制限され、赤ちゃんの発育にも限界が生まれてしまうのです。

日本妊娠高血圧学会「妊娠高血圧症候群Q&A」によると妊娠高血圧症になる原因は残念ながら不明ですが、高年齢(35歳以上)の人、肥満、初産婦、前回の妊娠から5年以上経っている人などに多く見られます。

胎盤早期剥離

胎盤早期剥離とは妊娠20週目以降に突然発症し、胎盤の一部が剥がれていきます。突然発症してから進行するのが早く、対応が遅れると母子ともに命にも関わってきますので、すぐに対応できるように気をつけましょう。

胎盤が剥がれることによって栄養が満足に届かず、発見され次第早産となることがほとんどです。その結果、低出生体重児が誕生します。

重症化すれば命に関わるのですが症状が軽症の場合があり、そのまま早産とならず元気な赤ちゃんを生むこともあります。

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妊娠中の喫煙と飲酒

赤ちゃんとお母さんはおへそで繋がり、血管を通って栄養をもらい赤ちゃんは成長をしていきます。

しかし、お母さんが妊娠中に喫煙や飲酒をしてしまうと、血管が収縮し赤ちゃんに十分な栄養が届かなくなってしまうのです。

喫煙の本数や飲酒の量が増えれば、増えるほど低出生体重児のリスクは増加をしていきますので、禁煙禁酒をしましょう。

タバコは副流煙にも気をつけないといけないね。

貧血

貧血とは血が足らなくなることで、妊婦の3人に1人が貧血だといわれています。多くの人は貧血という自覚症状がなく、健康診断で気づく人がほとんどです。

赤ちゃんが成長し出産時期に近づくにつれ、必要とする血量は増えてきます。しかし、血液が少ないと赤ちゃんに満足な栄養を届けることができず、低出生体重児となってしまいます。

また、血液が少ないと体重が軽いだけでなく、赤ちゃんも貧血になってしまう恐れがあるので「貧血予防」のために鉄を摂取しましょう。

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歯周病

「歯周病」と「低出生体重児」この2つは一見関係なさそうにも思えますが、実は大きく関係しています。

妊娠中はつわりや体のダルさから歯磨きなどが雑になりがちです。実際に口腔衛生会誌「妊娠期の歯周状態と低体重児出産のリスクに関する観察研究」によると「口の中が気になる」かどうかのアンケートに7割の人が気になると答えるほどです。

注意してね!歯磨きなどが十分ではないと虫歯ができやすく歯周病にもなりやすくなります。

歯周病になると、歯周病菌の毒素が子宮内に移動をしていきます。移動をしていくと免疫力が過剰に反応し、ホルモンを出します。

そのホルモンは陣痛を促す作用があり、早産や未熟児の原因にもなってしまうので気をつけてください。

子供が原因だった場合

低出生体重児は母体だけが原因ではなく、子供が原因だった場合もあります。

  • 双胎または多胎妊娠
  • 羊水過多もしくは過少症
  • 先天異常

双胎または多胎妊娠

「双胎」「多胎妊娠」とはいわゆる双子や3つ子以上のことをいいます。多胎妊娠すると子供が複数いる分、子宮も大きくなっていきます。

子宮が大きくなると、早産となり低出生体重児となることがあります。

双子ちゃんとかにそんな危険があったんだ!

羊水過多もしくは過少症

普段のお腹の中の赤ちゃんは羊水によって体が守られ、発育を促す働きがあります。羊水のほとんどは赤ちゃんの尿でできています。

普通なら赤ちゃんが飲み込む量と排出する量はバランスが取れており、過剰に増えるまたは減ることはありません。しかし、飲み込む、排出どちらかのバランスが崩れることによって、羊水過多もしくは過少になることがあります。

過少になると、羊水が足りず赤ちゃんの発育に悪影響を及ぼします。過多になってしまうと子宮が引き伸ばされていき、最終的には早産となってしまいます。

先天異常

子供の染色体に異常が起きるなどして、成長が阻害され低出生体重児となってしまうことがあります。

感染症や合併症などの障害はでる?

低出生体重児に起きる合併症は以下の3つになります。

  • 脳性麻痺
  • 視力障害(片眼・両眼の失明)
  • 聴力障害

3つの中でも特に多いのが「脳性麻痺」です。次に多いのが体重によって違うのですが1000g未満だと「視力障害」、1000~1500gだと「聴力障害」が多くなります。

注意してね!1000g未満の赤ちゃんだと、過去に比べると生存率は大きく高くなりましたが、それでも1000g以上の赤ちゃんと比べると、残念ながら高めです。

知能と身体の発育に影響はある?

お腹の中にいた期間が35~37週の低出生体重児だと、最初は身長や体重が出遅れていますが成長期で一気に追いつき、正期産で生まれた赤ちゃんとほとんど変わりがないといわれています。

学齢期に達すると正期産で生まれた子とIQを比較すると、やや低めな子供が多くなっています。障害などを合併していない6歳の子供でも出生体重が軽ければ軽いほどIQの平均値は低めとなるようです。

注意してね!運動能力では、細かい運動をすることが苦手な子が多いと報告されています。

障害合併をした子供は学習障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの軽度な発達障害の頻度も高いことから、約10%ほどのお子さんは特殊教育を受けています。

厚生労働省の「低体重児出産のメタボリックシンドロームのリスク」によると低出生体重児は大人になってから、高血圧や糖尿病などになることが多く、肥満になりやすいといわれています。

ここでワンポイント肥満を防ぐためには、妊娠期か妊娠前かた食事の栄養バランスが大切だと考えられています。

低出生体重児の予防をするためには

低出生体重児は原因不明の妊娠高血圧症や先天異常だと予防することは難しいのですが、反対に予防することができる原因もあります。

  • 喫煙と飲酒を控える
  • ダイエットしすぎない
  • 貧血にならないように鉄分を摂取する
  • 歯磨きをして歯周病を防ぐ

これら4つのことをするだけで、低出生体重児のリスクを低減することができます。また、これら4つは低出生体重児だけではなく、貧血による早産の予防など他の予防にもつながります。

一気に改善しようとすると出来ないことにストレスが溜まったり、意識しすぎて疲れてしまうかもしれないので、一つ一つ改善していくとストレスと疲労が少なく済むでしょう。

正直、なかなか大変かも…

全てを完璧にする必要はないのじゃぞ。少しでも改善してリスクを低減することが大切なのじゃ。

低出生体重児予防のためには葉酸も摂取したほうがいい?

低出生体重児の予防のためには葉酸も摂取しておいたほうがいいでしょう。原因の一つである貧血の多くは鉄分の不足によるものです。

貧血は、ただ鉄分を吸収するだけではなく葉酸とビタミンB12と一緒に摂ることが最も効果的です。葉酸とビタミンB12は造血作用があるため、貧血改善にはうってつけです。

葉酸は造血作用だけではなく、細胞分裂を活発化させ成長を促す働きもあります。赤ちゃんが正常に育っていくには必要な栄養素だといえます。

貧血の正しい予防法

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貧血とは? 貧血とは血液中のヘモグロビン濃度が低下している状態のことをいいます……
ここでワンポイント造血作用、成長促進の2つの働きから、葉酸は積極的に摂取していったほうがいいでしょう。

まとめ

もし、自分の赤ちゃんが他の赤ちゃんよりも小さく生まれてしまうと、健康的に育っていくのかどうか、どうしても成長が気になってしまうと思います。

気にし続けることによってストレスを溜めてしまうと、反対に赤ちゃんの成長を邪魔してしまうかもしれません。

予防をするためにも、まずはできることから始めていきましょう。もし、低出生体重児だったとしても、成長スピードは人それぞれです。長い目で成長を見守り、成長記録をつけてあげるといいでしょう。