基礎知識

99%の妊婦が間違える?『葉酸(サプリ)』と『葉酸(食事性)』の違い!

食事性葉酸とサプリ添加の葉酸

妊娠中に摂ることを必須としている『葉酸』。葉酸を摂取しようと、調べたときに「食事性葉酸」と「サプリ添加の葉酸」の2種類があって、どちらを選べばいいのか迷う方もいるのではないでしょうか。

一見、食事性の葉酸のほうが安全そうに見えますが、この2種類にはどのような違いがあるのでしょうか。そして、どちらを摂取したらいいのか解説します。また、どちらのほうがより効果的なのかも解説するので、ぜひ、葉酸摂取の参考にしてください。

妊活・妊娠中に
必要な「葉酸」を安心・安全に

※JNFは日本ニュートリション協会のことです。

妊娠前後に摂取すべき葉酸は、ママにも赤ちゃんのためにも欠かせない栄養素。妊娠時は葉酸の他にもビタミンやミネラルが必要になり、厚労省も葉酸サプリを推奨。そんな葉酸サプリを専門家が評価!あなたに合ったものをチョイスしましょう。

葉酸ってどんな栄養素?

「葉酸」と聞くと珍しい栄養素にも思えますが、ビタミンB群の一種です。「ビタミンB9」とも呼ばれ、水に溶けやすくなっています。

葉酸はタンパク質や核酸とともに細胞の生産や再生を助けます。それによって体は健康的に育っていくのです。

また、葉酸はそれ以外にも、「ビタミンB12(シアノコバラミン)」と一緒に摂ると血液が作り出されます。

これらの効果によって、赤ちゃんの神経管閉鎖障害や妊娠時の「貧血」などのリスクを低減することができます。また、妊娠中に摂取し始めても、早産や胎児発育不全などの合併症のリスク低減も報告されています。

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よい効果ばかりの葉酸なんじゃが摂取するのがとても難しく、普段の食事で摂取することを意識しないかぎり不足してしまうのじゃ。

葉酸の推奨されている摂取量は妊娠していないときは「0.2mgから0.3mg」。妊娠時は、そこからさらに0.4mgプラスした「0.6mgから0.7mg」ほど必要です。

厚生労働省の「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、以下のようになっていてクリアしています。

  • 20代 2.4mg
  • 30代 2.5mg
  • 40代 2.6mg

クリアしてはいますが普段の食事だけでは摂取量はギリギリです。妊娠前、妊娠時はここからさらに倍近く摂取しなくてはいけません。

上記の数値は平均値なので細かくいえば人によって違いますが、推奨されている葉酸を摂取しようとしたら単純に倍以上の食事が必要です。

どうして葉酸を摂取するのはむずかしいの?

葉酸は水溶性ビタミンで熱や光に弱いのじゃ。そのため葉酸は、水洗いや加熱調理の段階で半分ほど失ってしまい、吸収するのが難しいのじゃ。

食事性葉酸「ポリグルタミン酸型」とは?

食事性葉酸は別名「ポリグルタミン酸型」とも呼ばれ、ほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜や、みかんなどの柑橘類、レバーの中に含まれています。

摂取量はともかく、食事性葉酸を意識して摂取していこうと思うなら、緑黄色野菜や柑橘類、レバーなどを朝昼晩のご飯で食べていきましょう。

食事性葉酸はとても吸収率が悪く、0.1mg含まれた食品を食べたとしても体内で吸収されるのは約半分ほどです。つまり、吸収できるのは0.05mgほどです。

なぜ、食事性葉酸の吸収率が悪いのかというと食事性葉酸(ポリグルタミン酸型)は体内で吸収されるときにモノグルタミン酸型に変換されて、吸収します。その結果、吸収率が悪くなってしまうのです。

ちなみに最も食事性葉酸が含まれているのは「レバー」です。ただ、通常の量であれば問題ありませんが、食べ過ぎてしまうと簡単に推奨摂取量を超えてしまうので気をつけてください。

食事性葉酸のほうが食べ物と一緒に吸収しやすそうだったのに意外!

葉酸は体内で吸収できるように変換しないと駄目じゃから、どうしても吸収率が落ちてしまうのじゃ

サプリ添加の葉酸「モノグルタミン酸型」とは?

サプリに添加された葉酸は別名「モノグルタミン酸型」とも呼ばれ、食事性葉酸とは違い、摂取方法はサプリメントとなっています。

サプリに添加された葉酸は、食べる前から食事性葉酸(ポリグルタミン酸)を、体で吸収しやすいようにモノグルタミン酸型に変換しています。

本来なら、変換する過程で食事性のポリグルタミン酸は消えていくので、体内で吸収できるのはわずかなんですが、サプリに添加された葉酸はすでに変換しているので、そのまま吸収することができます。

吸収率について厚生労働省も以下のように答えています。

食品中の葉酸(folate)といわゆる栄養補助食品中の葉酸(folic acid)の体内の利用効率について差がある。いわゆる栄養補助食品の葉酸は生体内の利用効率が85パーセントと見積もられているのに対して、食品中の葉酸は代謝過程に様々な段階があるため、利用効率が低下する。幾つかの研究では、食品中の葉酸の利用効率は50パーセント程度と見積もられている。

その、吸収率は食事性葉酸が約50%ほどに対して、サプリに添加された葉酸は85%と35%も差があります。食事性葉酸の場合、調理家庭でさらに50%ほど失っているといわれているので、体内で吸収できているのは25%ほどです。

つまり、吸収率を簡単にまとめると「食事性葉酸25%」「サプリ添加の葉酸85%」なるのじゃ。食事性葉酸とサプリ添加の葉酸はここまで差が開くことを覚えておくのじゃぞ。

サプリに添加された葉酸は危険!?

ネットでは「サプリに添加された葉酸は化学的、または人工的に作られているから危険だ」と意見する人もいます。先に答えをいうと「サプリに添加された葉酸は安全です」。

化学的・人工的に作られたものには解熱剤や鎮痛剤などの医薬品もあります。人工的に作られたものでも安全性は高く、過敏に考える必要性はありません。

よかった。人工的って聞くだけどなんか体に悪そうな気がするけど、そうじゃないんだね。

その通りじゃ。食事性葉酸でもアレルギーや医薬品との飲み合わせ次第では危険なものになってしまうのじゃ。商品の安全な理由を見極めて買うのじゃぞ。

食事性葉酸とサプリ添加の葉酸の違い

食事性葉酸とサプリに添加された葉酸の違いをまとめると以下になります。

  • 食事性葉酸は主に食品から摂取し、サプリ添加の葉酸は主に栄養補助食品から摂取するもの
  • 食事性葉酸の吸収率は25%に対し、サプリ添加の葉酸は85%の吸収率
  • 安全性はどちらも高い
  • 神経管閉鎖障害のリスク低減が確認されているのはサプリ添加の葉酸

サプリに添加された葉酸のほうが優れているような書き方になっていますが、食事性葉酸の摂取も悪くはありません。ただ、赤ちゃんのためを想って葉酸を摂取するなら「サプリ添加の葉酸」をおすすめします。

サプリに添加された葉酸のほうが吸収率が高く、厚生労働省の「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」でも、「食品に含まれる食事性葉酸に効果がないわけではないが、食事から葉酸を摂取してリスクが低減できるというには科学的根拠が十分ではない」というふうに書いています。

このことから、私は「食事性葉酸」を摂取するのをおすすめします。ただ、安全性について説明をしましたが、人によってはどうしても人工的なものが心配だと考える方もいるでしょう。

その場合は無理してサプリに添加された葉酸を飲まず、食事性葉酸のほうを選びましょう。不安に感じたまま飲むのは母子ともに悪影響なので、不安なく続けることのできるほうを選んでください。

厚生労働省はどちらを推奨しているのか

厚生労働省はサプリに添加された葉酸の摂取をおすすめしています。理由は上記の「サプリ添加の葉酸と食事性葉酸の違い」にも書いていますが、科学的根拠が十分なのがサプリ添加の葉酸だからです。

ただし、注意点もあります。サプリ添加の葉酸という吸収率の高さと、サプリメントで簡単に飲めることから、1日1mg(1000μg)を超えた過剰摂取は避けるよう促しているのです。

実際に妊娠初期(5~15週)の母親が1日1mgを超えたサプリメントを過剰摂取した場合、生後18ヶ月までの赤ちゃんに喘息や呼吸器感染症のリスクがわずかに増加すると報告されています。

妊娠初期だけではなく、妊娠後期に葉酸サプリを摂取したとき、生後3歳半あたりの赤ちゃんまで、リスクが上昇すると報告されています。そのため、担当の医師から「これだけ摂取してください」と言われないかぎりは、1日の摂取量は1mgを超えないようにしましょう。

ここでワンポイント普段の食事に加えて用法用量を守って飲めば、過剰摂取になることはほとんどありえませんので安心してください。

食事性葉酸かサプリ添加の葉酸か見分ける方法と注意点

食事性葉酸かサプリ添加の葉酸かどうか見分ける方法ですが、これは100%見分けられる方法ではありませんので、あくまで参考程度にしておいてください。

食事性葉酸かサプリ添加の葉酸かを見分ける方法は原材料の表示を見てください。仮に食事性葉酸だった場合は「レモン」といった食品名が書かれているはずです。

サプリに添加された葉酸はレモンではなく、「ビタミンC」と書かれます。なぜ、これで100%見抜けないのかというと日本の食品は安全ではありますが、食品表示に関しては世界より遅れているからです。

例えば、第19回海外の食品表示―日本の表示との違い―によればビタミンやミネラルは海外では表示することを義務付けられていますが、日本では義務付けられていません。

他にも、食品添加物の物質名の簡略や全食添表示の一括といった表示になっています。昔に比べると、だいぶ追いついてきてはいますがまだまだなところが現状です。

日本の食品表示のこういった事情から100%見分けることはできません。一番分かりやすいのは問い合わせることですね。嘘はつけないですから、気になるところがあればドンドン聞きましょう。

日本って食品に関しては安全だと思っていたから意外だね。

そうじゃな、安全だからこそ、そこまで表記する必要はないと考えているのかもしれん。しかし、世の中には産地を偽装したり、賞味期限切れを提供する悪い業者もいるから、気をつけるのじゃぞ。

葉酸サプリの注意点

葉酸サプリには「ポリグルタミン酸型(食事性葉酸)の葉酸サプリ」と「モノグルタミン酸型(サプリ添加)の葉酸サプリ」の2種類があります。

葉酸サプリには「〇〇〇μgの葉酸を配合!」と表記されています。モノグルタミン酸型の葉酸サプリであれば、その数値どおり摂取することができます。

しかし、ポリグルタミン酸型の葉酸サプリだと、その数値どおりに摂取できない可能性があります。サプリだと調理や水洗いの必要はないので、この段階では葉酸は消えません。

体内に入ると、食事性のため吸収率は低下し50%ほどになります。そのため「葉酸を400μg配合!」とあっても、実際に吸収できているのは「200μg」だけです。

食事性葉酸だと実際に吸収出来るのは半分だと覚えておいて、自分に合いそうな葉酸サプリを選んでください。「用法用量を守ってどれぐらい摂取できるのか」も問い合わせてみてもいいですね。

  • 葉酸には「ポリグルタミン酸型(食事性葉酸)」と「モノグルタミン酸型(サプリ添加の葉酸)」の2種類がある。
  • 食事性葉酸に比べてサプリ添加の葉酸のほうが吸収率が優れている。
  • 食事性葉酸が吸収できるのは約半分ほど。
  • む量を倍に増やせば過剰摂取になるかもしれないので、飲む量を増やすのは絶対にやめておく。

まとめ

以上、サプリ添加の葉酸と食事性葉酸について解説でした。人工的と聞くと少し抵抗を感じますが、葉酸はモノグルタミン酸型(サプリ添加)のほうが厚生労働省からも推奨されているので、摂取するならそちらをおすすめします。

葉酸は赤ちゃんの神経管閉鎖障害や妊娠時の貧血、早産のリスク低減に役立ちます。しかし、他のことがおろそかになっていては意味はありません。

タバコを吸っているなら禁煙、お酒が大好きでも禁酒、同じ食品ばかり摂取せず、色々な食品を摂取して、栄養バランスを考える。このような生活習慣も大切です。

健康な体と健康な赤ちゃんの成長のためにも、葉酸を摂取しつつ、生活習慣を正しましょう。