基礎知識

【不足すると危険】ビタミンB12が妊婦に引き起こす悪影響とは!?

ビタミンB12が不足

妊娠中はお腹の赤ちゃんのことも考えて、さまざまな栄養素をバランスよく取り入れていかないといけません。

今回、解説していく「ビタミンB12」も、その一つの栄養素です。妊娠中となると葉酸に注目が集まりますが、ビタミンB12も摂取することが大切です。

そこで今回は、ビタミンB12の働きや不足するとどうなるか、さらに効率よく摂取するための方法も徹底解説します。

ビタミンB12とは?

ビタミンB12とは水溶性ビタミンの一種で自然界にも存在し、動物性の一部の食品に含まれています。それ以外の含まれていない食品には添加物として添加されており、サプリや薬などに主に添加されているのです。

ビタミンB12は光や空気に弱く、光に当たる場所や空気に触れた状態で置いておくと壊れていきます。そのため、食べ物は光が当たらず、容器に密閉して保存しましょう。

ここでワンポイント水溶性ビタミンですが、熱には強い性質を持っているので保管場所は冷蔵庫にするなどのこだわる必要はありません。

食べ物に含まれているビタミンB12はたんぱく質と結びついているため、2段階に分けて吸収されていきます。

まず、胃酸によってビタミンB12とたんぱく質を離します。その後、胃で分泌された内因子と呼ばれるたんぱく質と結びつことによって吸収されていくのです。

消化をする過程は食べ物によって違い、一緒に食べた他の食べ物からも影響を受けます。そのため、健康な人であっても食べ物からビタミンB12を吸収出来るのは50%ほどとなっています。

食べても半分ほどしか吸収できないんだね…

そうじゃ。2段階に分けて吸収するから、吸収できるのは50%なのじゃ。

ビタミンB12の別名

ビタミンB12は別名が多く、「赤いビタミン」「造血ビタミン」「コバラミン」といった呼ばれ方もあります。赤いビタミンはそのままのとおり、赤い色をしているからです。

造血ビタミンは名前である程度わかると思いますが、ビタミンB12は血を造る働きがあるからそういった呼ばれ方をします。

コバラミンと呼ばれる理由は、ビタミンB12が数種類の形で存在し、”コバルト”というミネラルを含んだ化合物だからです。

ビタミンB12の働き

厚生労働省「水溶性ビタミン・ビタミンB12について」によると、ビタミンB12は血液の中にある赤血球と結びつくことで、酸素を運ぶ役割があるヘモグロビンを作る働きがあります。また、葉酸と一緒に摂ることでお互いに協力しあって、赤血球を作る働きもあるのです。

妊娠中はお腹の中の赤ちゃんの分まで血液を作らないといけず、出産時も大量の血液を必要とします。そのため、妊娠して初めて貧血になる人は多くいるので、貧血予防のためにもビタミンB12と葉酸を積極的に摂っていきましょう。

ビタミンB12は血液を作る以外にも、「神経機能の健康維持」「DNAの生成」「睡眠障害の改善」の3つの働きがあります。

葉酸と摂るといいってのは知ってたけど、他にも働きがあったんだね!

次に働きについて詳しく解説していくから、ちゃんとチェックしておくのじゃぞ。

神経機能の健康維持

1つ目の神経機能の健康維持として、ビタミンB12は神経を健康な状態に戻す働きがあります。脳からの指令を伝える神経機能を健康な状態に戻すために、キレイにしたり、傷ついた場所を復元したりします。

DNAの生成

2つ目の働き、DNAの生成とはビタミンB12は細胞の情報が詰まったDNAの生成を助ける働きがあるのです。DNAは体の設計図のようなもので、その生成を促進させることで細胞が生まれ変わっていき、若々しく健康な体になります。

睡眠障害の改善

Vitamin B12 treatment for sleep-wake rhythm disorders.によると、睡眠障害の一つである覚醒リズム障害に苦しんでいる2人の患者にビタミンB12を投与してみたところ「覚醒リズム障害が改善された。」という結果がでました。

覚醒リズム障害とは

人の体内時計の周期は25時間と地球の周期と1時間ズレています。このズレは日の光に当たったり、運動をしたりするなどの刺激によってズレが修正されていくのです。

しかし、覚醒リズム障害になるとズレが修正されず、毎日眠る時間が30分~60分ずつ遅れていき、不規則な生活となってしまうのじゃ。

ビタミンB12が不足した場合の症状

ビタミンB12を不足すると厚生労働省「統合医療」情報サイト「ビタミンB12」によれば以下の症状が現れます。

  • 疲労が溜まりやすくなる
  • 体力の低下
  • 便秘
  • 食欲不振
  • 体重の減少
  • 悪性貧血
  • 手足のしびれ、チクチク、痛み
  • 記憶力の低下・認知症
  • うつ病・精神錯乱

ビタミンB12を不足するとこれだけの症状が現れる危険性があるのです。不足することによって血液が作られず、神経機能の健康維持、細胞の生まれ変わりができなくなります。

貧血以外にもこんなに症状があるんだね。

そうじゃ、すべての症状が出るわけじゃないがどれも注意が必要じゃ。

赤ちゃんへの影響はないの?

ビタミンB12を不足すると、母体にだけではなく赤ちゃんにまで影響を及ぼすかもしれません。不足すると以下の症状が現れる可能性があります。

  • 発育障害
  • 運動障害
  • 成長遅延
  • 悪性貧血

ビタミンB12は胎盤を通って妊娠中なら赤ちゃん、産後なら母乳の中に移動していきます。しかし、不足していると十分な量が届けられず、発育障害や成長遅延などの症状が現れる危険性もあるのです。

ビタミンB12の必要摂取量は?

ビタミンB12の必要摂取量が気になると思いますが、まず自分がどれだけ摂れているのか気になりますよね。

先にどれだけビタミンB12を摂れているのか説明してから、必要摂取量を説明していくぞ。

国民の平均摂取量について

  • 20歳~29歳 ⇒ 5.1μg
  • 30歳~39歳 ⇒ 5.3μg
  • 40歳~49歳 ⇒ 5.2μg

上記の平均摂取量は厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」を参考にしています。

自分の年齢の平均摂取量を確認したら、次に必要摂取量を確認してみましょう。

必要摂取量はどれぐらい?

こちらも同様に厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」を参考にしています。

18歳~49歳までのビタミンB12の必要摂取量は「2.4μg」です。さらに、妊婦の場合はプラスで「0.4μg」授乳婦の方は「0.8μg」必要になります。

注意してね!平均摂取量と比べてもらうとわかるとおり、十分に摂取することができています。ただ、妊娠中はつわりによる吐き気や腹痛などの症状によって食欲が落ちてしまうので妊娠中は摂ることが難しいかもしれません。

もし、妊娠によって食欲が普段よりも半分以上落ちている方は注意してください。例えば、30代の妊娠中だと3.2μg、ビタミンB12が必要です。

普段は5.3μg摂取できていますが、つわりなどによって食欲が半減すると単純に2.6μg摂取ということになって足りなくなります。

たしかに、つわりで食べられなくなると摂取量が減ってしまうね。

普段よりも食欲が落ちていると感じる人はビタミンB12の摂取を意識したほうがいいと思うぞ。

ビタミンB12を過剰摂取した場合

平均摂取量と必要摂取量を比較すると必要摂取量に対して2倍近く平均的に摂取しています。これでは過剰摂取が心配になる人もいると思います。

ビタミンB12は過剰摂取しても健康に害する科学的根拠がないため、摂取上限を定められていません。そのため、過剰摂取の心配はありません。

ビタミンB12は吸収量が調節されるため、食事から過剰摂取しても吸収されずに排出されていきます。そのため、摂取量の心配はありません。

注意してね!サプリなどから簡単に摂取することもできますが、サプリを過剰摂取すると別の栄養素が体の毒になってしまうこともあるので用法用量は守るようにしましょう。

ビタミンB12を摂れる食品一覧

ビタミンB12を少しでも効率よく摂取できるように、文部科学省「食品成分ランキング」を参考に豊富に含んだ食品を紹介します。

食品名 含有量(100gあたり)
白サケ(めふん) 327.6μg
しじみ(水煮) 81.6μg
甘海苔(干し海苔) 77.4μg
しじみ(生) 68.4μg
カタクチイワシ(田作り) 64.5μg
あさり(水煮) 63.8μg
アユ(天然・内臓・生) 60.3μg
あげまき(生) 59.4μg
赤貝(生) 59.2μg
甘海苔(味付け海苔) 58.1μg

しじみやアユ、あげまきなど「生」と書いていますが、できるだけ火を通すなどの調理はするようにしましょう。

白サケの「めふん」とは背ワタを塩辛で漬けた料理のことです。カタクチイワシの「田作り」とはイワシを乾燥した料理です。別名ごまめとも呼ばれ、おせち料理にも使われます。

「あげまき」とは貝のことで、関東の市場ではマテガイとも呼ばれています。

ビタミンB12を摂るなら葉酸サプリがおすすめ

ビタミンB12は平均摂取量から判断すると必要量を満たすことはできているのですが、妊娠中の症状によって食事が喉を通らない人は摂取したほうがいいかもしれません。

注意してね!ただ、ビタミンB12は食事から摂取するにしても吸収率が50%ほどと低く、たくさん食べないといけません。

食事から摂取するのが理想ですが、そうはいっても食べられない人もいると思います。そこでおすすめなのが葉酸サプリです。

葉酸サプリには葉酸以外にもビタミンB12など妊娠中、産後に必要な栄養素が入っています。また、葉酸と一緒に摂ることで造血作用もあります。

サプリならつわりでも少し我慢するだけで摂取できるのでおすすめです。もし、食事量が減っているなら、葉酸サプリを一度試してみてはいかがでしょうか。

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葉酸サプリなら、ビタミンB12も葉酸も摂取できて一石二鳥ね!

そうじゃ。葉酸は神経管閉鎖障害のリスクも低減できるから摂取しておくといいぞ。

まとめ

以上、ビタミンB12について解説をしました。

ビタミンB12を不足すると貧血や、疲労が溜まりやすくなるなどの症状を招く恐れがあります。また母体だけではなく、発育障害など赤ちゃんにも影響を及ぼします。

妊娠中、産後も普段どおりの食事量を摂れていれば、意識して摂取する必要はありませんが、つわりなどがあって食事量が減っているなら葉酸サプリを頼ってみてはいかがでしょうか。

  • ビタミンB12は妊娠前と変わらない食事量を摂取していれば十分足りている
  • つわりなどで食欲が足りていない場合は葉酸サプリを考える
  • 不足したままだと母体だけではなく、赤ちゃんにまで影響を及ぼす可能性がある
  • 葉酸と一緒に摂取することで、より働きに期待ができる