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無脳症とは?いつわかる?原因や発症する確率や予防法【まとめ】

無脳症とは?いつわかる?原因や発症する確率や予防法【まとめ】

無脳症はTBSのドラマ「コウノドリ」で登場したことによって知った方も多いのではないでしょうか。

無脳症はこれから妊活する人、またはすでに妊娠した妊婦さんには絶対に知っておいてほしい赤ちゃんの病気です。

今回は無脳症とはどのような病気なのか、原因や発症する確率、いつわかるのか、そして具体的な予防法など詳しくまとめました。

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妊娠前後に摂取すべき葉酸は、ママにも赤ちゃんのためにも欠かせない栄養素。妊娠時は葉酸の他にもビタミンやミネラルが必要になり、厚労省も葉酸サプリを推奨。そんな葉酸サプリを専門家が評価!あなたに合ったものをチョイスしましょう。

無脳症とは?

無脳症とは先天的な奇形症の一つで、脳の最大部分である大脳半球が欠損する、または少しだけ残る病気です。頭蓋骨の天蓋部分(頭頂部)が欠損していることを含めて、無頭蓋症(むとうがいしょう)とも呼びます。

この病気を発症している胎児や生まれたばかりの赤ちゃんは「無脳症児」または「無脳児」と呼びます。

無脳症について説明しましたが正確にいうと定義は明確に決まっておりません。一応、解剖学的欠損での定義は以下になります。

「胎児の単奇形のひとつで、脳および頭蓋の完全欠損をみ、頭蓋底は膜で覆われている。脳下垂体の欠損を伴う場合には、副腎の発育も障害される」「頭蓋骨半球、大脳、小脳の欠知を伴う脳の先天的な発育不全。未発達の脳幹と大脳基底核痕跡が見られる」「脳形成過程の異常(神経管の閉鎖不全)による頭蓋骨と大脳の大部分の欠損」

細かく定義はされていませんが、上記のことから大部分の大脳、頭蓋骨が欠損していると無脳症と判断されるようです。

また、無脳症は脳死しているかしていないかの判断が難しく、海外では度々議論が交わされています。

アメリカでは臓器移植するための臓器が不足しており、毎年平均400人もの子供が腎臓の病気を持ち、平均600人の子供が肝不全で死亡しています。また、先天性疾患によって平均600人の乳児(1歳未満の赤ちゃん)が亡くなっているのです。

2歳以下の子供の最大7割が移植可能なドナーが見つかることを待ちながら亡くなっています。そんな状況を少しでも改善するために、無脳症児をドナーにする提案が生まれました。

実際にアメリカの大学では無脳症児の両親から同意を得て、無脳症児から2つの腎臓を取り出し、4歳と7歳の子供に移植し、どちらも成功しました。

しかし、無脳症児と脳死を同じように扱っていいものなのかは今現在も議論されています。

ここでワンポイントちなみに日本では無脳症児を含めた先天奇形症をどのように扱うかの問題は、まだ議論もされていません。日本では法律に則って無脳症児の定義が決められています。詳しくは記事中盤の「無脳症児の定義」で詳しく解説しています。

議論すらないって・・・日本の医学は遅れてるの?

そうではないぞ。中絶や障害を持った新生児の治療や中断に影響を与える可能性があるから、国も慎重になっているだけじゃ。

無脳症の原因は?

無脳症の原因は胎児のときに「神経管閉鎖障害」が起こることによって、脳や脊髄が発達せずに形成不全になります。

無脳症の原因である神経管閉鎖障害がなぜ引き起こされるかは具体的に解明されていません。日本では、以下の3つが主な原因だと考えられています。

  • 妊娠初期における母体の栄養不足
  • 遺伝的要因
  • 環境

とくに無脳症などの先天性奇形はアルコールや喫煙などの生活と遺伝的要因がお互いに影響を及ぼし、発症リスクが高まります。

また、妊娠初期に葉酸をはじめとしたさまざまな栄養の不足や、飲酒や喫煙などをした生活、糖尿病や肥満などさまざまな要因が重なって、神経管閉鎖障害が引き起こされているのです。

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第7章遺伝による病気」によれば、遺伝的要因のみで発症するのは誰にでも起こりえますが、先天性奇形全体で見ると1割~2割ぐらいしか発症していないようです。もし、赤ちゃんが無脳症だったとしても自分自分を責める必要はないのです。

母親からすると自分自身を責めるのは当然かも・・・

たしかに実際にその状況になったらそうなるのが普通かもしれん。だからこそパートナーである夫、そして家族があたたかく見守ってあげることが重要なのじゃよ。

無脳症の症状とは?

(出典:二分頭蓋)

無脳症とは大脳や頭蓋骨が欠損または少しだけ残った状態のため、頭の形が歪んだ形になります。

脳以外は通常どおり成長することができますが、脳がないことによって「眼球が飛び出している」「欠落している」などの症状が現れます。

また、無能症になることによって、口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)と呼ばれる先天異常も同時に発症するリスクがあるのです。

注意してね!口唇口蓋裂とは上唇の一部が裂けていたり、口と鼻が完全に繋がってしまう病気です。この病気によって食べ物が気管に詰まってしまう恐れがあります。気管に詰まってしまうと呼吸困難になり、最悪の場合は窒息死する可能性があります。

無能症児の多くの場合は死産となりますが、出産できたとしても脳がほとんどないため植物状態になることがほとんどです。

発症率について

無脳症は環境的要因か遺伝的要因の可能性があるからか地域や人種によって発症率が変わってきます。

無脳症児をめぐる医学的・倫理的・社会的・法的諸問題」によると出生数が1000人に対して日本では0.64%~0.78%、アメリカ0.72%~0.74%そして、イギリスは3.3%~6.4%とかなり高いです。

日本の年間出生数から単純計算すると、一年間で800人~1000人の子供が無脳症を発症している計算になります。

ここでワンポイント少しデータは古いですが「無脳症の発生率に及ぼす母の出産年齢、出産順位、出産の季節および世帯の職業の影響」によるともっとも発症率が高かったのが5月で、反対にもっとも低かったのは1月でした。男の子に比べて女の子のほうが発症しやすいと報告されています。

無脳症を発症した子供の父親の平均年齢は29.6歳、母親の平均年齢は27歳となっていますが、もっとも発症率が高いのは20歳以下になっています。

20歳以降になると年齢によって発症率はそこまで変わらないので、年齢による焦りは感じなくて大丈夫です。

年齢が若い方が無脳症のリスクがあるのは意外かも・・・

先天性異常といえば「高齢出産」と連想しがちかもしれん。しかし、無脳症のリスクは若い方が高いし、それだけ誰にでも起こりうる病気なのじゃよ。

寿命・生存率

無脳症は生命を維持するうえで重要な役割がある脳幹が欠損している場合が多く、「脳波がある無脳症ドナー」によると無能症児の75%が死産となってしまうようです。

胎児が母体にいるときは、母体が生命維持の役割をしてくれるので生存することができます。しかし、出産によって一度母体に出てしまうと生命の維持が難しくなります。

たとえ出産できたとしても生後一週間を迎えることが困難です。ただし、なかには1年以上生存した子も確認されています。(※後述しています)

集中治療が行われた場合、一週間の生存率が6人中5人に対し、治療がされない場合の一週間の生存率は2%と大幅に下がってしまいます。

このことから無脳症は生存率がかなり低く、母体の安全性から人工妊娠中絶を選択する妊婦さんも少なくありません。

生存率が低いのに、一年以上も生きた子がいるの?

それはこの記事の後半で紹介している3人の無脳症児のことじゃよ。すでに亡くなった子、そして生存率が低いなかで今も一生懸命生きている子供たちが世界中で話題になっておった。この子たちは医者も驚く”奇跡の子”だと、無脳症の子供をもつ親の希望になったはずじゃ。

いつわかる?検査方法は?

神経管閉鎖障害にはここまで解説した無脳症と、発症の大部分を占める二分脊椎があります。どちらも妊娠検診の一種である「エコー検査」によって判明するケースが多いです。

では、エコー検査で無脳症だと判明するのはいつなのか。確実に診断が可能となるのは妊娠10週目以降です。

妊娠4週目から5週目ごろに作られる脳や脊髄がなんらかの理由で異常形成され、神経管閉鎖障害を発症します。「日本薬学会 環境・衛生部会」によれば先天異常の多くは妊娠10週以前に発生しており、とくに中枢神経系は7週未満に発生することがほとんどです。

脳が正常に発達していればエコー検査で頭がはっきりと映ります。しかし、無脳症児はエコー検査時に頭部がはっきり映らなかったり、欠けているような特徴があります。また、暗い影のように見えたりすることもあります。

もちろん医師もエコー検査だけでは確定的な診断をすることはできません。

注意してね!同じ無脳症でも頭蓋骨が欠けてしまう無頭蓋骨症の場合は、妊娠9週目頃から診断が可能です。無頭蓋骨症は胎児が子宮の壁に頭をぶつけて脳が壊れてしまうことがあります。

疑いが確認された場合は母体の血液検査・羊水検査といった検査を行い、性格な診断が求められます。場合によっては妊娠20から25週頃まで成長してから再度診断されるかもしれません。

一方、同じ神経管閉鎖障害でも「二分脊椎」はエコー検査、血液検査、羊水検査によって妊娠16週~20週目頃にわかることが多く、無脳症よりも診断確定まで早いのが特徴です。

個人が経営する産婦人科の場合は、詳しい精密検査のために大学病院などの総合病院で確定診断を受けるように指示されることが多いです。

もし、妊娠から時間がたって診断された場合は、どういう選択肢があるの?

その場合は出産するか人工妊娠中絶かどちらかを選択することになる。日本では妊娠22週目以内なら刑法上認められておるが、無脳症はその特性から22週目以降でも人工妊娠中絶を選択できるように特例が設けられているのじゃよ。

無脳症児の人権と定義

人権や倫理などについては、19世紀以降たびたび議論の場において問題とされてきました。その議論の中心にあったのは脳が死んだ状態、つまり”脳死”です。

無脳症児は「もともと脳がない=脳死」ではないか、といった議論です。

ここでワンポイント無脳症児を脳死と判断し、それを正当化したアメリカを中心とする生命倫理学者は、脳死と判断し臓器を取り出したり、無脳症の赤ちゃんなどを人体実験に利用するなど、非倫理とされた考えが問題とされました。

なぜこのような問題が注目されるのか。

それは無脳症児における「人工妊娠中絶」と関係しているからです。

無脳症児をめぐる医学的・倫理的・社会的・法的諸問題」によるとドイツでは、刑法第218条によって妊娠22週目以内に限り、人工妊娠中絶に対する罰則が科されません。日本もこれは同じです。

ドイツでは無脳症児が生まれてからの生存の低さ(無事に生まれたとしても数時間~数日で亡くなるケースがほとんど)、そして母体の負担が大きいことから、妊娠22週以降での人工妊娠中絶が認められています。その理由に「無脳症児=脳死状態」と定義しています。

なぜなら「妊婦に脳死状態の赤ちゃんの妊娠を継続させるにはあまりにも過酷である」と判断しているからです。ただし、定義としては大切なわが子が無脳症と診断された時点で脳死になり、臨床的に”死んでいる”と判断されます。

つまり、生命それ自体が存在していないのと同じ意味になるのです。

ここの考えが日本では違います。日本は、いくら無脳症だと判断されたとしても死産として届け出ない限りは死亡ではありません。

実際に無脳症児だと診断されて出産される方もいます。もしそれがドイツだとすでに臨床的に死亡だと診断されるのです。

しかし、日本は無脳症児を出産すれば、それは生命の誕生であり、「人」としての人権を有する資格があるとされます。

実際に海外とは倫理的も違いがありますが、どちらも無脳症児と診断された母親のことを考え、人工妊娠中絶をいついかなる時期であろうと選択できるような自由があります。

極めて稀なケースもある

無脳症の場合、約75%は死産となります。そして無事に生まれたしても24時間の生存率は40%、そして48時間になると15%になります。(※集中治療がされない場合)。集中治療をした場合でも生後一週間以上生存するのはかなり困難です。

しかし、極めて稀なケースもいくつかあります。

記憶に新しいのは、米放送局「CNN」をはじめとする複数の海外が2015年に奇跡の子供として報じた米・フロリダ州タベアズに暮らす「ジャクソン・エメット・ブエルちゃん」。

(出典:bostom.com)

彼は無脳症ながら日々強く息抜き、1歳の誕生日を迎えました。

母親のブリタニーさんと父親のブランドンさんによると、妊娠中に無脳症が判明し、人工妊娠中絶を医師から提示されたとのこと。しかし、父親の頭にあるメッセージが舞い降りてきました。それは、

「ぼくのこと、あきらめないで」

医師たちは長くて数日の命だと夫婦に伝えましたが、その予想をはるかに覆すハッピーな結果になったのは間違いないでしょう。

ジャクソン君は現在2歳になり、元気で家族と過ごしています。

(出典:JAXON STRONG-facebook)※2017年7月14日

ジャクソン君以外にも無脳症と診断されながら、必死に生き抜いた子供たちがいます。

ニコラス・コークスくん

(出典:Mail Online)

ニコラス・コークスくんは無脳症で生まれ、3年間生き抜きました。そんなニコラス・コークス君が1歳になったときの母親シーナさんのコメントは、
「彼は人々の人生を変えることができた。奇跡の子なんだよ。ニコラスには、感情の兆しが見え始めている。…彼が微笑む、彼が笑う。そんな彼の笑い声が聞けるなら、それは素晴らしいこと。」

ビトリア・デ・クリストちゃん

ビトリア・デ・クリストちゃんは無脳症ながら2年6ヶ月の間生き抜きました。そんなビトリアちゃんの母親が作ったウェブサイトがあり、そこにこのようなコメントがありました。
ビトリアちゃんは無頭蓋、無脳症でありながら、妊娠中の9か月、そして生まれてからの楽しくすばらしい2年半を私たちとともに過ごしました。

無脳症だと判断されても決して諦めることなく育てていく姿勢は、同じ子をもつ親としてとても尊敬できます。

無脳症でも一生懸命毎日を生きている子がいるんだね。

そうじゃよ。健常な人よりかは生きている期間は短くなるかもしれん。でも親からすると大切なわが子に変わりはないのじゃよ。このように世界に発信しているのは「少しでも同じような境遇の親に希望をもってほしい」と想っているのではないじゃろうか。

治療法・予防は?

現代の医学では無脳症に効果的な治療法は見つかっていません。ほとんどは生まれてくる前に死産となります。

ただし、死産せずに出産する場合はすぐに集中治療を受けるか受けないかで生存期間は変わってくるのじゃ。

集中治療を受けなければ48時間以内に約55%の無脳症児は亡くなってしまいます。集中治療によって1週間程度の生存は見込めますが、ほとんどの場合は数日の間に死亡してしまいます。

一般的にお医者さんは中絶を勧めることはありません。しかし、無脳症は法律で決められている「妊娠22週以降での人工妊娠中絶が唯一認められている先天性異常(先天性奇形症)」です。

無脳症のみ、医者が人工妊娠中絶を勧める病気だとも言われています。

よって効果的な治療法はなく上でご紹介したジャクソン君はじめ、ニコラス君、ビトリアちゃんは医者も驚く、まさに奇跡なのです。

治療法はなくても予防法はある

なぜ神経管に閉鎖障害が起こるのか詳しく解明されていませんが、以下の3つの原因が関係していると言われています。

  • 妊娠期間中の環境
  • 遺伝的要因
  • 葉酸の摂取不足

妊娠期間中の環境

タバコの喫煙・受動喫煙が胎児に対して悪影響を及ぼすリスクがあります。また、アルコールの大量摂取は、胎児に必要な栄養(葉酸)の吸収を妨げるかもしれません。

【警告】妊娠中の喫煙が胎児に与える悪影響が怖すぎる…

タバコはなぜ吸いたくなる?喫煙率はどれくらい? 世の中は妊活から産後まで禁煙す……

遺伝的要因

無脳症は先天奇形症なので、遺伝による発症も考えられます。遺伝子異常が起こることは非常に稀ですが、これは誰にもでも起こりうる要因です。

葉酸の摂取不足

神経管閉鎖障害の発症リスクを抑えるために、知っている人は少ないと思いますが「厚生労働省の報道発表資料」は葉酸の摂取の重要性を呼びかけているのです。

妊娠時は通常240μgに加えて400μg必要だと推奨されています。葉酸は野菜や果物などの食品に多く含まれていますが、1日に350gの野菜を食べるのであれば推奨量の400μgは摂取できます。(※実際にはこれに加えて240μgが必要です)

しかし、厚生労働省が20代~40代の女性に調査した「平成25年国民健康・栄養調査結果」の結果によると、平均242μgとまったく足りていません。

2000年以降、厚生労働省は葉酸摂取の重要性を勧告してきましたが、葉酸不足のリスクが改善されることはありませんでした。

結局のところ、葉酸摂取は食べ物だけでは不十分です。そのためサプリメント(葉酸サプリ)に頼ることになります。しかし、厚生労働省は明確に「葉酸サプリを摂取しましょう!」とは呼びかけませんでした。

一向に葉酸摂取への意識が高まらないなか、日本先天異常学会は葉酸サプリによる「葉酸摂取を呼びかける声明(日本先天異常学会のメッセージ )」をまとめました。(※2017年7月)

実際にその内容はYahoo!のトップニュースでも扱われ、数多くの女性が目にしたのかもしれません。

ここでワンポイントちなみに、サプリメント先進国であるアメリカではすでに通常の食事から摂取に加えて、サプリメント(栄養補助食品)や強化食品による摂取を国が勧告しています。(参照:日本先天異常学会のメッセージ)

たしかに葉酸摂取の大切さを知っている女性って少ないかも・・・。

その通りじゃ。もっと国も積極的に葉酸サプリを推奨すべきだと思う。しかし、これはあくまで私の考えじゃが、国も過剰摂取による問題を考えたのじゃなかろうか。目安を守って飲まない人も多いから、それによって何か問題が起こる不確定さを恐れたのじゃろう。

妊娠初期における葉酸の不足の危険性

ここまで来ればもう明確に答えが出たといっても過言ではありません。

管理人の私はサプリメントアドバイザー(日本ニュートリション協会公認)として、妊娠時の葉酸摂取の重要性をこのサイトで呼びかけてきました。

しかし、厚生労働省やその他の公的な団体が葉酸サプリによる摂取を全面的に推奨していない以上、私も声を大にして葉酸サプリの摂取を呼びかけることができませんでした。

でも今回、日本先天異常学会は葉酸サプリによる「葉酸摂取を呼びかける声明」を出したことによって公的な機関がその重要性を認識し、私もサプリメントの専門家としてここに訪れてくれた女性に葉酸サプリを勧めることができます。

食事による葉酸の予防効果は不明ですが、葉酸サプリメントによる葉酸摂取が、神経管閉鎖障害のリスク低減に有効であることは多くの研究に明らかになっています。

神経管閉鎖障害が妊娠4週~5週目で発生するため、リスク低減のための葉酸摂取は妊娠前からが最適です。ただし、葉酸は神経管閉鎖障害のリスクを下げるだけでなく、妊娠中には欠かせない栄養素です。

基本的に産後まで継続して摂るのが葉酸です。食事からの摂取では推奨量を満たすのは現実的に難しくなっています。だからこそ、葉酸サプリで摂取し、少しでも神経管閉鎖障害の予防しましょう。

葉酸サプリ全評価

【専門家監修】葉酸サプリ徹底採点(2019)全評価を一挙公開!

葉酸サプリ「採点簿2019」全評価を一挙公開! まず、葉酸サプリの評価……
ここでワンポイント2000年、アメリカで行われた研究によると、葉酸摂取による神経管閉鎖障害の発症リスクの低減の効果は認められています。しかし、それは「二分脊椎」についての効果だとされています。無脳症については明らかになっていません。

じゃあ葉酸摂取で無脳症のリスクは低減できないんじゃないの?

たしかにそうじゃよ。でも胎児が神経管閉鎖障害のどちらを発症するかは解明されていないのじゃ。だから葉酸摂取で神経管閉鎖障害自体の発症リスクを抑えることは非常に意味があることなのじゃ。

まとめ

以上、神経管閉鎖障害の一つ「無脳症」の原因や症状、そして予防について解説しました。

無脳症は原因を特定することができず、完全に予防できる方法はありません。

葉酸摂取の重要性は説明しましたが、あくまで葉酸摂取のみで予防できものではありません。ましてや妊娠中の環境も関係します。そして遺伝的要因も関係します。

とても悲しいことですが、わが子が無脳症と診断されることは誰にでもありえるのです。

1万人に1人だと言われていますが、それは出生してからの統計です。無脳症だと診断された75%の子供は人工妊娠中絶などで死産になります。その子たちを含めると、実際の発症率はもっと高くなります。

診断されることはとてもツラいことです。しかし、決して自分や家族を責めないでください。短い人生かもしれませんが、わが子が私たちを選んでお腹の中に宿ってくれたのです。

無脳症児であっても1年、2年と奇跡的に長く生きられる子もいます。しかし、それは「無脳症児を産んで育てることが正義」と言っているわけでありません。

それぞれ夫婦のかたちがあります。実際に出産するのか、人工妊娠中絶を行うのかは夫婦の判断です。どのような決断をしようと、きっと赤ちゃんはママやパパが前向きに新たなスタートを切ってくれることを願っているに違いありません。

悲しい病気だとわかったけど、それでも私たち親を選んで宿ってくれたんだよね。

無脳症だとわかってどのように判断するかはそれぞれの夫婦によって違うはずじゃよ。実際に一年以上も生存した子もいるからの。しっかり相談した上で判断した決断に間違いはないはずじゃ。どのようなかたちになろうと、赤ちゃんは親を応援してくれとるのじゃなかろうか。

  • 無脳症の原因は主に「妊娠中の環境」「遺伝性」「葉酸の摂取不足」の3つだと言われている
  • 無脳症を含め、神経管閉鎖障害のリスク低減のために葉酸摂取を国が呼びかけている
  • 人工妊娠中絶は22週までに行うのが原則だが、無脳症だけは特例としてそれ以降でも行うことができる
  • 無脳症の生存率はかなり低いが、一年以上生きた子供たちもいる