葉酸って聞くと妊娠してから摂取するものだと考えている人はたくさんいるはずです。多くの人は妊娠してから貰う母子手帳で葉酸の存在をはじめて知ります。
実は葉酸は妊娠前から摂取し始めるのが理想なんです。葉酸とは何なのか。なぜ、妊娠前から葉酸が必要なのか。妊娠前の葉酸について解説します。
妊活・妊娠中に
必要な「葉酸」を安心・安全に
※JNFは日本ニュートリション協会のことです。
妊娠前後に摂取すべき葉酸は、ママにも赤ちゃんのためにも欠かせない栄養素。妊娠時は葉酸の他にもビタミンやミネラルが必要になり、厚労省も葉酸サプリを推奨。そんな葉酸サプリを専門家が評価！あなたに合ったものをチョイスしましょう。
妊娠前から摂取を推奨している葉酸とは？
葉酸とは、ほうれんそうやブロッコリーなどの緑黄色野菜や、イチゴやみかんなどの果物、鳥や豚などのレバーに含まれるビタミンの1つです。
葉酸はビタミンB9とも呼ばれ、水や熱に溶けやすい水溶性のビタミンです。葉酸の主な摂取方法は食べ物かサプリメントからとなっています。
葉酸は細胞の生産や再生の助け、体の成長を促進、造血作用など、健康のためにさまざまな働きをしてくれます。それらによって、赤ちゃんの成長や、妊娠時に起こりやすい「貧血」を予防することができるのです。
赤ちゃんの成長や、貧血の予防も大切ですが、葉酸が何よりも注目されているのは『神経管閉鎖障害』のリスクを低減できるからです。
海外で神経管閉鎖障害を持った赤ちゃんの数が増えてきていることから、欧米や中国を中心に、さまざまな国による疫学研究が行われました。その結果、葉酸を摂取することによってリスクの低減ができることがわかりました。
近年、日本でも神経管閉鎖障害を持った赤ちゃんが増えてきていることから、厚生労働省が「葉酸を摂取すべきだ」と呼びかけています。
葉酸を摂取するとこれだけの効果を得ることができるんだ。
葉酸の摂取は非常に大事なことで、神経管閉鎖障害のリスクを低減するためにも、葉酸を摂取するようはじめて厚生労働省が呼びかけたほどなのじゃよ。
葉酸を不足するとどうなるの？
葉酸を不足すると舌炎や口内炎、下痢、食中毒などの症状がでてきます。
舌炎になると舌の表面がサラサラになり、刺激を受けやすい状態になり、刺激を受けると痛みを感じやすく、腫れてきます。その結果、痛みによって食欲が低下し、食べられなくなるかもしれません。
妊娠時は赤ちゃんに栄養などを送るためにも血液はたくさん必要です。葉酸は造血作用があるのですが、不足してしまうと貧血を起こす可能性があります。この貧血は、放っておくと命に関わるので注意してください。(適切な治療を行えば治るので安心してください)
葉酸を不足したまま妊娠すると、神経管閉鎖障害を持った赤ちゃんを出産する確率が高くなります。
また、葉酸は赤ちゃんの成長には欠かすことができません。不足すると、知育の遅れや精神に障害を持ってしまう可能性もあります。
体が健康な状態で生まれたとしても、葉酸を不足してしまうと脳の発育に障害を起こすことが報告されています。
葉酸を不足すると、こんなにも症状がでてくるんですね。
そうじゃよ。葉酸の不足は妊娠前から産後までずっと気をつけるほど大切なものなんじゃ。
葉酸はいつから摂取すべき？
妊娠前から葉酸を摂取しろといわれても「妊娠前なんてどの期間のことをいっているのか分からない」と思います。
厚生労働省は神経管閉鎖障害のリスク低減のため「妊娠を計画している女性は1ヶ月以上前から摂取すべき」だといっています。このことから、妊活を始めたときから葉酸の摂取を意識的に心がけるといいでしょう。
「妊娠したらいいな」ぐらいの感覚でも、葉酸の摂取をおすすめします。葉酸は神経管閉鎖障害以外にも『美肌効果・老化を防ぐ・精神の健康を維持する』など健康にもよいので、飲み始めておいて損はありません。
妊活を始めたときから葉酸の摂取を意識するといいでしょうと言いましたが、お金に余裕のある方は今後の妊活ではなく、健康のために葉酸サプリを飲み始めておくのもいいでしょう。
じゃあ、妊娠してから葉酸を摂取しても遅いの？
遅くはないぞ。妊娠してから摂取してもリスク低減の効果はあったと報告されているのじゃ。それに、葉酸はリスク低減以外にも様々な働きがあるから妊娠しても必要なのじゃ。
妊娠前の必要量はどれぐらい？
通常の成人女性は1日に葉酸を240μg摂ることを推奨されています。厚生労働省の「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」によると、女性の葉酸の1日の平均摂取量は以下になっています。
- 20歳から29歳 ⇒ 234μg
- 30歳から39歳 ⇒ 243μg
- 40歳から49歳 ⇒ 253μg
20代は少し足りていませんがほとんど推奨されている量はクリアできています。しかし、妊娠前、計画の段階ではここからさらに葉酸が必要になります。
妊娠前、計画をしている女性はプラスで1日400μg必要です。合計で1日640μg必要ということになります。つまり、普段から緑黄色野菜や果物を食べて、基準値をクリアしている方でも、今の食事を倍の量に増やさないといけません。
もちろん、緑黄色野菜、果物などばかり食べるのもいけません。他の栄養素もきちんと満たしたうえで、葉酸を摂る必要があります。
葉酸をたくさん摂るのって大変ね・・・。
妊娠前も大変じゃが、妊娠初期に入ると、つわりなどの症状もあるから食べるのがもっと大変になってしまうのじゃ。
葉酸が多く摂れる食品
葉酸普及研究会を参考に葉酸を多く取れる食品を具体的に紹介していきます。全て100gあたりの含有量となっています。
緑黄色野菜
- アスパラガス(茹でたもの) ⇒ 180μg
- ブロッコリー(茹でたもの) ⇒ 120μg
- ほうれんそう(茹でたもの) ⇒ 110μg
様々な種類がある緑黄色野菜のなかでも、茹でた上記3つが特に多く含まれています。好き嫌いがありますが、3つのうち食べるならアスパラガスが多いので、優先して食べるといいでしょう。
果物
- イチゴ ⇒ 90μg
- キウイ ⇒ 36μg
- バナナ ⇒ 25μg
果物のなかでイチゴだけ90μgと量が多いので、イチゴを積極的に食べていきましょう。イチゴなら食べやすいので、デザートかなにかで食べるようにするといいと思いますよ。
魚介類
- 生うに⇒360μg
- さくらえび⇒230μg
- ごまめ⇒230μg
魚介類で多く含まれているのは生うにですが、生うにを頻繁に食べるのはあまり現実的ではないと思います。
2番目に多い、さくらえびのほうがまだ現実的だと思いますので、さくらえびをおすすめします。生うにはお寿司屋さんに行ったときに食べるぐらいの感覚でいいと思います。
レバー(肝臓)
- 子牛(生)⇒1000μg
- にわとり(生)⇒1300μg
レバーは他の食品に比べて圧倒的に多く含まれています。レバーを100g以上食べられば葉酸の摂取量を満たすことはできますが、レバーは他の食品とは違い、食べ過ぎてはいけません。
レバーには葉酸以外にもビタミンAが豊富に含まれています。ビタミンAは目の健康や、病気に対しての免疫力の向上などの効果があるのですが、過剰摂取してしまうと関節の痛みや皮膚の乾燥、食欲不振などの症状がでてきます。
葉酸を意識してレバーを食べて過ぎてしまうと、上記の症状が出てきてしまうので、レバーを食べる量は少なめにしておきましょう。
葉酸をうまく摂る方法
葉酸とは水溶性ビタミンのため、水や光、熱に弱い性質となっています。そのため、水洗いや焼くなどの調理の過程で、半分以上の葉酸は消えていってしまいます。
かろうじて、残っていたとしても体内での吸収効率が悪く、体内に入った半分しか吸収することができません。つまり、上記で紹介した食品を食べたとしても、そのまま摂れるわけではありません。
摂れたとしても、4分の1程度でしょう。実際に以下のことが報告されています。
葉酸経口摂取量は平均293μg/日, 血清濃度は平均8. 1ng/mlであった. 妊婦の過半数は政府が勧告する葉酸量を摂取していなかった. 妊娠可能期の女性は葉酸に富む第3食品群を多く摂り, 妊娠を計画する女性は妊娠4週 前から妊娠12週まで葉酸サプリメント400μg/日の内服が望ましい.
4倍も食べて先ほどの含有量が摂れると考えたら、とても大変ですよね。葉酸のことを考えすぎて、食べて太ってしまっては意味がありません。むしろ肥満は赤ちゃんに対してあまりよくありません。
最も効率よく吸収する方法は水洗いでさっと流して、食べることです。体内で貯めておくことができないので、毎日摂る必要があります。
この食べ方は一部の食品と果物しかできません。そこで、おすすめされているのが栄養補助食品(サプリメント)です。実際に厚生労働省も、吸収率のよさからサプリメントからの摂取が推奨されています。
過剰摂取には要注意
葉酸サプリについて知ってもらう前に、知っておいてもらわないといけないことがあります。それは葉酸の『過剰摂取』です。
独立行政法人国民生活センターによると葉酸を過剰(1mgから10mg)摂取すると以下の症状がでるといわれています。
- 発熱
- 蕁麻疹(じんましん)
- 紅斑(こうはん)
- かゆみ
- 呼吸障害
上記の症状がでないようにするために厚生労働省は「医師の管理下以外は1日に1000μg(1mg)を超えるべきではない」としています。
普段の食事量で平均240μgだったので、そうそう1000μg超えることはないので心配はいりません。ただ、これから紹介するサプリメントは、その性質上簡単に摂ることができます。
食べ過ぎてしまえば、過剰摂取につながります。ちゃんと用法用量を守れば、問題はありませんが、きちんとどれだけ飲んだか管理しながらサプリメントを利用してください。
神経管閉鎖障害を持った子の妊娠歴がある方は、二人目の子供も神経管閉鎖障害になるリスクが高いので、葉酸を摂取することを担当の医師に絶対に説明しましょう。それから医師の管理下のもとで、葉酸を摂取しましょう。
葉酸って、ただ摂りすぎても駄目なのね・・・。
そうじゃ。葉酸は健康に良い働きをしてくれるが、摂りすぎると反対に悪影響になってしまうから気をつけるのじゃぞ。
葉酸はサプリメントから摂るべき
葉酸を摂取する理由はわかったけど、なぜ、サプリメントから摂る必要があるのか、疑問に思う方もいるでしょう。葉酸はうまく摂る方法でも説明しましたが、調理による過程で半分近く失ってしまい、体内での吸収率も半分程度となっています。
しかし、栄養補助食品(サプリメント)から葉酸を摂ると、体内での吸収率は約90％とかなり効率よく吸収することができます。
葉酸サプリを摂取するのはおすすめですが、サプリはどれでもいいというわけではありません。日本ではサプリメントというと薬的なイメージをもたれがちですが、大半は一般食品として流通しています。
医薬品や栄養機能食品だと、様々な厳しい条件をクリアして販売されています。しかし、サプリメントの多くは一般食品のため、成分の安全性が十分に検証されていない、原材料や製品として品質が一貫していないなどの問題があります。
様々なサプリメントが市場に流通していますが、適切なサプリメントが選べるような環境にはまだ整備されていません。そのため、自己判断で購入する必要があります。
ネットでの購入は何よりも情報が大事です。情報が少ないサイトは信用性に欠けます。きちんと情報を載せている商品を購入しましょう。
絶対条件としてサプリに添加されている葉酸(モノグルタミン酸型)を配合した葉酸サプリを選んでください。サプリに添加した葉酸と聞くと少し抵抗あるかもしれませんが、食事性の葉酸(ポリグルミン酸型)に比べて吸収効率に優れ、厚生労働省もサプリ添加の葉酸の摂取を推奨するほどです。
もし選ぶのに迷っているなら、まずは葉酸(モノグルタミン酸型)がどれだけ含まれているか調べてみて、その条件をクリアしているものを最優先に購入してください。
まとめ
以上、妊娠前の葉酸の必要性について解説してみました。葉酸について注意してほしいことがあります。それは、葉酸を摂取しても神経管閉鎖障害を完全に予防することはできないことです。
ただ、完全に予防することはできませんが、発症のリスクを低減できるのは事実なので、未来の赤ちゃんのためにも摂取することをおすすめします。
葉酸だけではなく、食事の栄養バランスも大切です。栄養バランスを整えたうえで、葉酸サプリを摂取すると、きっと健康な赤ちゃんが授かるはずです。
葉酸には美肌効果や老化防止など、女性に良い効果をもたらしてくれるので、妊娠前ではなくとも健康のためと思って気軽に始めてみてはいかがでしょうか。
