辛くて大変なつわりがある妊娠初期を終え、心も体も安定してくる妊娠中期。しかし、いくら安定期に入ったとはいえ、まだまだ油断はできません。
そこで今回は、妊娠中期におきる症状をから検査方法まで解説までしていきます。
妊活・妊娠中に
必要な「葉酸」を安心・安全に
※JNFは日本ニュートリション協会のことです。
妊娠前後に摂取すべき葉酸は、ママにも赤ちゃんのためにも欠かせない栄養素。妊娠時は葉酸の他にもビタミンやミネラルが必要になり、厚労省も葉酸サプリを推奨。そんな葉酸サプリを専門家が評価!あなたに合ったものをチョイスしましょう。
妊娠中期はいつから?
16週から27週(5ヶ月から7ヶ月)の期間を妊娠中期といいます。妊娠初期だけにある、つわりの症状も治り、ほっと一息がつける安定期といえます。
この時期になると、胎動(赤ちゃんの動き)を感じられたり、赤ちゃんの性別が分かりはじめます。
妊娠中期は、お腹の中の赤ちゃんが成長するには欠かせない胎盤も16週ごろに完成し、流産する危険性も初期に比べてグッと下がります。
妊娠初期に比べて中期は気分も落ち着き、睡眠も安定してきますが、妊娠中期にも不快な症状はでてきます。
やっと、落ち着くことができてよかったー。
これから出産に向けて体力が必要になるからゆっくりと体力を回復させるのじゃぞ。
妊娠中期になっても葉酸は必要?
妊娠前~妊娠初期は厚生労働省が「葉酸を摂取するように推奨」していますが、妊娠中期以降も摂り続けるべきか迷う人たくさんいます。
先に結論からいうと妊娠中期になっても「葉酸は必要」です。なぜ、必要かというと厚生労働省の「食事摂取基準」を確認すると妊婦さんは付加量として「240μg」摂ることを推奨しています。
つまり、妊娠前~妊娠初期(+400μg)よりは推奨量が減りますが、妊娠中期になっても摂る必要はあるのです。
なぜ、妊娠中期になっても必要なのかというと、葉酸は「神経管閉鎖障害のリスク低減」だけに注目されがちじゃが、そもそも、細胞の生成や修復、体の成長を促すなどの働きがあるから必要なのじゃ。
その働きによって神経管閉鎖障害のリスクを低減できると考えられているのです。そのため、お腹の中の赤ちゃんの成長のためにも摂り続ける必要があります。
サプリから葉酸を摂る必要はある?
妊娠前~妊娠初期は神経管閉鎖障害のリスクを低減するために、厚生労働省が明確に「サプリなどの健康食品から葉酸を摂りましょう」と推奨しています。
一方、販売会社などのサイトを見ていると妊娠中もサプリを摂ることを勧めてきていますよね。なぜかというと、食事から推奨量の葉酸を摂取するのが難しいからです。
確かに私は正直、食欲があまりない。
つわりが酷かったりして食欲がない方もいるじゃろう。だからサプリは必要なのじゃ。
20代以降の女性の葉酸の平均摂取量は「240μg」です。それに対して厚生労働省は240μgにプラスで240μgの「480μg」摂ることを推奨しています。
単純に今までの倍は食べないといけないことになります。ただ、倍に食べればいいだけではありません。さらに太らないようにもしないといけません。
赤ちゃんとは別で太ってしまうと、赤ちゃんにも悪影響を及ぼしてしまいます。そのため、葉酸を意識しつつも、太らないように食べないといけません。
残念ながらそれは多くの人ができていません。だからこそ、簡単に摂ることができる葉酸サプリが販売されているわけです。
結論としては「食事から摂れる自信がある方は葉酸サプリを摂る必要はない」。反対に「食事から摂れる自信がない方は葉酸サプリを摂ったほうがいい」ということになります。
次に葉酸の必要性の後は妊娠中期に起こる症状や注意点を解説していきます。確認をして妊娠中期に備えてください。
妊娠中期に起こる症状とは?
「現代妊婦によるマイナートラブルの種類、発症率、発生頻度に関する実態調査」を参考に、妊娠中期の201名中約150名(75%)以上が発症した症状を、分けて紹介していきます。
消化器系症状
- 腹部の締め付けを感じる
- 口がすぐに渇く
- 便秘
- 食欲増加
妊娠初期は”つわり”があったため、吐き気の発症率が高く、食欲増加している人は少なかったのですが、中期に入るとつわりが治るため、反対に吐き気はの発症率は低くなり、食欲増加する人が増えてきます。
便秘の症状改善には「水をたくさん飲むといい」「食物繊維をたくさん摂るといい」「ヨーグルトを食べるのがいい」と推奨されていますが「妊産婦の便秘と対処法に関する実態」によると、それらは有効とは言い切れないそうです。
実際に様々な対処法を行ってもほとんどの人が「効果を感じられなかった」と答えています。では、最も効果的なの何かというと”下剤”です。
ただ、妊娠時に下剤を飲むのは心配だと思う方もいると思います。その場合は、便秘になった原因を探り、改善しましょう。
ストレスが原因なのか、生活リズムの乱れが原因なのか、といった人によって原因は違います。無理に便を出そうとすると”切れ痔”になる可能性があるので、無理して出そうとせず、タイミングを見計らって行きましょう。
そこから、決まった時間にトイレに行く習慣を付けると便秘は改善されるでしょう。※下剤を飲むときは絶対にかかりつけの医師に相談をしてから飲んでください。
泌尿器・生殖器系症状
- 頻尿
- おりものの増加
- 性欲の低下
- 下腹部(おへその下辺り)が硬くなり、痛みが伴う。または攣る(つる)
泌尿器・生殖器系症状の中でも特に多いのが「頻尿」妊娠中期の201名中185名(約90%)が頻尿だと答えています。
「妊娠中および出産後における下部尿路症状の推移」によると頻尿の原因は子宮の増大による膀胱の圧迫、腎臓機能の働きが活発など、が原因だと考えられています。
頻尿だからといってトイレを我慢していると排尿痛や尿路結石などの原因にもなるので、我慢せずにトイレに行きましょう。
関節運動器系症状
関節運動器系症状は骨盤痛や腰痛など様々な種類が多くありますが、妊娠中期に最も多く見られるのは”肩こり”です。
肩こりは「肩が重く感じる」「張っている感じがする」など人によって違い、様々な症状がでます。そのまま、放っておくと頭痛や吐き気も伴ってくることがあります。
なぜ、肩こりが起きるのか原因は以下のどれかだと考えられています。原因については日本整形外科学会を参考にしています。
- 長時間、首や背中が張るような姿勢でいる(パソコンをしているときなど)
- 前かがみ、猫背など姿勢が悪い人
- 運動不足
- 精神的なストレス
- なで肩
- ショルダーバッグを使っている
- 冷房
姿勢が悪い人、なで肩は人によりますが、妊娠時は、原因のほとんどが当てはまると思います。症状改善のために原因の反対のことをすること意識するといいでしょう。
長時間、同じ姿勢にならないようにする、蒸しタオルなど温かいもので、肩を温めるなど自分の原因だと思うものから改善していくといいでしょう。
ただ、いくらやってもマシにならず、治る気配がない場合は病気の可能性もあるので、かかりつけの先生に相談をしてから、整形外科医に相談しましょう。
全身性・精神神経系症状
- すぐに疲れる(普段なら問題ない階段や坂を登るのが大変)
- 全身がだるい
- 強い眠気
- イライラ感
妊娠初期に比べると妊娠中期は睡眠も安定してきますが、それでもまだまだ強い眠気を感じる人は多くいます。
不眠に対しては少量の睡眠薬が処方されることもあるのですが、過眠に対しては残念なことに確立された薬物療法はありません。そのため、家族にちゃんと説明をして理解を得ましょう。
女性の睡眠とホルモンでは生活指導として日中に光を浴びて、昼と夜の区別をしっかりとつける。気分転換する。体調の変化に無理をせず、休むときはしっかりと休むなどのアドバイスされます。
皮膚・口腔・感覚器系症状
- 皮膚の乾燥
- 臭いに対して敏感になる
皮膚の乾燥は食生活の偏りや乾燥しやすい冬の時期も考えられますが、妊娠によるホルモンの変化も原因の一つです。
公益財団法人母子衛生研究会によると対処法としては、お風呂に入ったときに肌の水分を保つために皮脂を落とさないようにすることが大切です。洗うときは石鹸をできる限り使用せず、ゴシゴシと洗わないようにしましょう。
お風呂から上がった後は、肌に優しいベビーオイルや保湿系のクリームを使用するといいでしょう。
部屋が乾燥している場合は加湿器を置くと効果的です。食事では塩分の摂取を控え、水分や野菜の摂取をすることも大切です。
上記の方法やそれ以外も試して改善されない場合は皮膚科の医師に診てもらいましょう。
過度な体重の増加に気をつけよう
妊娠によって体重は増加していくものですが、赤ちゃんに少しでも多くの栄養を与えたいという想いからたくさんの食事を取る人もいます。
もちろん、赤ちゃんを想っての行動のため悪気はないじゃろう。しかし、食べ過ぎによって体重は過度に増加し、肥満となってしまうから気をつけるのじゃぞ。
肥満になってしまうと糖尿病などの病気を引き起こし、お腹の赤ちゃんにも影響を及ぼす可能性があります。例えば、先天異常の一つである「二分脊椎症」も肥満が原因の一つだと考えられています。
ただ、妊娠中だと自分が太っているかどうかなんて分かりづらいですよね。また、妊娠によってどれぐらい体重が増加してもいいのかわかりませんよね。
そこで「厚生労働省」が発表している、妊娠前の体型(BMI)の計算を使って、現在どれぐらい増えているのか見てみましょう。
妊娠してから出産までの全期間での推奨体重増加量
- 痩せている:BMI18.5未満
- ふつう:BMI18.5以上、25.0未満
- 肥満:BMI25.0以上
自分のBMIが分かりましたでしょうか。次にそれぞれの推奨体重増加量を書いていきます。自分のところを確認してみてください。
- 痩せている:9kgから12kg
- ふつう:7kgから12kg
- 肥満:医師と相談
妊娠中期から後期までの1週間あたりの推奨増加量
- 痩せている:1週間あたり0.3kgから0.5kg
- ふつう:1週間あたり0.3kgから0.5kg
- 肥満:医師に相談
妊娠中の体重増加は非常に大切です。子供に栄養を少しでも多く送りたい気持ちも分かりますが、肥満になってしまうとお母さん、赤ちゃんどちらも危険になってしまいます。
妊娠中の体重増加は推奨を満たせば健康だともいえるので、安心して推奨の体重増加量を辿りましょう。
妊娠中に運動は必要?
妊娠中期になると安定期に入り、運動をする余裕もでてきます。そうすると運動不足の解消や、出産に向けての体力の維持、肥満の予防といった体の健康維持や、他の妊婦さんとの会話や、買い物などの精神面での健康維持として行われます。
ただ、実際にどれぐらい運動を行ってもいいのか分かりませんよね。また、運動は必要か気になると思います。
昔は妊娠中に運動するのは駄目だと言われてきました。実際に「妊婦スポーツの安全管理指針」1980年代に妊娠中に運動をしたことによって子宮収縮を起こし、早産や低体重の赤ちゃんが生まれてきたと報告されています。
しかし、近年では妊娠中でも週に2.3回程度の有酸素運動を行っても早産になる確率は増えず、健康維持ができるといわれています。
健康な妊婦であれば、1日30分以上の運動を週に数回行っても問題はありません。そのため、妊娠中であっても適度な運動であれば、健康維持に繋がる可能性があります。
ただし、運動を【開始する前】にかかりつけの医師に相談をしてから行いましょう。
妊娠中はどのような運動が安全?
どのような運動をしたらいいのか迷う方もいると思います。「産婦人科診療ガイドライン」によると仰向けを保ち続ける、動かないまま長時間立っていたりするような姿勢は避けたほうがいいようです。
また、スポーツも落下や外傷のリスクがあるものは避けたほうがいいとのこと。
では何が良いかというと一番のおすすめは「散歩」です。厳密に言うと散歩を含めた歩行運動なんですが、ほとんどの人が行うとしたら散歩だと思うので、散歩で話を進めていきます。
散歩であれば、運動が苦手な人でも行うことができます。また、最も手軽で安全な運動だといえます。
もちろんこれはあくまで目安です。無理して5000歩以上歩く必要はありません。めまいや息切れなどの症状が出た場合は即刻中止して医師に診てもらいましょう。
- 長時間仰向けになる、立っている姿勢は避ける。
- 落下や外傷のリスクあるスポーツは避ける。
- おすすめは「散歩」。
- 週2回、1日5000歩ほどが体力・精神面に良い効果を期待できる。
- 無理をしないように運動を行う。異常がでれば即中止する。
安定期でも気をつけるべきこと
妊娠中期の安定期に入ったとしても油断しないようにしましょう。中期には早産、切迫早産する可能性があります。
早産とは妊娠22週から36週6日までの出産のことをいいます。早く生まれきた赤ちゃんは後で重大な病気、障害が発生する可能性があります。
その原因は体質や感染症だと考えられています。以下は日本産科婦人科学会を参考にしています。
- 前置胎盤(胎盤によって子宮口が塞がっている)
- 常位胎盤早期剥離(分娩前に胎盤がはがれてしまう)
- 胎児機能不全(赤ちゃんの元気がない状態)
上記3つの場合は、人工的に早産するかもしれません。ちなみに切迫早産は早産の一歩手前の状態のことをいいます。
早産は全ての妊娠の5%で発生するため、予防をするためにも定期的な健診が必要です。
妊娠中期は高熱に気をつけて!
コロンビア大学の研究者による出生前発熱と自閉症のリスクによれば妊娠中期に高熱を出すと赤ちゃんの自閉症のリスクが上がると発表されました。
全妊娠期間中でも、37.2度以上の熱を出すと自閉症のリスクは34%増加し、妊娠中期になると40%にまで上がると報告されています。
そのため、高熱が出ないように徹底した体調管理を行う必要があります。
妊娠中期に高熱出すとそんなリスクがあったんだ!
そうじゃ。これは海外の研究結果だからあまり知られていないのじゃが、きちんと体調管理するのじゃぞ。
妊娠中期にどのような検査が行われる?
赤ちゃんの発育診断を行うことによって、早産による低体重児の発生を予防、子宮内での赤ちゃんに発育遅延は見られないかなどを目的として行います。
妊娠中期に行う検査は日本人間ドック学会によると以下の3つになります。
- 血液検査(期間内に1回)
- B群溶血性レンサ球菌(期間内に1回)
- 超音波検査(期間内に1回)
血液検査を行うことによって貧血や肝臓の異常、腎臓の異常、糖尿病、感染症などについて分かります。この検査によって自分は健康なのか分かるのでぜひ検査をしましょう。
B群溶血性レンサ球菌
B群溶血性レンサ球菌とは”GBS”とも呼ばれる感染症の一つです。GBSだと別の病気であるギランバレー症候群とも勘違いすることもあるので注意してください。
横浜市衛生研究所によると妊婦に対しては膀胱炎や子宮内膜炎などの子宮感染症、最悪の場合は死産を起こすこともあります。
新生児に対しては髄膜炎や肺炎などの命に関わる病気を引き起こす可能性があります。
GBSは名前のとおり菌のため、検査は菌の培養を行い陽性か陰性か判断します。陰性であれば問題はありません。
超音波検査(エコー検査)
胎児超音波スクリーニングによると超音波検査の安全性ですがマウス実験では脳の神経細胞に影響を与える報告がされています。そのため、できる限り検査時間を短くし、不必要な検査は行わないようになっています。
また、赤ちゃんへの影響を考えて出力は必要最低限に抑えられています。この検査によって赤ちゃんの頭の大きさや、大腿骨の長さ、お腹周りの長さを測定することができます。これによって順調に育っているのか分かります。
検査によって病気の可能性や赤ちゃんの健康状態がわかるので検査はできる限り受けることをおすすめします。