基礎知識

不妊と流産の原因になる『黄体機能不全』症状・治療法【徹底解説】

黄体機能不全とは?

不妊に悩むカップルは年々増加していますが、その原因として黄体機能不全と診断される女性は少なくありません。

女性器にある黄体は妊娠につながる大変重要な役割を果たしている器官です。その機能が落ちてしまえば妊娠しづらくなるのも当然のことで、やっと妊娠にこぎつけたとしても流産となるリスクも高くなってしまいます。

赤ちゃんを望んでいる場合でなかなか妊娠に至らない場合には、少しでも早く原因を突き止めてその治療をスタートさせるのが妊娠への近道といえます。

黄体機能不全という病気についての知識を得るとともに、その原因や治療法についてもしっかり学んでおきましょう。

黄体機能不全とは?どのような症状を引き起こす?

黄体とは、女性ホルモンの一つである黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌する女性特有の器官で、これが十分に機能しなくなった状態を黄体機能不全といいます。

黄体ホルモンは、妊娠しやすい体にしてくれる大変重要なホルモンです。基礎体温を高くするとともに、もう一つの女性ホルモン、エストロゲンが受精卵が着床しやすいよう厚くした子宮内膜をさらに厚くしていきます。

赤ちゃんを育む準備をしてくれるホルモンなので、妊娠を願う女性にとっては極めて重要といって良いでしょう。そのため、黄体ホルモンは「妊娠を助けるホルモン」と呼ばれることもあります。

また、生理前に体がむくんだり食欲が増すことがよくありますが、これも黄体ホルモンの影響です。さらに、閉経が近づくと体に不調が現れるものですが、これも黄体ホルモンの分泌量が激減することが原因なのです。

そして、妊娠を考える年代では、黄体の働きが良くないとホルモンの分泌量が少なくなり、妊娠のための準備ができなくなってしまうことがあります。

黄体は、排卵した際に成熟した卵子が飛び出す、卵胞と呼ばれる袋が変化したものです。黄体となった後は、約14日間にわたって黄体ホルモンを分泌して妊娠に向けてさまざまな準備を行うのです。

黄体機能不全になると、さまざまな症状が引き起こされます。妊娠準備をしたにも関わらず妊娠に至らない場合にやってくるのが生理ですが、黄体が機能していないと生理不順になることがあります。

これは、ホルモンが十分に分泌されないことから基礎体温の高い状態を維持することができず、生理が早まってしまうからです。また、分泌量が多かったり少なかったりと安定しなければ生理不順になってしまいます。

また、黄体ホルモンは子宮内膜を厚くしますが、分泌量が十分でないと維持することができないため早期に剥がれて不正出血に至ることがあります。

さらに、受精卵が着床できるだけの子宮内膜の厚さを作れないと不妊症になりやすくなりますし、着床できたとしても、その後に子宮内膜を維持できず剥がれてしまう状態は不育症といいます。

黄体ホルモンって大切なホルモンなんだね。

そうじゃ。その黄体ホルモンが十分に分泌されなくなると不妊症の原因にもなってしまうのじゃ。

黄体機能不全の3つの原因とは?

黄体機能不全とは、黄体から分泌されるホルモン、プロゲステロンの産生に異常が生じた状態と考えられています。

何はともあれ、黄体機能不全に至ると不妊症や不育症などになりやすくなるので、妊娠を望む女性であれば早めに治療することが必要です。それには、まずは黄体機能不全となる原因を知っておく必要があるでしょう。原因がわかれば治療もスムーズに進みます。

考えられる主な原因としては、高プロラクチン血症、視床下部や下垂体の機能異常、卵巣機能不全などが挙げられます。病院で診断された場合には、これらの治療をすることで妊娠の可能性を高めることができるはずです。

1.高プロラクチン血症

黄体機能不全となる原因の一つが高プロラクチン血症と考えられています。プロラクチンとは、脳下垂体が分泌されるホルモンの一種、乳汁分泌ホルモン(PRL)のことです。

プロラクチンは乳腺を発達させて母乳を出したり産後の子宮回復をサポートする働きがあり、通常は授乳をしている間に大量に分泌され、排卵が起こらなくなります。

これは、出産後の女性には必要なことですが、妊娠を望んでいる女性にとっては正反対の働きをしてくれていることになります。

高プロラクチン血症は血中のプロラクチン濃度が高くなる病気で、妊娠していないにも関わらず母乳が出る、生理不順といった症状が出ることがあります。

注意してね!高プロラクチン血症は、脳下垂体や間脳視床下部に腫瘍ができる他、長期にわたって強いストレスを受けたり、ピルや胃薬、精神安定剤などを服用した場合に発症することがあります。また、甲状腺機能が低下していることも考えられます。

血液検査でプロラクチン値を調べて判定されますが、この値は非常に変動しやすいことが特徴です。

2.視床下部・下垂体の機能異常

高プロラクチン血症も脳下垂体や間脳視床下部の機能異常が原因の一つとして考えられますが、これらの機能異常は他のホルモンの分泌にも大きな影響を与えます。

脳の中枢である脳下垂体や間脳視床下部は、卵巣のさまざまな機能をコントロールするという大変重要や役割を担っています。

間脳視床下部から分泌されたホルモンが脳下垂体を刺激すると、脳下垂体から性腺刺激ホルモンの卵胞刺激ホルモン(FSH)、そして黄体形成ホルモン(LH)が分泌され、その結果、卵巣から女性ホルモンが分泌されます。

そう聞くと、脳下垂体や間脳視床下部の働きがいかに重要かがわかるのではないでしょうか。

脳下垂体や間脳視床下部から性周期に合わせて適切なホルモン分泌が行われれば、その後のホルモン分泌や排卵も正常に行われ、やっと妊娠に至ることができます。しかし、大元であるこの2つの器官の機能がうまく働かないと、黄体機能不全となることがあります。

ここでワンポイント視床下部や下垂体の機能異常は、血液検査で性腺刺激ホルモンの値を調べることで判定されます。

治療としては、腫瘍が認められた場合には外科的切除が行われることもあり、それ以外には、ホルモン療法などが行われます。

3.卵巣機能不全

また、黄体機能不全は卵巣自体の機能が低下していることでも発症すると考えられています。例え間脳視床下部や下垂体に何の異常もなくホルモンが適切に分泌されていても、肝心の卵巣の機能が落ちていれば、卵胞から黄体への移行がスムーズにいかなくなることがあるのです。

卵巣機能不全となる原因の多くは不明とされていますが、糖尿病などの病気の他、タバコ、長期にわたる過度のストレスなどが原因の一つとして挙げられています。また、間脳視床下部や下垂体に障害が起こることで発症することもあるといわれています。

他にも、若い女性が行いがちな過激なダイエットが卵巣機能不全を招くことは珍しくありません。これは、卵巣などの生殖機能は生命の維持に直接関わっていないことから、栄養が極端に不足すれば心臓や肺への供給が優先されてしまうからです。

注意してね!無月経(90日以上月経が来ない)や月経不順といった症状があると卵巣機能不全の可能性が出てきます。また、月経が1週間以上続いたり39日以上間隔が開く場合もその疑いが出てきます。

妊娠を希望している場合には早めにお医者さまに診ていただくようにしましょう。病院では、血液採取をして性腺刺激ホルモンの血中濃度から診断されます。

黄体機能不全の診断基準と検査方法

黄体機能不全になると高い体温を維持できなくなるので、基礎体温にもそれが現れてきます。自分でチェックして低温期と高温期がはっきりしないようであればその可能性が高くなるので、妊娠を望んでいる場合にはできるだけ早く病院を受診するようにしましょう。

黄体機能不全であるかどうかは、病院で検査を受けて診断してもらう必要があります。

問診や内診、血液検査などを受けた後に診断が下されますが、その基準となるのは、基礎体温の他、基礎体温の高温期と月経周期との兼ね合い、また、黄体期中期の血中黄体ホルモン(プロゲステロン)値などです。

基礎体温については、高温期が10日未満であること、低温期との差が0.3℃未満であること、また、高温期の途中なのに低温になる、といった症状が基準となります。また、高温期と月経周期との間に3日以上のずれが生じている場合も黄体機能不全の疑いが出てきます。

さらに、黄体期中期の血中プロゲステロン値は10mg/ml未満であることが基準となります。そして内診によって子宮内膜が8mm以下であった場合も黄体機能不全が疑われます。(参照:不育症の病態解明と治療の展望)

病院に行くタイミングですが、血中プロゲステロン値は黄体期中期(排卵日から約1週間前後)に測る必要があるので、この時期に合うように行くのがベストです。

黄体期中期は、通常、基礎体温が0.3度以上高くなる高温期と思えばわかりやすいはずです。しかし、排卵が起こっていれば差ができるのですが、ほとんど差がないといった場合には月経周期で予想するようにします。

例えば28日周期で生理がくるという人であれば、生理が来てから20日程度経ったところで病院に行くとちょうど良いということになります。

また、問診では、生理中の状態や出血量、期間、周期などについて尋ねられるので、日頃から記録してまとめておくと良いでしょう。

病院に行って診てもらわないとわからないの?

黄体機能不全は高い体温を維持できなくなるから、基礎体温がわかっていればわかるかもしれんが、病院に診てもらうのが一番いいじゃろう。

黄体機能不全の治療法(妊娠希望の女性)

妊娠を希望している女性に行われる黄体機能不全の治療法はいくつかあります。黄体形成ホルモンや黄体ホルモンそのものを補充するという方法もありますが、排卵誘発法が採用されるケースも多くあります。

また、黄体機能不全の原因が高プロラクチン血症である場合や、腫瘍が認められた場合など、原因によっても治療法はさまざまです。

どの治療法を選択するかによって、費用や期間、痛みなどが異なるので、お医者さまと十分に話し合って決めていくことが大切です。

卵巣からの黄体ホルモンの分泌を促す注射

3つ目に挙げられるのは黄体ホルモンを補う注射で、胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)などが使われます。卵巣に刺激を与えることで卵胞ホルモンと黄体ホルモンの分泌量を増やすことが目的です。その結果、高温期を維持して排卵が誘発されることが期待できます。

胎盤性性腺刺激ホルモン(hCG)の注射は排卵誘発剤の代表ともいえるもので、不妊治療には非常によく用いられる方法です。しかし、筋肉注射であることから人によってはかなり強い痛みを伴うことが特徴です。

針が太目で液体も粘性があるので、挿入時にも注入時にも強い痛みを伴いがちなので、心身ともに負担となることが予想されます。

そのため、この注射は月に数回打つ必要があるのですが、腕やお尻など場所を変えて打つというのも良い方法でしょう。クリニックに通うのは、排卵期や排卵後のタイミングをチェックしながら、排卵前後に実施されます。

他にも、吐き気や頭痛、腹痛、胸のハリといった副作用が生じることもあります。しかし、排卵誘発でもっとも注意しておきたいのは多胎妊娠となるケースがあることです。

赤ちゃんはもちろんのこと、母体の安全や出産後の育児などさまざまな面に影響が出てくることから、医師とよく話しあっておくようにしましょう。

子宮の内膜に働きかける貼付剤

貼付剤は、子宮内膜をフカフカにして妊娠しやすい状態に導いてくれるもので、エストラーナテープ・メノエイドコンビパッチなどがよく用いられます。

これにより黄体機能そのものが改善されるわけではありませんが、黄体ホルモンは受精卵が着床しやすいように厚くなった子宮内膜をより良い状態にする働きがあるので、黄体の機能が弱まっている時に使用すると妊娠のサポートになります。

使い方は、1日おきに下腹部やお尻の皮膚に直接テープを貼り付けるだけでOKです。テープには女性ホルモンの一種のエストロゲンの主要成分、エストラジオールが含まれており、貼り付けることで成分が血液に浸透していきます。

エストロゲンは通常、成熟した卵胞から分泌され、子宮内膜を厚くする作用があります。このお薬は、更年期障害や更年期に見られる骨粗しょう症の治療にもよく用いられています。

ここでワンポイントしかし、貼付剤であることから皮膚の弱い人は注意が必要で、かぶれないように少しずつ位置をずらして貼ることがポイントです。また、腰や背中に貼ると血中のホルモン濃度が高くなり過ぎるので、ずらす際には十分な注意が必要です。

副作用は、貼り付けた部分のかゆみの他、胸のハリや不正出血などが挙げられます。

ドーパミン作動薬(高プロラクチン血症の場合)

高プロラクチン血症が原因で黄体機能不全の疑いありと診断される人は少なくありません。このようなケースでは高プロラクチン血症の治療がすすめられますが、特に腫瘍が認められない場合には、ドーパミン作動薬を用いた治療などが行われます。

血中のプロラクチンの数値が正常の範囲内になるまで薬の投与が続けられ、範囲内に落ち着いたところで使用を中止します。そして、その後1か月を目途に数値が保たれるようであれば経過観察となります。

しかし、腫瘍によって高プロラクチン血症を発症するケースは全体の3分の1ほどなので、原因としてはかなり多いということができます。

また、その多くは下垂体線種と呼ばれるもので20代女性に多く見られ、良性の腫瘍であることがほとんどです。

治療法としては、腫瘍の大きさや部位によって外科手術が必要となることがあります。しかし、最近では鼻から内視鏡を入れた手術など、体へのダメージが少ない方法も選択できるので、短期間の入院で治療を終了できることが多くなっています。

下垂体腫瘍や甲状腺機能低下症、薬剤の服用に伴う高プロラクチン血症の場合、それぞれの原因に応じた治療が必要になります。

私生活で黄体機能不全を改善する方法は?

病院やクリニックではさまざまな方法があるわけですが、よりスムーズに黄体機能不全を改善するには私生活でも工夫できることがあります。

病院で治療するとなれば時間もお金もかかりますし、精神的にも負担に感じることが多くなることでしょう。

そこで、食べものや漢方、嗜好品などに気をつけることでよりスムーズに改善されれば心身の負担を大きく軽減することができます。

もちろん早期の妊娠にもつながるわけですし、健康になるためにも非常に有効なことばかりなので、是非実践してみることをおすすめします。

「ビタミンEの摂取」

黄体機能不全は黄体の血流が悪くなっていると考えられるので、ビタミンEを積極的に摂取することで改善が期待できます。ビタミンEには血流改善作用がある上に、非常に強力な抗酸化作用も持っています。

ある試験で黄体機能不全に悩む14人の女性に摂取を試みたところ、13人の黄体の血流が良くなって血中の黄体ホルモン(プロゲステロン)値も増加したという結果が出ています。(参照:生殖機能調節における活性酸素の役割)

もちろん、黄体だけではなく全身の血行も良くしてくれるので、女性の多くが悩んでいる冷え性の改善にも効果的です。

また、強力な抗酸化作用は血管や細胞などの老化を防いでくれることから「若返りのビタミン」という別名を持つほどで、女性にとっては非常にうれしい栄養素といえるのではないでしょうか。

さらに、ビタミンEは脳下垂体へ働きかけることで女性ホルモンの分泌をサポートする作用も期待できます。そのため、子宮や卵巣が正常に機能するためにはとても大切な栄養素だともいえるでしょう。

ここでワンポイントビタミンEは、小松菜やほうれん草、アスパラガス、かぼちゃ、アボカド、たらこ、アーモンド、落花生、うなぎ、納豆などに豊富に含まれています。

また、1日に必要なビタミンEは8~9mgといわれています。これは、アーモンドなら21粒、アボカドなら2個、ほうれん草なら2束分に相当します。

「ビタミンCの摂取」

ビタミンCは、ビタミンEと一緒に摂取するとさらなる効果が期待できるとされています。

ビタミンC単独では黄体機能不全の改善に有効という確証はありませんが、ビタミンEのパワーを大きくするという意味では積極的に摂りたい栄養素といえます。

ここでワンポイントビタミンCとビタミンEには、強い相乗効果が期待できるのです。

とはいえ、ビタミンCには体の免疫力を高めたりストレスに強くなるという効果もあるので、単独でも摂る意義があるといって良いでしょう。

不足すれば心身の不調につながってしまいますし、妊娠中は精神的に不安定になりやすいので意識的に摂るように心掛けたいものです。

ビタミンCは水溶性なので、一度にまとめて摂ると余分な分は排せつされてしまいます。そのため、特にサプリメントを利用する際には何度かに分けてこまめに摂取するようにしましょう。

ビタミンCを豊富に含んでいる食べものといえばフルーツです。キウイフルーツやいちご、アセロラ、グレープフルーツなどに特に多く、パプリカやにがうり、ピーマン、ブロッコリーなどの緑黄色野菜にも含まれています。

ビタミンCは1日に100mgは摂取したいところですが、これはキウイフルーツなら1.5個、ピーマンも1.5個分に相当します。

「メラトニンの摂取」

メラトニンといえばスムーズな入眠に欠かせないホルモンとして知られています。昼間の時間帯にはセロトニンというホルモンが分泌されているのですが、暗い環境になるとセロトニンを材料としてメラトニンが作られて入眠を促します。

そして、再び明るくなる分泌がストップして起きるよう促すのがメラトニンの働きなのです。

しかし、メラトニンの働きはそれだけではなく、実は不妊にも深く関わっています。メラトニンは松果体と呼ばれる脳の内分泌器から分泌されるのですが、卵胞液中にも高濃度に存在しています。

メラトニンには活性酸素を消去する抗酸化作用があり、排卵の途中で発生する活性酸素を消去してくれるので、卵胞の保護に役立っているのではないかと考えられています。

活性酸素は卵胞が成熟するのを抑制してしまうので、メラトニンを摂取すれば、卵胞が変化した後の姿である黄体の機能改善につながり、それが妊娠率を向上させるというわけです。

ある研究で、卵胞の働きに問題のある女性を対象に、メラトニンを摂取したグループと摂取していないグループとに分けて調査したところ、両者では妊娠率に2倍もの差ができたのだといいます。

ここでワンポイント起きたら朝日を浴びるとメラトニン分泌量が増加しますし、肉、魚、ナッツなどに含まれるトリプトファンからセロトニンが生成されます。

「L-アルギニンの摂取」

L-アルギニンは体内で合成される非必須アミノ酸の一つです。しかし、乳幼児期などは特に多く必要としていることから、合成量が間に合わなくなることも多く、準必須アミノ酸と呼ばれることもあります。

また、L-アルギニンは血行を良くする一酸化炭素の前駆体なので、十分に摂取しておくことで黄体の血行も改善することが期待できます。

黄体機能不全になると、黄体の血行が悪くなっている人が多いので、L-アルギニンの摂取は黄体機能不全の改善につながると考えられています。もちろん、摂取することで血中プロゲステロン値の改善も期待できます。

ある研究によれば、黄体機能不全の女性にL-アルギニンを1日6g投与したところ、黄体の血流が改善された確率は100%、血中プロゲステロン値が改善された確率は70%であったとされています。

ここでワンポイントL-アルギニンは、カッテージチーズや牛乳、ヨーグルトといった乳製品の他、牛肉や豚肉、鶏肉といった肉類全般、また、マグロやロブスターといった魚介類に含まれています。

ごく一般的な食事をしていればこれらの食品はよく口にするものといえますが、意識的に多く摂取しておくと安心です。

「温経湯(うんけいとう)」

漢方によって黄体機能不全の改善が期待できるのは、温経湯(うんけいとう)が挙げられるでしょう。漢方を扱う病院でも処方してもらえることがありますが、医薬品とは違うので効果がすぐに現れるわけではありません。

お医者さまの指示にしたがって摂取することで、少しずつ改善がみられるはずです。

また、温経湯の他にも、四物湯(しもつとう)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、参茸補血丸(さんじょうほけつがん)なども改善が期待できます。

これらの漢方はたいてい黄体期に摂取するのですが、全身の血行を促進する作用を持っているので体がじんわりと温まってくるのを実感できることでしょう。

さらに、これらの漢方に逍遥丸(しょうようがん)をブラスする場合も多いようですが、体質などさまざまな条件によって向き不向きがあるので、あらかじめ専門家に相談してから選んでもらうことが必要です。

注意してね!正しく飲まなければ逆効果になることもあるので十分に気をつけましょう。

漢方の世界では、身体の働きや機能をサポートするのが漢方の役割と考えられており、これを「補腎」と呼んでいます。全身の血行を良くして生命力をアップさせ、それが妊娠につながっていくというのが温経湯を使った治療です。

「タバコやお酒を控える」

黄体機能不全の改善に、タバコやお酒を控えることはごく基本的なことです。日常的な習慣になっている人には、これらを完全に断つのは難しいことではありますが、その後の自分の健康のためにも、これを機に禁煙・禁酒をはじめてみてはいかがでしょうか。

妊娠を望んでいるのなら、禁煙・禁酒、バランスの良い食生活、体をあたためるというのは、最初に実践したい事柄です。それでも妊娠しない場合に、不妊治療を考えるというのが理想といえるでしょう。

タバコにはニコチンをはじめとしたさまざまな有毒化学物質が含まれています。これらは黄体ホルモンの正常な産生を阻害してしまいますし、卵子の遺伝子に異常をきたす恐れがあります。

その結果、早期閉経に陥ることもあるほどなので、禁煙は妊娠への第一歩ということができます。

さらに、妊娠に至ったとしても喫煙していると流産してしまうリスクが高まりますし、体外受精でも妊娠率は20%も下がるといわれています。

また、治療でさまざまな薬を服用することになればアルコールとの併用は危険なので、あらかじめ禁酒しておくことも安全な早期妊娠につながります。

タバコもお酒も胎児への悪影響は計り知れないものがあるので、健康な赤ちゃんを産むためには禁煙・禁酒が大原則といえるのです。

まとめ

晩婚化が進むにつれて妊娠しづらくなっている昨今では、健康な赤ちゃんを産むためのさまざまな知識が必要となります。

年を追うごとにさらに妊娠は難しくなってしまうのが現実なので、赤ちゃんを望んでいるカップルは早めの対策をスタートさせることがとても重要となってきます。

不妊や流産の原因となっているのは、黄体機能不全以外にもさまざまなことが考えられますが、いずれにしてもきちんとした食生活というのは基本となるものです。

日々バランスの良い食事を整え、体を冷やさないようにして規則正しい生活を送ることは、心身ともに健康をキープする上で重要と言えるでしょう。

妊娠や出産に至るまでには相当な苦労があるケースが多くなっていますが、決してそれがゴールではありません。その後には長い子育てが待っているのです。せっかく授かった子供の健やかな成長のためにも、妊活中にお母さんとしての第一歩を踏み出してみましょう。

  • 黄体機能不全とは不妊症や流産の原因にもなる
  • 黄体機能ホルモンは病院で診てもらわないとわからない
  • ビタミンE・ビタミンC・メラトニン・アルギニン・温経湯が改善に期待できる
  • タバコやお酒を控えることも大切