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妊婦2人に1人がなる”つわり”とは?葉酸で軽減できるかも【対処法】

妊婦2人に1人がなる"つわり"とは?葉酸で軽減できるかも【対処法】

妊娠したときに最初に現れる体の変化が”つわり”です。つわりの酷さは人によって違い、少し気持ち悪い程度から何も喉を通らなくなる人までいます。

そんなつわりに対して「葉酸を摂取することが効果的」だと聞いたことがある方もいるでしょう。ただ、本当に効果的か少し疑わしいですよね。

そこで今回は、葉酸は赤ちゃんの発育には欠かせないものですがつわりにも効果的なのか、葉酸とつわりの関係性について解説していきます。

妊活・妊娠中に
必要な「葉酸」を安心・安全に

※JNFは日本ニュートリション協会のことです。

妊娠前後に摂取すべき葉酸は、ママにも赤ちゃんのためにも欠かせない栄養素。妊娠時は葉酸の他にもビタミンやミネラルが必要になり、厚労省も葉酸サプリを推奨。そんな葉酸サプリを専門家が評価!あなたに合ったものをチョイスしましょう。

つわりとは?何が原因で起こる?

つわりってそういえば何で起きるんだろう?

妊娠悪阻にまつわる諸問題によると、つわりとは妊娠5~6週頃から起こる体の変化のことで、全妊婦の50%~80%が発症するといわれています。妊娠5~6週頃の赤ちゃんは心臓や呼吸器などが形成される時期で、心拍を確認できる時期です。

まれに、敏感な人なら妊娠が成立して間もない妊娠4週目あたりからつわりが起きる人もいます。つわりが妊娠9週目に初めて起こり、熱や頭痛などの症状がでたとき注意してください。他の病気が存在しているかもしれません。

通常、つわりは妊娠5~6週頃から始まり、8週目あたりからつわりによる症状のピークを迎えます。その後早い人だと妊娠12週頃から、遅い人だと妊娠16週につわりによる症状が落ち着いてきます。

注意してね!妊娠9週目にして初めてつわりと熱、頭痛などの症状がでてきたときは、すぐに担当の先生に相談をしましょう。

つわりが起こる原因

つわりが起こる原因は医療が発達している現在でもわかっておらず、不明とされているのです。

現段階では「妊娠による急激なホルモン変化」「精神的ストレスが原因」などが原因だと考えられています。

精神的ストレスは赤ちゃんができることによる不安や周りの環境の変化などがあります。つわりを酷くしている原因がストレスかもしれません。

つわりの原因が「妊娠による急激なホルモンの変化」だった場合、軽減することは難しいのですが、精神的ストレスはある程度取り除くようにしましょう。

赤ちゃんをきちんと育てられるか不安なら、今後こういう子に育ってほしいなど明るい話題を想像したり、妊娠中はどのようなことに気をつけるのか調べて心の準備をするなどのことをするとストレスは軽減されるでしょう。

つわりがないって人もいるけど、何が違うの?

つわりがない人の原因は解明されていないのじゃ。医学的根拠はないが胃腸が強い、ストレスが溜まりにくい人はつわりが比較的軽いのではないかと考えられているのじゃ。

つわりを軽減できる薬はある?

つわりは上記でも説明しましたが、原因は分かっていません。そのため”つわり”を軽減させる薬というのは存在しません。

基本的に病院などで処方される薬は吐き気を抑えるための薬です。状況によってはストレスを軽減させるための安定剤や、漢方薬の場合もあります。

「胃薬や酔い止め」は効果的という話を聞いたことがあるじゃろう。どちらもドラッグストアなどで手軽に購入することができるものじゃが、そのような噂は信じず、きちんと病院で処方してもらった薬を飲むようにするのじゃぞ。

ドラッグストアで販売されている薬も注意書きに沿って飲めば問題はないと思いますが、その人にあった薬を出してくれる病院のほうがより安全です。

注意してね!どうしても市販の薬を飲むときは、一度担当の医師か薬剤師に飲んでも問題はないか必ず確認してもらってから飲むようにしましょう。

つわりが長く続く人は要注意

実はつわりには「妊娠悪阻(にんしんおそ)」と呼ばれるもう1種類があります。つわりと妊娠悪阻の違いに明確な差はなく、「つわりが異常に重症化した状態」を妊娠悪阻とされているのです。

つわりは全妊婦の50%~80%に発症しますが、妊娠悪阻は全妊婦の0.1%ほどだといわれています。発症頻度は少ないので知っておくだけでいいでしょう。

つわりの発生頻度ははじめて出産をする初産婦のほうが多いとされていますが、重症化していくのは出産経験のある経産婦のほうが多くなっています。

出産経験があるほうが妊娠悪阻になりやすいんだね。

そうじゃよ。1人出産したことがあっても妊娠悪阻のこともあるから2人目でも油断せず、気をつけるのじゃぞ。

つわりと妊娠悪阻の症状

つわりの症状には「軽症・重症・妊娠悪阻」の3種類に分類することができます。

軽症

  • 全身が少しダルく感じる
  • 頭が重たいように思える
  • 朝起きたとき・お腹すいたとき吐き気がする
  • 食欲不振になる
  • 味の好みが変化する
  • 常に眠たくなる
  • 乗り物酔いしやすくなる
  • ニオイに対して敏感になる

ほとんどの人のつわりが「軽症のつわり」です。常に眠たくなる症状でコーヒーなど飲んでカフェインを摂取する方もいますが、カフェインは赤ちゃんの発育を妨げてしまうので飲みすぎに注意しましょう。

重症

  • 1日に数回、苦痛と一緒に吐き気または嘔吐する
  • 冷や汗がでる
  • 頭痛がする
  • 食事を取ることができない
  • 全身がかなりダルく感じる

1日に数回嘔吐をしたりする場合はすぐに医師に診てもらいましょう。嘔吐を続けていると栄養不足になったり、妊娠悪阻に悪化する可能性もあります。

妊娠悪阻(にんしんおそ)

  • つわりの症状が長く続く
  • 脱水症状になる
  • 十分な栄養が摂れず、飢餓状態になる
  • 尿の排泄量が低下する
  • 体温が普段よりも上昇している
  • 代謝性アルカローシス

代謝性アルカローシスとは、血液の数値が傾いた状態のことをいいます。人間の血液には酸とアルカリの2種類が含まれています。

日常臨床に役立つ水・電解質異常の考え方「代謝アルカローシス」によると代謝性アルカローシスはアルカリに傾いて発症し、酸に傾くとアシドーシスというふうに違いがあるのです。

症状は脱力感などの意識障害や痙攣、不整脈などがみられます。つわりによって嘔吐を何度も繰り返したり、胃液の吸引によって引き起こるかもしれません。

葉酸を摂取するとつわりは軽減できる?

葉酸でつわりを軽減することはできるの?

「葉酸を摂取すればつわりは楽になる」と噂になっていますが、日本では「葉酸でつわりを軽減できる」という研究や調査は発表されていません。

そのため、葉酸を摂取しても効果はないと言い切りたいのですが、海外での情報も調べてみると、

The effect of periconceptional multivitamin-mineral supplementation on vertigo, nausea and vomiting in the first trimester of pregnancy.によると葉酸やミネラルなどを含んだ「妊婦用のマルチビタミン」を摂取することによってつわりを軽減できると報告されていました。

ただ、海外の報告は「何がつわりに対して有効成分だったのか」書いておらず、少し信憑性に欠けますが、効果は少なからずあるじゃろう。

葉酸を摂取することによってつわり以外にも赤ちゃんに増えてきている先天異常の一つ「神経管閉鎖障害」のリスクを低減することもできるので、摂っておいて損はありません。

葉酸を摂取するならほうれん草やモロヘイヤなどの緑黄色野菜がおすすめです。ただ、葉酸は水に溶けやすく熱に弱いので調理のときに壊れやすくなっています。

そのため、野菜や果物から摂るなら水でサッと洗い流して食べるといった、シンプルな調理のほうがより多く摂ることができます。

  • 日本では葉酸を摂取してもつわりが軽減できるとは報告されていない。
  • 海外では葉酸を含む「マルチビタミン」によって軽減できると報告されている。
  • 葉酸を摂取するなら緑黄色野菜がおすすめ。
  • 農薬が付いていることもあるので、適度に洗うようにしましょう。

つわりにはビタミンB6も効果的

ビタミンB6は葉酸と同じ水溶性のビタミンB群の1種です。神経機能を正常にしたり、免疫力を向上させるなどの働きがあります。

基本的にはビタミンB6単独では不足することがなく、同じビタミンB群の葉酸やビタミンB12の不足と同時に起こってしまうのです。

不足してしまうとうつ病や錯乱、脳波の異常、小球性貧血などの症状がでてきます。しかし、ビタミンB6の摂取量がギリギリ足りている人、ギリギリ足りていない人は何年もこれらの症状が認められないこともあるのです。

ビタミンB6欠乏症は、小球性貧血、脳波の異常、口唇症(口唇の鱗屑と口角のひびわれ)を伴う皮膚炎、舌炎(舌の腫脹)、抑うつと錯乱、免疫機能の低下に関連している

ビタミンB6を摂取すれば、妊娠中のつわりの軽減に効果的だといわれています。実際に米国産科婦人科学会では、いくつかの研究にもとづいてビタミンB6をつわりの治療に使うことを推奨しています。

それでも改善できない場合はドキシラミンと呼ばれる鎮静作用のある抗ヒスタミン剤を併用することもあるかもしれません。

ビタミンB6は水溶性ビタミンのため体内で蓄積されることはなく、食物から大量に摂取しても過剰摂取による副作用を引き起こしたという報告はありませんので安心してください。

ビタミンB6を摂るためには何を食べたらいいの?

米や小麦などの穀類やにんにく、バナナ、ほうれん草に多く含まれているぞ。ほうれん草なら葉酸も同時に摂取できるからおすすめじゃ。

葉酸サプリを摂取するのがおすすめ!

つわりの軽減に効果的とされる葉酸とビタミンB6は食品から摂取することが理想ですが、摂ることがとても難しいのでサプリから摂ることをおすすめします。

水溶性ビタミンである葉酸とビタミンB6は水や熱、光に弱く調理の段階で50%近く失います。また、葉酸の場合は体内での吸収率が悪く、さらに半分になってしまいます。

葉酸やビタミンB6を最も多く含む食品は鶏や牛の「レバー」なんですが、レバーは食べ過ぎるとビタミンAの過剰摂取になってしまいます。

ビタミンAを過剰摂取すると「頭痛・嘔吐・奇形児の発生」などの症状が現れる可能性があります。

そのため、ビタミンB6が入った葉酸サプリをおすすめします。ただ、ビタミンB6のサプリメントを摂取する場合は過剰摂取や他に服用している薬などのこともあると思うので、一度担当の医師に相談してからはじめましょう。

葉酸サプリならまとめて必要な栄養素を摂ることができるのね!

そうじゃ。じゃが、便利な分用法用量を守らないと過剰摂取になってしまうから注意が必要じゃぞ。

つわりでも飲みやすい葉酸サプリを選ぶポイント

つわりのときでも飲みやすい葉酸サプリを選ぶポイントは以下の3つです。

  • においがあまりしない
  • 粒が小さくなっている
  • 必要な栄養素が摂れる。

ニオイがあまりしない

つわりの症状の1つに「ニオイに敏感になる」があります。今まで気にしなかったニオイにも気になるようになってしまうのです。

人によっては少し臭うだけでも吐き気を催したりします。ニオイで飲みづらくなることもあるので、サプリメントを選ぶときはニオイができるだけしない、問題ないニオイのものにしましょう。

粒が小さくなっている

つわりでもっとも多いのが「吐き気」です。吐き気がある状態で、大き目の粒を飲むのは大変です。一度吐いてしまうとクセになってしまうかもしれません。

できるかぎり小さい、飲みやすいサプリメントを選ぶようにしましょう。

必要な栄養素が摂れる

つわりを軽減するのに期待できるビタミンB6を含んだ葉酸サプリを選びましょう。また、できれば葉酸とビタミンB6の働きを助けてくれる「ビタミンB12」も入っていると、より理想だといえます。

厚生労働省は神経管閉鎖障害のリスクを低減するためにも葉酸サプリの摂取を推奨しています。推奨している摂取量は1日400μgなので、その摂取量を摂れるものを選びましょう。

まとめ

つわりとは半分以上の人が悩むものです。しかし、残念なことに医療が発達した現在でもその原因は分かっておらず、「つわり」を軽減する薬というのは存在しません。

ビタミンB6、B12が入っている葉酸サプリを摂取すれば、つわりの症状を軽減することに期待ができます。また、葉酸は赤ちゃんの細胞の生成や発育には欠かすことのできない栄養素です。神経管閉鎖障害のリスク低減にも役立ちます。

つわりが辛くて食事が喉を通らないかもしれませんが、お腹の赤ちゃんのためにもできるだけ栄養を摂れるよう頑張ってください。