基礎知識

怖すぎる…葉酸サプリの過剰摂取による妊婦への悪影響がヤバい!

怖すぎる…葉酸サプリの過剰摂取による妊婦への悪影響がヤバい!

葉酸は妊活、妊娠中、産後まで摂取したほうがよい栄養素の一つです。とくに妊活中の人と妊娠中の方は必要で、厚生労働省も摂取をするようにはじめて呼びかけたほどです。そんな重要な栄養素である葉酸を手軽に摂取できるのが「葉酸サプリ」。

しかし、手軽に摂取できるがゆえに「過剰摂取」の心配もでてきます。健康な赤ちゃんを生むために必要な葉酸ですが、サプリで過剰摂取すると一転して母子ともに悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。

そこで、今回は葉酸の過剰摂取リスクを少しでも減らすために、葉酸を過剰摂取したときの症状、必要摂取量、葉酸サプリを選ぶときの注意点を解説していきます。

なぜ葉酸をサプリで摂取する必要があるの?

厚生労働省が葉酸摂取を推奨

葉酸をなぜ食事からだけではなく、サプリからも摂取する必要があるのかというと葉酸の「吸収率」に問題があるからなんです。

葉酸とは水溶性ビタミンの一種で熱や光に弱く、水に溶けやすい性質をもっています。そのため、食事から摂取するにも水洗いや焼く、煮るなどの調理工程で半分以上失われます。

さらに、調理工程だけではなく、体内に入っても吸収できるように一度変換しなければいけないのじゃ。この変換する過程でも一部の葉酸は失ってしまうから、想定よりも摂れていないことがほとんどじゃ。

最終的に体内で吸収できるのは約5割ほどとなります。このように吸収率が非常に悪いので食事から葉酸を摂取するとなるとたくさんの量を食べないといけません。

しかし、葉酸サプリなら調理工程もなく、そのまま摂ることができます。一部の葉酸サプリなら体内で変換する過程も省いて、吸収力を上げているものもあります。

葉酸サプリでも100%の吸収はできませんが食事は3割ぐらいに対して、葉酸サプリなら8割ほど葉酸を吸収することができるのです。

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もちろん理想は食事からの摂取ですが、妊娠中ならつわりなどから食べることが困難の場合もありますし、必要摂取量を満たす食事量にすると肥満になる恐れもあります。

肥満になれば流産になる可能性もあるので、葉酸は食事だけではなくサプリからも摂取する必要があります。

葉酸って食事から摂取するのが大変なんだね。

そうじゃ。葉酸というのは非常に繊細で、光に当たる場所に置いておくと壊れたりするから暗い場所に保存するなどの対策が必要じゃぞ。

葉酸を過剰摂取したときの症状

葉酸は基本的に食事だけの摂取だと吸収率の悪さから過剰摂取になることはほとんどありません。

しかし、吸収率のよい葉酸サプリだと過剰摂取になる恐れがあります。過剰摂取したときに起こる症状は以下になります。

  • 発熱
  • 蕁麻疹(じんましん)
  • 紅斑(こうはん)
  • かゆみ
  • 呼吸障害

紅斑とは血管が広がることによって、皮膚の一部に赤い斑点ができる病気です。重症化してくると命にも関わってきます。

軽症であれば塗り薬による治療など簡単なので紅斑ができたら早めに医師に相談しましょう。

治療は飲む薬での治療もありえますので、妊娠しているかわかりづらい妊娠超初期または初期の方は妊娠していることを医師に伝えるようにしましょう。

軽症でも先生に相談する必要ってあるの?

重症化すると命にも関わるからちゃんと相談するのじゃぞ。妊娠超初期・初期は妊娠していることを伝え、薬は大丈夫なのか聞くことが大切じゃ。

過剰摂取は赤ちゃんへの影響もある

葉酸の過剰摂取は赤ちゃんにも影響があるんだ…。

葉酸サプリの過剰摂取は妊婦だけではなく、赤ちゃんへの影響もあったとオーストラリアでの研究から結果が出ています。

Effect of supplemental folic acid in pregnancy on childhood asthma: a prospective birth cohort study.によると研究では葉酸を妊娠後期に摂取すると「3歳半での子供に小児喘息のリスクを増加させる」と報告されています。

小児喘息とは呼吸困難が突発的に起こり、徐々に治まっていく病気です。この病気は年齢とともに自然に治ったり、治療によって消えたりするのですが、まれに死亡することもあります。

小児喘息による死亡率は10万人に0.1以下と限りなく低いのですが、重症度は関係なくおこります。

小児の喘息死亡率は人口10万人あたり男女とも0.0〜0.1まで減少し安定した状態にあるが、死亡前の重症度が軽症や中等症でも起こり、要因は多彩であり患者教育が重要である

小児喘息の死亡率は低くなっていますが、まったくの0というわけではありません。小児喘息のリスクを下げるためにも妊娠後期(30週~34週)はとくに過剰摂取に注意をしましょう。

葉酸の過剰摂取は悪性貧血を隠してしまう

葉酸とビタミンB12は血を造る働きもあるので不足すると貧血になってしまいます。とくに妊娠中はお腹の中の赤ちゃんと出産に備えて血を多く必要とするので貧血になりやすいのです。

貧血には以下の3種類があります。

  1. 鉄不足が原因の「鉄欠乏症貧血」
  2. 薬物や放射線が原因だと考えられる「再生不良性貧血」
  3. 葉酸、ビタミンB12のどちらかまたは両方の不足が原因の「悪性貧血」

葉酸を過剰摂取するとビタミンB12の不足で発症した悪性貧血を隠してしまうと考えられています。

注意してね!葉酸を過剰摂取することで血は造られるので、ある程度の症状は緩和されますがビタミンB12を不足したときに起こる神経障害は回復しません。

葉酸はあくまで血を造るだけで神経機能を回復させる働きはありません。そのまま、ビタミンB12不足を隠してしまうと重症化していき、歩行障害や記憶力の低下などの症状が現れます。

葉酸を過剰摂取するとビタミンB12不足が原因の悪性貧血を隠してしまう可能性があるのじゃ。

葉酸の過剰摂取はどれぐらい?

葉酸は厚生労働省によって耐容上限量が定められ、「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」によると以下になります。

年齢 耐容上限量
18歳~29歳 900μg(0.9mg)
30歳~49歳 1000μg(1mg)

上記の数値を超えてしまうと過剰摂取となって、さまざまな症状が現れるリスクが高くなります。

何週間、何ヶ月も上記の数値を超えると危険で、1日だけ超えてもすぐに症状が現れるわけではないので安心してください。

ただ、1日超えたところで何も問題はありませんが、もしものこともあるので出来るかぎり超えないように心がけておきましょう。とくに妊娠後期に過剰摂取すると小児喘息になる恐れもあるので注意を払う必要があります。

年齢によって、微妙に上限が違うのね!

100μgしか違わないと思わず、きちんと上限を超えないようにするのじゃぞ。

【時期別】葉酸の必要摂取量はどれくらい?

時期別葉酸サプリランキング

過剰摂取とならないようにするためには、しっかりと自分が大体どれだけ摂れているのか、必要摂取量はどれぐらいなのか把握しておく必要があります。

普段どれだけ葉酸を摂取できている?

厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」を参考にどれだけ葉酸を摂取しているのか確認してください。

年齢 平均摂取量
20歳~29歳 229μg
30歳~39歳 240μg
40歳~49歳 244μg

妊娠をしていない状態で葉酸の摂取を推奨している量は「240μg」なので、20代は少し足りていませんが、ほとんど推奨量を満たすことができています。

ただ、これはあくまでも平均値で、その通りに摂れているわけではありません。20代は平均では足りていませんが、栄養バランスに気をつけている方だったら満たせているかもしれません。

注意してね!反対に30代と40代は推奨量を満たせていますが、人によってはファストフードばかりで栄養バランスが傾いて満たせていない可能性もあります。

普段の食事を考えながら参考にしてみてください。葉酸は緑黄色野菜に多く含まれているので野菜を意識して食べている人は満たせているかもしれません。

一応推奨している量は満たすことができているのね。

そうじゃな。しかし、妊活・妊娠中・産後になるとそこからプラスで葉酸が必要になってくるから注意するのじゃぞ。

時期別、葉酸の付加摂取量

葉酸の推奨量「240μg」に加えて、妊娠の時期によって摂取量を足す必要があります。時期別に付加摂取量は以下になります。

時期 付加量
妊娠計画中(妊活) +400μg
妊娠初期 +400μg
妊娠中期・後期 +240μg
産後 +100μg

妊活、妊娠初期は増加傾向のある「神経管閉鎖障害」のリスクを低減するためにも、付加する量が他よりも多めになっています。

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これらの摂取量はすべてサプリメントなどで摂取したときの量で考えているので、葉酸サプリの量を守るようにしましょう。

妊娠中期・後期、産後になると付加する量が減るので、その分葉酸サプリの量を調節しましょう。

3粒で400μg葉酸を摂取できるなら妊娠中期・後期は2粒に、産後なら1粒にと減らすといいでしょう。もちろん過剰摂取しなければ、問題ないのでそのまま3粒摂取しても問題はありません。

ここでワンポイント超えることはないけど、もし不安だと感じるのであれば摂取量は減らすべきです。

葉酸サプリで過剰摂取しないための注意点

葉酸サプリで過剰摂取しないためには量を注意することも大切ですが、他にも注意してほしいものがあります。それは以下の3つになります。

  • 海外の葉酸サプリ
  • 葉酸の栄養機能食品
  • 強化食品と一緒に摂取しない

1.海外の葉酸サプリ

海外と日本の葉酸サプリは摂取できる量が大きく違うことを知っていましたか。日本は推奨量にプラスして摂る必要のある400μgを超えないように作られています。

しかし、海外の葉酸サプリだと1粒で800μg(800mcg)摂れたりすることができるものもあります。

2日に1粒といった摂取をしても、2日に1回過剰摂取していることも考えられるので海外の葉酸サプリは避けたほうがいいじゃろう。

2.葉酸の栄養機能食品

葉酸の栄養機能食品として販売されている葉酸サプリは、1日に摂取できる量を60μg~200μgにしないといけません。

しかし、「独立行政法人国民生活センター(胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品)」によると、葉酸の上限(200μg)を超えて販売している葉酸サプリがあると報告されています。

そのため「葉酸」の栄養機能食品を購入するのであれば、しっかりと上限値を守っているか確認しておきましょう。守っていなければ信用はしないほうがいいでしょう。

3.強化食品と一緒に摂取しない

葉酸はサプリメント以外にも、葉酸を添加した強化食品というものがあります。その強化食品と一緒に葉酸サプリを飲むと過剰摂取になる可能性が高くなります。

葉酸を摂取するときは葉酸サプリにするか、強化食品にするかどちらかにしておきましょう。私としてはつわりのことなどを考えると手軽に飲める葉酸サプリがおすすめです。

まとめ

以上、葉酸サプリの過剰摂取の危険性について解説しました。葉酸サプリは妊娠中のつわりなどのときでも手軽に飲める分、飲みすぎると過剰摂取になってしまう恐れがあります。

過剰摂取は怖いと思うかもしれませんが、葉酸は赤ちゃんの発育や神経管閉鎖障害のリスクを低減するためにとても重要な栄養素です。

用法用量さえ守れば、過剰摂取になることはほとんどありませんが、もし不安であれば1日3粒の葉酸サプリなら2粒にするなど量を減らしてみて調整してください。

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