生理前になると「イライラ」「腹痛」などの不快な症状が起きるとつらいですよね。人によっては日常生活に支障をきたすほどの症状が出る人もいるでしょう。
これらは「月経前症候群」という病気の代表的な症状なんです。この病気は欧米だと有名ですが日本ではまだまだ広まっておらず、気づけていない人がたくさんいます。
また、気づいていても病気だと知らず、悩んでいる人もいるでしょう。そこで今回は月経前症候群とはどのような病気なのか徹底解説していきます。
月経前症候群とは?
月経前症候群は「Premenstrual Syndrome」という英語を略して”PMS”とも呼ばれています。
月経前症候群とは月経前の3日~10日間の間イライラや腹痛などの身体的症状や精神的症状が続き、月経開始とともに症状は弱っていき、そのまま消えていきます。
一部の女性は月経前症候群の兆候や軽度の症状がない期間もありますが、実は多くの女性は月経前症候群を経験しているのです。その数はおよそ3人に1人だといわれています。
実際に女子大生200名を対象としたアンケート調査では「発症率は35.9%」と高い数字が出ました。(参考サイト:青年期女性における月経前症候群(PMS)の実態について)
しかし、高い発症率に対して認知度調査を行った結果、およそ70%の人が「知らない」と回答しています。
つまり、人によっては月経前症候群を発症しているにも関わらず、そのまま我慢して暮らしている人が多いということになります。
月経前症候群って発症率が高いんだね…
そうじゃな。しかも高いのに対して、知らない人がたくさんいるからもっと認知度が広まる必要があるのじゃ。
月経前症候群の原因とは?
月経前にだけ不快な症状が現れ、月経が始まると症状が治まっていくのが月経前症候群ですが、なぜ発症するのか原因はいまだ解明されていません。
現在、原因としてもっとも有力なのが「ホルモンバランスの乱れ」です。その他にも原因として考えられているものもあるので解説します。
ホルモンバランスの乱れが原因かも!
排卵日から月経までに”黄体期”と呼ばれる期間があります。この黄体期に入ると「エストロゲン(卵胞ホルモン)」「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる、2つの女性ホルモンがたくさん分泌されます。
黄体期から月経に変わっていく黄体期後半に入るとエストロゲンとプロゲステロンの分泌量が急激に低下することによって、ホルモンや神経伝達物質に異常を引き起こすことが原因だと考えられているのです。
簡単にまとめると、黄体期に入ると2つの女性ホルモンがたくさん分泌されるのですが、黄体期の後半になるとその2つの女性ホルモンは分泌されなくなり、ホルモンや神経伝達物質に悪影響を及ぼすのです。
他に考えられる原因
ホルモンの分泌や神経伝達物質というのはストレスや喫煙などの影響を大きく受けます。そのため、月経前症候群はホルモンの低下だけではなく、たくさんの要因から起こるといわれています。
ストレスや喫煙も関係している可能性は大いにあるので、月経が酷い場合はなるべくストレスが溜まらないようにしましょう。
月経前症候群の症状
月経前症候群の症状は非常に個人差が大きく、人によってさまざまです。精神的、自律神経、身体的症状を合わせるとその数はなんと200種類以上だと言われています。
そのため、200種類以上を紹介すると長くなってわかりづらくなってしまうので、とくに症状として現れやすいものを紹介していきます。(参考サイト:日本産科婦人科学会「月経前症候群」)
200種類もあるの!?
それに症状の個人差も大きいから気づきにくいのじゃ。我慢できるからといって放置するのは注意するのじゃぞ。
精神的症状
精神神経に現れやすい症状は以下になります。
- 情緒不安定
- イライラ
- 抑うつ
- 不安
- 眠気
- 集中力の低下
- 睡眠障害
自律神経症状
自律神経に現れやすい症状は以下になります。
- のぼせ
- 食欲不振または過食
- めまい
- 倦怠感
身体的症状
身体に現れやすい症状は以下になります。
- 腹痛
- 腰痛
- 頭痛
- 浮腫(むくみ)
- お腹の張り
- 胸の張り
上記の症状がいくつか当てはまったらではなく、1つでも当てはまっているなら月経前症候群を疑ったほうがいいでしょう。
月経前症候群の診断基準は?チェックリストで紹介!
月経前症候群の症状を紹介しましたが、一部の症状は女性ならある程度誰にでもあるので本当に月経前症候群なのか疑わしいですよね。
そこで、日本家族計画協会「PMS(月経前症候群)とは」を参考に月経前症候群の診断基準とチェックリストを紹介します。自分の症状を思い出しながら確認してください。
月経前症候群の診断基準
月経前症候群の診断基準にはいくつかの症状が見られないと診断できません。精神的症状だと「抑うつ・怒りの爆発・苛立ち・不安・混乱・社会からの引きこもり」があります。
身体的症状だと「胸の張り・腹部の張り・頭痛・手足のむくみ」が挙げられます。これらの症状で当てはまるものはないか確認したうえで以下の診断基準を確認してください。
- 過去3回の月経周期の中で月経5日間前に上記の症状が1つでも出ている。
- 上記の症状は月経が始まってから4日以内には回復し、13日目までもう一度発症することはない。
- 上記の症状の原因が薬による治療の副作用やホルモンの内服薬、飲酒ではないか。
- 症状は次の2周期の予想される記録によって再現をしている。
- 社会的または経済的能力に対してはっきりとした障害が発生する。
上記が診断基準となっています。症状が診断基準に当てはまった場合は月経前症候群と疑ったほうがいいかもしれません。
月経前症候群のチェックリスト
月経前症候群かどうか判断をするチェックリストは以下になります。
同じ症状が周期的に起こっているか?
症状の起こる時期が排卵の後から月経までの間か?
日常生活に影響を及ぼすくらい症状が重いか?
どのような症状が出たのかメモすると分かりやすいのでおすすめです。そのときに体温も測っておくと病院で診てもらうときに話がスムーズになります。
月経前症候群の治療はどんなものが行われる?
月経前症候群は原因が分かっていませんので、残念ながら明確な治療法というものは存在していません。ただ、治療によって症状を軽くすることもできるので安心してください。
主な治療法は以下の3つになります。
- 薬に頼らない治療
- 薬を使った治療
- 漢方療法
薬に頼らない治療法
症状に対して日記をつけていき自分の病状を理解するところから始まります。その期間中、ストレスを溜まらないようにしたり、メンテナンスをしたりします。
症状がでる期間がわかれば気分転換をしたり、この期間だけやり過ごせばいいんだと思い込んで安静にするのもいいでしょう。
薬を使った治療法
薬を使った治療法は2種類あります。排卵を抑える「排卵抑制療法」と「症状に対する治療法」です。
排卵抑制療法は月経前症候群の女性ホルモンの大きな変化が原因の1つだと考えているので、排卵を抑制することで症状を軽くします。
ホルモン薬を使って抑制するのですが服用しているときだけなので、この薬によって不妊になることはありません。そのため、将来の妊娠に影響を与えません。
症状に対する治療法は「痛みなら鎮痛剤」「精神的症状なら精神安定剤」など症状に合わせて服用していきます。
漢方による治療法
まずは、自分の症状や体質に合わせて漢方薬を処方してもらいましょう。
肩こりや疲れには加味逍遙散(かみしょうようさん)、イライラや不安などには桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)といったように症状や体質に合わせて服用していきます。
月経前症候群に有効な栄養素とは?葉酸サプリは効果的?
アメリカ合衆国保健福祉省の「Premenstrual syndrome (PMS)」によると月経前症候群の症状を緩和するためにはビタミン・ミネラルが役立つといわれています。
月経前症候群に対して「ビタミンB群のビタミンB1、B2、B6」が有効だといわれています。ビタミンB群は神経伝達物質を適切に機能させる働きがあるのです。
神経伝達物質を適切に働かせることによって、不安やイライラなどの症状を緩和します。
ミネラルでは「カルシウム」と「マグネシウム」が有効だといわれています。カルシウムを摂ることによってイライラや疲労、うつ病などの症状を軽減することに期待ができるのです。
マグネシウムは頭痛などの症状を緩和することができ、さらにカルシウムと一緒に吸収することで働きが強化されますので一緒に摂るといいでしょう。
ビタミンB群を摂取するなら葉酸がおすすめ!
ビタミンB群は水溶性ビタミンといって水に溶けやすく、熱に弱い性質をもっています。そのため、ビタミンB群を食事から摂取しようとしても、調理の段階で損失が大きく吸収するのが大変です。
そこで摂取するのにおすすめなのが葉酸サプリです。葉酸サプリなら調理をせず、そのまま吸収することができます。
また、葉酸サプリならビタミンB群以外にもカルシウムやマグネシウムも同時に摂取することができるメリットもあるのです。さらに、葉酸はホルモンバランスを整える働きもあるので症状の緩和に大きく期待することができます。
葉酸は造血作用もあるので、減る血の量が多い人にもおすすめすることができます。一度試してみてはいかがでしょうか。
葉酸サプリで簡単に摂れるのはいいね!
さらに女性は貧血になる人も多いから、葉酸サプリを摂取すれば貧血の改善もできて一石二鳥じゃ。
月経前症候群を自宅で緩和する方法とは?
月経前症候群は病院で薬を貰わなくとも、ある程度自宅でも症状を緩和することができます。※一向に症状がマシにならないのであれば、産婦人科で診てもらいましょう。
自宅でできる緩和方法は以下になります。
- 定期的に運動をする
- 十分な睡眠をとる
- ストレスを解消する
- 飲酒・喫煙しない
運動や睡眠を十分にすることで、うつ病や不安などを解消することができます。ストレス解消にはマッサージやヨガがおすすめです。
生活習慣を正すことで、ある程度症状を緩和することができます。ただ、無理をすると余計に悪化するので無理をせず、正すといいでしょう。
まとめ
以上、月経前症候群について解説をしました。月経前症候群はおよそ3人に1人と高い割合で発症する病気ですが、予防の知識があるだけで10人に3人と確率はかなり低くなります。
症状は人によって細かく違うので判断がとても難しいと思います。症状が重症であれば、一度病院で診てもらいましょう。
症状を緩和するためには葉酸サプリの摂取がおすすめです。葉酸サプリならビタミンB群やカルシウムなどの栄養素を補うことができます。
月経症候群は診断無しでは周りからの理解を得るのがとても大変です。理解を得るためにも病院できちんと診断してもらって理解してもらいましょう。そうすればストレスも少しは解消されるはずです。
- 月経前症候群は3人に1人発症する。
- 症状は人によって違い、200種類以上ある。
- 症状の緩和には葉酸サプリ、生活習慣の改善がおすすめ。