妊娠すると普段よりも体調を崩しやすい、風邪を引きやすくなると聞いたことはありませんか。それは妊娠による「免疫力の低下」が原因です。
免疫力が低下してくると病気だけではなく、赤ちゃんにまで悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。しかし、妊娠中に病気になると薬も飲めないので中々深刻です。
そこで今回は免疫力が低下しないためにも、妊娠するとなぜ免疫力が下がるのか、免疫力を高めるためにはどうすればいいのか、方法について解説していきます。
免疫力とは?高めるとどんな働きをする?
普段よく耳にする免疫力とは一体なんなのか知っている方は多くないでしょう。免疫力とは文字通り「疫病(病気)を免れる力」のことをいいます。
私たち人間の身体はいつも細菌やウイルスなどの病原菌にさらされているのですが、この免疫力によって病気から身を守っているのです。
免疫は一度侵入してきた異物に対して排除したり抵抗力をつけたりします。この免疫の働きを利用して、インフルエンザなどの予防接種に利用されるのです。
免疫として主に働いてくれるのが白血球と樹状細胞です。樹状細胞が病原菌の情報を伝え、白血球が病原菌を攻撃し守ってくれます。
免疫力は「高める」や「下がる」などいうとおり、常に同じ状態ではなく病原菌が入ってきたときによって変化していきます。
免疫力ってよく聞くけど詳しくは知らなかった!
そうじゃな、病気から守るイメージはあると思うがとても大切なことじゃから知っておくのじゃぞ!
免疫は体の機能を正常に保つ働きがあります!
免疫力が高くなると体の機能を正常に保とうとする働きがあります。免疫力が高くなると以下の病気の予防に期待ができます。
- 風邪
- インフルエンザ
- 生活習慣病
- がん
妊娠中は風邪薬一つ飲むにしても気をつける必要があります。だからといって、そのまま治るのを遅くまで待っていると赤ちゃんに悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。
インフルエンザや生活習慣病、がんなどは最悪の場合はどちらか、あるいは母子ともに命を落とす可能性も考えられます。そのため、免疫力を高めることはとても重要です。
妊娠していなければとくに問題のない風邪も妊娠中に引き起こせば、簡単には薬を飲むことはできませんのでズルズルと長引いてしまいます。
出産時にたくさんの体力が必要になってくるので、妊娠中に風邪によって体力が低下するのあまりよくありません。
生活習慣病について解説
免疫力以外でも気をつけなければいけないのが生活習慣病です。生活習慣病とは喫煙や運動、食事などの生活習慣の乱れによって起こる病気です。
生活習慣病は、その生活習慣によって発症、進行するものが違ってきます。たとえば、食習慣が乱れていると肥満になりやすくなったり、糖尿病になりやすくなります。
喫煙だと慢性的な気管支炎や歯周病、がんなどの症状があります。このように生活習慣の乱れ方によって症状は大きく変わってきます。
妊娠中は特に妊娠による症状などもあるので、生活習慣が乱れやすくなっています。つわりなどから食べられるご飯が限られ、栄養バランスが偏ってしまう。
なぜ妊娠中に免疫力が下がるの?下がる時期はいつ?
まず、免疫力がもっとも下がるのは「妊娠初期」です。基本的に免疫力は”自分の体”を守るために働いています。
妊娠初期になると自分だけではなく、お腹の中の赤ちゃんも守らないといけません。ではなぜ、「免疫力が上がるようにしておけばいいのに下がってしまうのか」気になりますよね。
お腹の中の赤ちゃんを守るために免疫力を上げたいのに、下がってしまっては意味がありません。なぜ、免疫力が下がるのかというと「自分の免疫から赤ちゃんを守るため」です。
自分の免疫はお腹の赤ちゃんであろうと異物として捉えてしまう可能性があります。そうすると免疫は赤ちゃんに攻撃をしてしまいます。
攻撃をしないためにも妊娠初期は一時的に免疫力が低下するのです。ちなみに、この免疫力が原因で精子を攻撃してしまい不妊の原因ということもあります。
免疫力が下がる原因は赤ちゃんのためだったんだ!
そうじゃ。赤ちゃんを攻撃しないためにも免疫力を下げるのじゃ。
免疫力が下がる原因は他にも6つあります!
免疫力が下がる原因は妊娠初期だけではありません。他にも原因は6つあり、人によっては妊娠中期・後期、産後でも免疫力が下がる可能性はあります。
しっかりと免疫力が下がる原因を把握して、いざというときにできるかぎり高くできるようにしておきましょう。
免疫力を低下させる原因は以下6つのです。それぞれ詳しく解説していきます。
- ストレス
- 加齢
- 環境
- 食生活
- 生活習慣
- 抗生物質
1.ストレス
免疫力に影響を与えるものでストレスが一番大きいといわれています。妊娠初期と産後は不安や育児からとくにストレスが溜まりやすくなっていますので、溜め込まないように注意してください。
少しでもいいので不安だと思うことや、育児での負担を解消できるように旦那さんや周りの相談できる人に聞いてもらいましょう。
2.加齢
免疫細胞(白血球・樹状細胞)を作る臓器の生産機能の低下や、胃腸の衰えなどから加齢によって免疫力は低下します。
高齢出産で赤ちゃんができた喜びはかなり大きいと思いますが、免疫力が低下している可能性はあるので赤ちゃんのためにも油断せず体調管理を行いましょう。
3.環境
環境の変化による悪化や環境ホルモンが免疫力に影響します。環境ホルモンとは名前はホルモンとついていますが、障害や有害な影響を引き起こしてしまう”化学物質”のことです。
環境ホルモンとして有名なのは、ゴミを燃やしたときに発生するダイオキシンなどがあります。環境ホルモンは免疫力の低下だけではなく、赤ちゃんの成長障害の原因となってしまうこともあるので、できるかぎり避けるようにしましょう。
4.食生活
食品添加物が多く含まれたインスタント食品や加工食品ばかりを食べたり、十分な栄養が吸収できないなどの理由から栄養バランスが偏ると免疫力が低下します。
免疫力が低下する妊娠初期はつわりなどの症状から食欲が低下すると思いますっが、食べられる分だけでもバランスよく摂るようにしましょう。
5.生活習慣
運動不足や不規則な睡眠、喫煙、飲酒などをしていると生活習慣が乱れてしまい、免疫力が下がります。
妊娠中に喫煙、飲酒をしている人は少ないと思うので、そこは心配していませんが運動と睡眠には注意が必要です。
妊娠中なので無理な運動は避けて、適度な運動を心がけましょう。
6.抗生物質
病気の治療に使われる薬に抗生物質が含まれていることもあります。抗生物質をとり続けるとことによって耐性をもった菌が生まれ、免疫力低下の原因となることもあります。
病気の治療などで抗生物質を飲んでいる方は、医師と相談をしてから飲むようにしましょう。
免疫が原因で引き起こされる病気一覧
妊娠初期や産後のストレスが原因で免疫に異常が起こると、自分の体を守ってくれるはずの免疫が途端に、体にさまざまな問題を起こしてしまうのです。
本来なら免疫は「これは自分のものか、異物なのか」判断をしてから適切な攻撃を行います。しかし、異常が出るとウイルスや細菌を異物として判断ができなくなったり、自分の体内を攻撃したりします。
そのため、免疫力は低下させずバランスよくすることが大切です。免疫異常による症状は以下になります。
- がん
- 動脈硬化などの生活習慣病
- 慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患
- アレルギーなどの過剰防衛
がん
免疫力はがん細胞を排除する働きがあります。人間の体内は毎日3000~4000個ほどのがん細胞が作られているのですが免疫力が、がん細胞を排除してくれているため発症するまでに至りません。
しかしストレスや加齢、食生活の乱れなどが原因で免疫力が低下すると、がん細胞の生成が上回り、がんを発症させる恐れがあります。
動脈硬化などの生活習慣病
免疫力が低下することによって動脈硬化などの生活習慣病になるかもしれません。動脈硬化によって栄養と酸素が回らなくなり不足することで、動脈硬化が出来た先の部分が働かなくなります。
その先の部分次第では心筋梗塞や脳梗塞、脳血栓など命に関わる病気を発症する可能性があります。動脈硬化になる原因の一つが免疫力の低下だと、現在研究中です。
慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患
免疫は自分の細胞か異物か判断をしてから攻撃するのですが、免疫力が低下してくると何らかの理由によって、自分の細胞を異物と誤判断し攻撃してしまうことがあります。
その攻撃によって、慢性関節リウマチや自己免疫性肝炎などの病気が現れる危険性があるのです。
アレルギーなどの過剰防衛
他の症状は免疫力の低下が主な理由ですが、過剰防衛は免疫力の働きすぎによって起こります。自分の体を守るはずの免疫が過剰に働くことによって傷つけてしまうのです。
アレルギーは本来ならアレルゲンが体内に侵入してきた段階で、対抗するものを作り出し攻撃をします。その攻撃のときに反応してヒスタミンが作られ、体外へ追い出そうとします。
しかし、この過程で免疫力のバランスがおかしくなっていると、多少の刺激にも体は反応を起こしてしまい、アレルギーを発症させてしまうのです。
アレルギーはヒスタミンが作られる場所によって変わってきます。たとえば、気管支なら喘息に、皮膚ならアトピーに、目や鼻なら花粉症というふうに変わります。
妊娠初期に免疫力が低下する危険性
妊娠初期は赤ちゃんを攻撃しないためにも免疫力が低下すると説明をしました。「赤ちゃんのために低下している仕方ない」と思う方もいるでしょう。
それは少し違います。低下するのはたしかに仕方がありません。しかし、免疫力が低下したままにしておくと「赤ちゃんへ感染」する可能性があります。
母体の免疫力が低下している状態で何かの感染症を発症すると、胎盤で繋がっている赤ちゃんにまで感染するかもしれません。
母子ともに感染すると「流産」や早産の原因となってしまうことも考えられます。そのため、免疫力が低下したまま戻るのを待たず、もう一度高める必要があります。
赤ちゃんにまで影響するんだね…
妊娠中は母体だけではなく、何事も赤ちゃんにまで影響あることを覚えておくのじゃぞ。
妊婦さんが免疫力を高める6つの方法
免疫力を高めることは大切だと知っている人は多いのですが、意外と高めるためにはどうすれば良いのか知っている人は多くありません。
免疫力を高めるためには6つの方法があります。
- 質の良い睡眠をとる
- 適度な運動をする
- 喫煙・飲酒を控える
- ストレスを溜めない
- 体温を下げない
- 栄養バランスの整った食事をする
1.質の良い睡眠をとる
質の良い睡眠をとることによって自律神経のバランスが保たれ、ストレスなどが溜まりにくくなります。
妊娠初期だと眠れないこともあると思いますが、目をつぶって横になっているだけでも違うので、たとえ眠れなくても横になるようにしましょう。
2.適度な運動をする
適度な運動をすることでストレス発散にもなりますし、免疫細胞の働きを活発化させることができます。
妊娠中は適度な運動として散歩やウォーキングがおすすめです。出産までの体力アップもできるので一石二鳥です。
3.喫煙・飲酒を控える
喫煙や飲酒は赤ちゃんに悪影響なのでほとんどの人はやっていないと思いますが、少しでも飲酒している場合は気をつけましょう。
妊活中の方も妊娠初期になると免疫力が低下するので、妊娠していないからといって喫煙・飲酒をしている場合はできるかぎり量を減らしましょう。
4.ストレスを溜めない
免疫力を高めるためにはストレスを溜めない生活をしていくことが大切です。ストレス発散方法は人それぞれにあった方法でよいと思います。
ただ、妊娠中になると自分だけのストレス発散ができなくなる方もいるでしょう。その場合は「笑う」ことでストレスを発散することができます。
笑うことで自律神経に変化を出し、免疫細胞を活性化させることができます。笑うのは作り笑いでもいいので、とにかく笑う回数を増やすといいでしょう。
5.体温を下げない
平均体温によって免疫力の活発さは大きく変わるといわれ、1℃下がれば37%免疫力が下がり、1℃上がれば60%活性化するといわれるほど、体温は重要になってきます。
体温が低いと免疫機能が低下するだけでなく、血行が悪くなったり栄養が回らなくなるなど良いことはないので、できるかぎり温かくするようにしましょう。
6.栄養バランスの整った食事をする
栄養バランスが偏ることで、免疫に必要な栄養素が足りなくなり機能が低下していきます。妊娠中は赤ちゃんの分の栄養素も必要になってくるので、たくさん摂る必要があります。
そのため、しっかりと栄養バランスが整った食事を摂ることを推奨したいのですが、妊娠していると匂いに敏感になる、つわりなどの症状によっては食欲がない方もいるでしょう。
その場合は、できるかぎり食事から栄養を摂取してサプリで補うのがおすすめです。サプリばかりになると過剰摂取になってしまう恐れがあるので食事からも摂取するようにしましょう。
サプリでおすすめは葉酸サプリです。葉酸サプリは妊活~産後まで必要な栄養素を補うようにできているのでおすすめですよ。食欲が湧かない方は一度葉酸サプリを考えてみてください。
まとめ
免疫力について解説しました。妊娠中は赤ちゃんの栄養素などを気にするのも大事ですが、母体の体調を整えることも大切です。
母体に何かあれば、お腹の中で繋がっている赤ちゃんにもリスクがあります。そのため、しっかりと病気から守るために免疫力を高める必要があります。
免疫力を高めるために6つのことを紹介しましたが、すべて同時にやる必要はありません。無理のないようにできるところから始めていきましょう。
- 免疫力は病気から守る働きがある。
- 妊娠初期に免疫力が低下しやすい。
- 免疫力が低下したままだと赤ちゃんに感染症のリスクがある。
- 免疫力を高めるためには6つのことを改善する。