立ち上がったときにクラッとする。歩いている最中にふらふらしてしまうなど、妊娠してから「めまい」が起きたという方は少なくないでしょう。
そもそも女性は男性よりも貧血気味な方が多いです。
めまいは一時的なもののため軽く見られがちですが、妊娠中にめまいを起こして転倒を起こすと危険です。そこで妊娠中に起きるめまいの原因や対処法などについて徹底解説します。
めまいとは?妊娠中に発症する確率を紐解く
めまいとは体のバランス感覚に障害が発生して起こるものです。座っている、寝転んでいる状態から一気に立ち上がって起こる立ちくらみもめまいの一つです。
めまいの感じ方は人によって違い「景色が傾いていく」「自分の体が自然と回ってしまう」「ふわふわした感覚になる」などがあります。
めまいと聞くと目や耳が原因で起こっていると思う方もいると思いますが、実は目や耳以外にも肩や首、血圧、脳などが原因で起きることがあります。
考えられる原因が多いと特定し、治療することが難しくなってしまうかもしれません。実際に総合南東北病院の「めまい対策」によると、原因がなかなか特定できないのが3割~4割と多く、症状にあわせた治療が行われます。
めまいは原因が多いだけでなく、種類も多くなっています。大きく分けると以下の3つになります。
- 回転性めまい
- 浮動性めまい
- 失神性発作
1.回転性めまい
回転性めまいとは、皆さんがイメージする「目が回る」「景色がグルグル回る」などの症状が現れるタイプです。
体のバランスを保つ平衡感覚に異常が起こることでめまいが起こります。回転性のめまいにはメニエール病という病気や突発性難聴、脳卒中、良性発作性頭位めまい症などがあります。
2.浮動性めまい
浮動性めまいとは「体がふわふわ浮いた感じ」、もしくは車酔いのような揺れているような感覚になります。
高血圧または低血圧、脳腫瘍や脳血管障害などの脳の病気、うつ病などの心因性の病気などが原因だと考えられています。
3.失神性発作
失神性発作は立ち上がったときに「目の前が真っ暗になる」などの症状がでるめまいで、頭から血が引いていく感覚があります。
起立性調節障害や不整脈などが原因で失神性発作が起きていると考えられています。
どれくらいの人が妊娠中にめまいを起こしている?
めまいになる人の数はとても多く、心筋梗塞や脳卒中よりも多いと言われているのです。しかし、たくさんいると言われておりながらも、めまいを軽く見る人が多いため重要視されていません。
周りの友人や家族を思い出してみてください。「めまいで悩んでいる」なんて相談されたことはありますか。恐らく相談された人はかなり少ないでしょう。少ない理由はこれは相談するほどのものでもないと思っているからです。
また、医師も「めまいを放置していても死ぬことはほとんどない」と軽く考えていることも軽く見られる1つの原因だと考えられます。
このように軽く見られるめまいですが、妊娠初期になると結構な妊婦さんに見られます。
実際に調査を行った「妊娠初期のマイナートラブルによる妊婦の日常生活上の苦労・困難さに関する実態調査」によると、めまい・立ちくらみの症状が現れた妊婦さんは”38.4%”と高い頻度で現れていました。
めまいってたしかに相談するほどのものではないと思ってしまうよね。
そうじゃな。しかし、めまいも立派な症状じゃから医師に相談するのじゃぞ。
妊娠中に起こるめまいの5つの原因
たくさんある原因の中で妊娠による症状が原因でめまいが起きるかもしれません。めまいを起こす可能性のある妊娠中の症状は以下になります。
- つわり
- 妊娠悪阻(にんしんおそ)
- 妊婦貧血
- 自律神経の乱れ
- 高血圧
1.つわり
妊娠初期に現れる症状の一つ「つわり」によってめまいを起こしているかもしれません。つわりによって食欲不振や吐き気、胃の不快感、嘔吐などの症状が現れます。
つわりが酷い人だと食べることはおろか、飲むことすらできなくなる人もいます。めまいと関係なさそうにも思えますが、めまいの原因の一つに「水分の不足」があります。
つわりによって水分の不足を引き起こすと血液がドロドロになり、流れが悪くなります。その結果、血液が回りにくくなりめまいを引き起こす可能性があるのです。
2.妊娠悪阻(にんしんおそ)
妊娠悪阻とはつわりが更に悪化した状態のことです。妊娠悪阻は食べることが完全にできなくなる病気で、胃液や血液が混ざった嘔吐もくり返すようになります。
悪化していくと体全体の栄養がなくなっていき、めまいや頭痛、意識障害などの脳症状や肝臓機能の障害が発生します。
3.妊婦貧血
妊娠するとお腹の中の赤ちゃんのためにも血液が必要になってくるので、たくさんの血液を作らないといけません。
自然と血液は増加するのですが赤血球が増えないので貧血になる妊婦さんがたくさんいます。貧血の主な原因が赤血球の材料となり「鉄」を不足した鉄欠乏症貧血です。
貧血になると血の巡りが悪くなるので、立ちくらみ(めまい)を起こす可能性があります。その他にも顔色が悪い、息切れしやすいなどの症状があります。
貧血は自覚することが難しいので、立ちくらみ以外にも貧血に当てはまる症状がないか考えてみましょう。
4.自律神経の乱れ
妊娠するとホルモンバランスの乱れや出産への不安から、自立神経が乱れることがあります。自律神経は交感神経と副交感神経をコントロールする働きがあります。
交感神経は不安や緊張などのストレスが溜まると、血圧や心拍数が上がって呼吸が浅くなります。反対に副交感神経が活発になるとリラックス状態となってしまいます。
自律神経が乱れることによって動悸や息切れ、めまいなど引きおこすかもしれません。落ち着いているはずなのに、動悸、息切れが頻繁に起こるなら別の病気の可能性があります。
できるだけ早く医師に相談して診てもらいましょう。
5.高血圧
妊娠すると赤ちゃんのために血液が増えたり、血圧が変化するので高血圧になることがあります。そのため、通常のときと高血圧の診断基準は変わってきます。
めまいの原因として高血圧を挙げていますが、正確には高血圧でめまいは起こりません。めまいが起こることで高血圧になるのです。
めまいが起こる原因は低血圧になったときです。ではなぜ高血圧を挙げたのかというと、高血圧の人が服用する血圧を下げる薬でまれにめまいが起こるからです。
めまい・立ちくらみの対処法
めまいや立ちくらみが起こりやすいのは急に立ち上がったときや頭の向きを変えたとき、朝目覚めたとき、長時間立ち続けたときです。
これらを避けるためにも以下のことを意識して行動するようにしましょう。
- 急に立ち上がらない
- 時間をかけて立ち上がる
- 適度に座るかしゃがんで休憩を挟む
- 横になっているときは足を高くして上半身に血液を送る
- 頭を動かすのも止まっている状態から急に動かさない
- 血液が体中に回ることを意識して時間をかけて行動する
めまいを予防する4つの方法
めまいの原因はたくさんあるため、完全な予防は正直難しいです。ただ、それでもやらないよりはマシなのでこれから妊娠による症状が原因で、めまいが起きていた場合の予防法を書いていきます。
予防法を試してみても一向にめまいが改善されない、軽減されない場合は別のところに原因があるかもしれません。すぐに病院で診てもらうことをおすすめします。
- ビタミンB6を摂取する
- 鉄分を摂取する
- 過度なストレスを避ける
- 禁煙
1.ビタミンB6を摂取する
めまいの原因につわりと妊娠悪阻があります。つわりに対して有効なのが、ビタミンB6です。妊娠悪阻の場合は悪化すると命に関わるので病院で診てもらいましょう。
ビタミンB6は実際につわりの軽減として治療にも使われたりします。また、ビタミンB6はつわりの軽減以外にも赤ちゃんの脳の発達や免疫力にも関係しているので摂取しましょう。
2.鉄を摂取する
貧血の予防として鉄を摂取しましょう。妊娠中になる貧血の90%は鉄不足が原因のため、積極的に摂取しましょう。
妊娠中の貧血はめまいだけではなく、早産や低出生体重児の原因となることがあります。そのため、ビタミンB6同様、鉄を多く含んだ食品を摂るようにしましょう。
3.過度なストレスから避ける
ストレスが原因で自律神経が乱れる可能性があります。ストレスを溜めないためにも、外に出るのはしんどいかもしれませんが、少しでも日の光を浴びましょう。
また、それ以外にもできるなら適度な運動、規則正しい生活を送るようにしましょう。そうすることで自律神経は整っていきます。
4.禁煙
妊娠中にタバコを吸う人は少ないと思いますが「タバコ」には血管を収縮させる作用があります。血管が収縮することで血流が悪くなり、めまいが起こる可能性があります。
また、煙の中にはフリーラジカルという分子が入っています。フリーラジカルはがんの原因となるもので、DNAの障害や遺伝子の突然変異を起こす危険性があります。
葉酸サプリの摂取でめまいを予防
葉酸サプリに含まれる葉酸とビタミンB12は一緒に摂ると造血作用が生まれます。また、葉酸サプリの商品によっては鉄も含まれているため、貧血の改善もできるように作られています。
その他にも、つわり軽減に有効なビタミンB6も含まれているものもあるので、葉酸サプリを摂取すれば、めまいの原因の2つ「貧血」と「つわり予防」に期待できます。
葉酸サプリなら多くの妊婦さんが苦痛に感じているつわりがあっても、飲みやすくなっています。ただ、飲みやすいぶん量を守らないと過剰摂取になってしまうことがあります。
葉酸サプリを摂取するなら、しっかりと用法用量を守りましょう。めまいがあまりに酷い場合は自己判断せず、病院で診てもらうようにしましょう。
葉酸サプリならつわりと貧血を予防しつつ、めまいも対策できるんだ。
そうじゃ。ただ、サプリなら簡単に摂取できてしまうから過剰摂取には注意するのじゃぞ。
まとめ
めまいを軽く見る人がほとんどですが、妊娠中のめまいは倒れたりして赤ちゃんに影響を及ぼすかもしれません。そのため、妊娠中だけでも軽く見てはいけません。
妊娠初期にめまいを起こす人は意外と多く、約4割の人に見られるという調査結果が出ていました。
めまいには原因と種類がたくさんあって特定することは大変難しくなっています。3~4割は特定できないといわれています。
妊娠してはじめてめまいを起こしたなら、妊娠中の症状が原因かもしれません。原因が把握できているのであれば、それにあった対処をしましょう。
貧血だとつわりが酷くても摂取しやすい葉酸サプリがおすすめです。もちろん葉酸に頼らなくても食事から摂取できるなら食事が一番です。
めまいが起きてなかなか治らない場合は脳の病気かもしれません。少しでも異変を感じたら病院に行くようにしましょう。
- めまいには色々な原因が考えられる
- 考えられる原因が多いので特定が難しくなる
- 治療は症状に合わせて行われる
- めまいが起こらないようにゆっくり行動することが大切
- めまいの予防に葉酸サプリは期待できる