基礎知識

ヘム鉄と非ヘム鉄の違いって?妊娠中に必要な鉄は【コレ】で決まり!

妊娠中に必要な鉄はコレ!!

近年、鉄分を不足する女性はどんどん増えてきています。妊娠すると鉄分は赤ちゃんに酸素や栄養を送っていくために必要なため不足しているのは大問題です。

そのため、鉄分を摂取することが大事なんですが、実は鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があるのです。

そこで今回は、なぜ女性は鉄分不足になりやすいのかについて解説し、その後鉄分を摂取するならヘム鉄がいいのか、非ヘム鉄がいいのかまとめていきます。

どうして女性は鉄分不足になりやすいのか

どうして女性は鉄分不足になりやすいのかというと、生理や妊娠があるからです。生理や妊娠によってたくさんの鉄分が必要です。量でいうと男性の1.5倍から2倍ほど必要になってきます。

実際に厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」の発表と「鉄の食事摂取基準」を比較して確認してみましょう。

平均摂取量

  • 15歳~19歳 6.5g
  • 20歳~29歳 6.5g
  • 30歳~39歳 6.7g
  • 40歳~49歳 6.5g

10代~40代まで平均的に1日あたり6.5gほど鉄分を摂取しています。ちなみにこれはあくまで平均の摂取量なので、参考程度にしておいてください。

食事摂取基準(推奨量)

月経なし 月経あり
15歳~17歳 7g 10.5g
18歳~29歳 6g 10.5g
30歳~49歳 6.5g 11g
妊娠初期(付加量) +2.5g
妊娠中期・後期(付加量) +15g
授乳婦(付加量) +2.5g

生理と妊娠がなければ、10代~40代まで推奨量を満たすことができています。しかし、生理または妊娠になるとまったく足りていません。

鉄分が足りていないと貧血などの症状があらわれます。妊娠中に貧血になると赤ちゃんに栄養と酸素を送ることができず、早産の原因になる危険性があります。

妊娠中期・後期を見てもらうと、他の時期よりもたくさんの鉄分を必要としていることがわかります。

これは赤ちゃんが大きくなり必要とする栄養が増えることもそうじゃが、出産をする際に血液がなくなってしまうからでもあるのじゃ。そのため、他の時期よりも鉄分がたくさん必要じゃぞ。

生理や妊娠によって、鉄分を不足している女性はどんどん増えてきています。また、若い世代は痩せることへの願望が強く、とくに不足しがちです。

その結果貧血を引き起こしたり、妊娠中だと早産の原因にもなったりするのです。そのため、鉄分の摂取は積極的に行わないといけません。

貧血になったことがない人は意識しなくても大丈夫?

「私は貧血になったりしたことないから、鉄分を意識して摂らなくても大丈夫かな?」と思う人もいるでしょう。

実は、鉄分は摂取しても100%の鉄分が働くわけではなく、不足したときように約30%ほどは貯蔵されます。

そのため、鉄分を不足したとしても貯蔵されている鉄分が働きだすので、症状があらわれることはないのがほとんどなのじゃ。

症状があらわれていないだけで、もしかしたら貧血になっている可能性もあることを妊娠、出産のためにも知っておいてください。

注意してね!気づかずに鉄分を不足している女性はたくさんいると考えられています。

ヘム鉄と非ヘム鉄について

貧血を防ぐため、健康な赤ちゃんを生むためには鉄分の摂取が大事です。しかし、鉄分を摂取するといっても、ただ鉄分の多い食品ばかり食べるのはもったいないです。

鉄分には『ヘム鉄』と『非ヘム鉄』の2種類があります。それぞれ違った特徴を持っています。特徴を詳しく知ることによって効率よく鉄分を摂取しましょう。

効率よく摂るためにヘム鉄と非ヘム鉄の違いについて勉強しよう!

ヘム鉄とは

ヘム鉄とは赤血球のヘモグロビンに由来したものです。もともとヘモグロビンを含んだ動物性食品、牛や豚などの肉類、マグロやカニなどの魚介類に含まれています。

動物性から摂ることができるヘム鉄の吸収率は10%~20%ほどとなっています。そのため、ヘム鉄を100g含んでいたとしても、100g摂れるわけではなく、実際は10g~20gほどです。

非ヘム鉄とは

非ヘム鉄は大豆やエンドウ豆などの植物性食品に含まれています。動物性と植物性どちらも大きくみれば同じ「鉄分」ですが、物質の性質がヘム鉄と違うため、非ヘム鉄と呼ばれているのです。

性質の差として吸収率は2%~5%とヘム鉄に大きく劣ります。ちなみに栄養補助食品で見かける「鉄」とは非ヘム鉄が含まれている場合が多いです。

ヘム鉄が添加されている場合は「ヘム鉄」と表記されます。ヘム鉄のほうが吸収率は優れていますが、実は食事で吸収しているほとんどが非ヘム鉄です。

ヘム鉄と非ヘム鉄を多く含む食材

「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」それぞれ多く含んだ食材を紹介するのですが、ヘム鉄を多く含んだ食材ばかり食べても意味はありません。

ヘム鉄のほうが吸収率が優れているので、効率よくヘム鉄ばかり摂りたいのはわかります。しかし、ヘム鉄や非ヘム鉄どちらかだけを食べるというのはありません。

じゃあ、ヘム鉄と非ヘム鉄を多く含んだ紹介をそれぞれする意味はあるの?

ヘム鉄のほうが吸収率は優れているが、非ヘム鉄はヘム鉄と一緒に摂ることで吸収率が上がるのじゃ。じゃから、それぞれを知ってバランスよく食べるのが大切なんじゃ。

ヘム鉄を多く含んだ食材

  • 鶏レバー
  • カキ
  • 牛レバー
  • 牛肩ロース
  • 七面鳥 もも肉のロースト

上記5つがヘム鉄を多く含んでいます。基本的に肉類はレバー系に多く含まれています。魚介類ではカキ以外にも、マグロやエビにも含まれているので食べやすいものを選びましょう。

魚介類よりも肉類のほうが全体的にヘム鉄が多く含まれています。しかし、肉類ばかり食べないで栄養を考えて、バランスよく食べるようにしましょう。

非ヘム鉄を多く含んだ食材

  • 大豆
  • レンズ豆
  • 赤インゲン豆(金時豆)
  • 木綿豆腐
  • ほうれん草

非ヘム鉄を多く含むのは上記5つです。主に豆類に多く含まれているので豆類を積極的に食べるといいでしょう。

とくに大豆がおすすめじゃ。大豆は非ヘム鉄以外にもたんぱく質が豊富じゃから健康にもよく、一石二鳥じゃぞ

たんぱく質は三大栄養素の一つとして数えられます。筋肉や皮膚の構成、病気から守る免疫力の向上など健康で生きていくうえで欠かせません。

また、脂肪分も低めなので太る心配もありません。

注意してね!ちなみに肥満になると流産の原因になる可能性もあるので、気をつけましょう。

非ヘム鉄の吸収を良くする方法

非ヘム鉄を多く含んだ食材を食べたとしても、相性の悪い成分と一緒に摂っていたら意味はありません。

もともと吸収率が低めのヘム鉄ですが、さらに効率よく吸収するために良い栄養素と、吸収率を悪くしてしまう成分を紹介します。

相性の良い栄養素

非ヘム鉄の吸収効率を良くしてくれる栄養は『たんぱく質』『ビタミンC』です。この2つと一緒に摂ることがもっとも効果的です。

たんぱく質には動物性と植物性の2種類があり、鉄と相性が良いのは「動物性」のたんぱく質じゃ。

動物性食品に含まれるヘム鉄はそのまま吸収することができます。しかし、非ヘム鉄は一度ヘム鉄に変化してから吸収する必要があるのです。

そのせいで非ヘム鉄は吸収率が落ちるのですが、この変化するときにたんぱく質とビタミンCが非ヘム鉄を助けてくれます。

たんぱく質

動物性たんぱく質は肉類・卵類・魚類に含まれています。この中でも肉類と卵類はたんぱく質を豊富に含んでいます。

たんぱく質は不足すると体力や免疫力の低下などが起こります。過剰摂取に関しては現段階では問題を確認されていないので、積極的に摂るといいでしょう。

ただ、たんぱく質が豊富な食べ物はすべてカロリーも高めになっています。積極的に摂ることも大事ですが、栄養バランスを無視すると肥満になってしまいます。そのため、栄養バランスを第一に考えて積極的に摂ってください。

ビタミンC

ビタミンCはレモンやみかんなどの柑橘類に多く含まれていることが有名です。それ以外にも、ピーマンや芽キャベツ、ブロッコリー、パセリなどの緑黄色野菜にも含まれています。

注意してね!ビタミンCを不足すると免疫力が下がってしまいます。下がることで風邪などの病気にかかりやすくなるので注意してください。とくに妊娠中は免疫力が下がってしまうので注意が必要です。また、それ以外にも骨が弱ってくる可能性もあります。

過剰摂取しても体内で吸収率が調整され、いらない分は尿から排出してしまうので心配はありません。ただし、医薬品またはサプリメントからビタミンCを摂取した場合、下痢や腹痛になったと報告されているので十分な注意が必要です。

相性の悪い成分

相性の良い栄養成分があれば、反対に相性の悪い成分もあります。それは以下になります。

Dietary Reference Intakes for Vitamin A, Vitamin K, Arsenic, Boron, Chromium, Copper, Iodine, Iron, Manganese, Molybdenum, Nickel, Silicon, Vanadium, and Zinc.を参考にしています。

  • タンニン
  • フィチン酸
  • ポリフェノール
  • カルシウム
  • 大豆に含まれる一部のたんぱく質

お茶に含まれるタンニンもポリフェノールの一種ですが、わかりやすいように別にしています。

フィチン酸とは小麦や米などの穀類やインゲン豆などの豆類に含まれています。がん細胞の抑制など抗酸化作用があります。しかし、フィチン酸によって、鉄分の吸収を阻害してしまうので注意しましょう。

ポリフェノールとは、たくさんの植物に含まれ、植物の色素や苦味の成分、細胞の活性化などの役割を担っています。ポ

ここでワンポイントリフェノールには上記の「タンニン」や、ワインやリンゴに含まれる「カテキン」、ブルーベリーに含まれる「アントシアニン」などがあります。

ポリフェノール類を摂取すると鉄分の吸収を邪魔してしまうと報告されているので、一緒に摂らないようにしましょう。ちなみにポリフェノールを過剰摂取すると便秘や女性ホルモンの乱れの原因になるので注意してください。

カルシウムは骨を強くするなど健康に欠かすことのできない栄養素ですが、ヘム鉄と非ヘム鉄の両方の吸収を邪魔するといわれています。

注意してね!ただ、なぜ邪魔をするのか原因は分かっていません。カルシウムは大切な栄養素なので邪魔するとはいえ、あまりカルシウムの摂取を控えるのはやめておきましょう。

非ヘム鉄を多く含んでいる大豆の一部のたんぱく質が、非ヘム鉄の吸収を邪魔してしまうことが報告されています。そのため、大豆はたんぱく質の摂取をメインとして摂るようにしましょう。

体にいい栄養素とかが吸収の邪魔をしちゃうのね

そうじゃな。だからといって摂らないようにすると、その栄養素の欠乏症もでるから注意するのじゃぞ

妊娠中は鉄分とビタミンAの過剰摂取に注意

鉄分を多く摂取するためにはレバーがもっとも効果的です。しかし、レバーには「ビタミンA」が大量に含まれています。

ビタミンAは成長促進や美肌効果などがありますが、妊娠初期に過剰摂取してしまうとお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼします。(※胎児の奇形に繋がる)

そのため、レバーで鉄分を補給することはあまりおすすめできません。鉄分のサプリメントで摂取するのも過剰摂取になる恐れがあるのでおすすめできません。

鉄分は食事から摂取する分には過剰摂取になることはほとんどないが、サプリメントで過剰摂取してしまうと血液や肝臓、心臓に鉄分が貯まっていくぞ。

鉄分が貯まっていくと肝硬変や心不全の原因になるかもしれません。そのため、鉄分のサプリメント摂取はあまりおすすめしません。

おすすめは葉酸サプリです。葉酸サプリは厚生労働省からも摂取するように呼びかけているのです。

ここでワンポイント本来は「神経管閉鎖障害」のリスクを低減するために葉酸の摂取が推奨されているのですが、葉酸サプリには鉄分を含んだものがあります。

そんな葉酸サプリなら神経管閉鎖障害のリスク低減と同時に、妊娠中に多い貧血の予防もできます。また、出産時には大量の血液を失うので補給のためにも最適です。

葉酸サプリの場合は「葉酸」がメインなので、鉄分をメインにしたサプリメントよりも過剰摂取になるリスクは低いでしょう。

あなたにきっと合う!ジャンル別おすすめ葉酸サプリ一覧【総まとめ】

あなたにきっと合う!ジャンル別おすすめ葉酸サプリ一覧【総まとめ】

葉酸サプリの種類 ・【2018年最新】全種類から専門家が厳選した葉酸サプリラン……
  • 鉄分がメインのサプリメントを摂るなら、葉酸サプリのほうも考えてみてはいかがでしょうか。
  • 鉄分を摂取するならレバーだがビタミンAの過剰摂取になる恐れがある。
  • ビタミンAの過剰摂取はお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼす可能性がある。
  • 鉄分のサプリよりも葉酸サプリで摂取がおすすめ。

まとめ

ヘム鉄と非ヘム鉄について解説しましたが食事から摂取するとなると、どちらか一方だけは難しいので「鉄分」として捉えましょう。サプリメントの場合は吸収率が優れたヘム鉄を意識するといいでしょう。

妊娠中期・後期は鉄分がとくに大切です。赤ちゃんに送る酸素や栄養に鉄分は大きく関わっています。きちんと酸素と栄養を送るためにも鉄分を摂りましょう。

鉄分は貯蔵用があるため、不足しても補うので症状があらわれることは少なく気づきにくいものです。あくまで貯めていたものなので、ずっと補うことはできません赤ちゃんのためにも、これを機会に食事の栄養バランスを見直してください。