ところで、葉酸サプリといえばドラッグストアでもネットでも色々な種類が販売されていますが、妊娠中に医薬品を処方しもらうこともできそうです。果たしてどちらのタイプの葉酸の方がより効果があり、安全なのでしょうか。
妊活中や妊娠中には口にするものはとくに敏感になりますし、コストや摂取量なども気になります。これらの疑問をサプリと医薬品の違いなどから、解き明かしていきたいと思います。
葉酸はお腹の中で赤ちゃんが健康的に育つために、不可欠な栄養素です。妊活中や妊娠中に葉酸を取ることが大事だということが、日本でもやっと浸透してきました。現在では母子手帳にも書かれているほどです。
サプリメントってなに?メリット・デメリット
葉酸サプリメントの「サプリメント」とはその名の通り、食事では足りない栄養素を補助的に摂取するための食品です。食品ですので服用する時間帯や量はとくに定められていません。また、医薬品と違い効き目が穏やかなため、長期間服用することが可能です。
サプリメントは大きく3種類に分けられます。
- 特定保健用食品(トクホ)
- 栄養機能食品
- 機能性表示食品
1つ目が特定保健用食品(トクホ)です。トクホは国からの審査を受け、消費者庁から許可を得られている食品で、安全性やその効果が認められています。よって、その効果や効能を表示することができるのです。
2つ目は栄養機能食品です。こちらはとくに消費者庁などから個別で許可を得ているわけではありません。しかし国の定める1日の摂取量の基準値を満たしていれば、栄養成分の効果を表示することが認められています。
最後は機能性表示食品です。こちらはその栄養成分の安全性や機能性の根拠を消費者庁に示すことができれば、その栄養成分が身体の何にどのように機能するのか、ということを表示して販売することが可能となっています。
サプリメントの種類はわかったけど、メリットとデメリットを教えて!
サプリメントのメリットは、処方箋などが無くても自由に好きな栄養成分を購入でき、一般の食品のように効き目も穏やかなため、長期的に摂取できることです。副作用もありません。
逆にデメリットは、国の審査などを受けていない粗悪品が存在することや、医薬品のような即効性が無く、摂取方法も分かりにくいといったところがあげられます。
医薬品ってなに?メリット・デメリット
一方で医薬品は、成分や製造方法に至るまで細かく管理された、効能、副作用が国から正式に認められているものとなります。もちろん安全性や品質などが確かなため、効果や効能を表示でき、服用方法も指定されています。
即効的な効果がありますが、副作用がある場合もあります。また、服用期間は主に病気が治癒するまでとなっています。
医薬品は大きく2種類に分けられます。1つ目が医療用医薬品です。こちらはいわゆる病院で医師に処方してもらう薬です。有効成分量も多く効き目も高いのですが、副作用があることもあるため、処方において医師の判断が求められます。
2つ目が一般用医薬品です。こちらは医師の処方が無くてもドラッグストアなどで購入できる薬です。副作用の度合いによってさらに細かく分かれており、第一種は薬剤師のみが販売でき、第二種、第三種は薬剤師がいなくても販売可能な薬です。
医薬品のメリットは、その効果効能と即効性です。また、国が承認しているため安全性も高く、安心して服用可能なところもあげられます。副作用に関しては気になりますが、医師や薬剤師の監視のもと処方されるのであれば、大きな心配は不要です。
逆にデメリットは、やはりその効き目の強さと裏腹に、人によって副作用が出てしまう事です。また、自己判断で複数の薬を同時に摂取したりはできないこと、もあげられます。加えてサプリメントのように手軽に手に入らないこともデメリットの1つです。
サプリメントと医薬品の違い
このように実は、同じように健康な身体を維持するためのものではありながら、サプリメントと医薬品は全く違うものです。
ただし、以前は医薬品しか存在しなかった状態から、サプリメントが増えたことにより、消費者は自分の健康状態や環境、条件などに応じて、取捨選択をすることが可能となりました。
もちろん本当に病気になってしまい、いますぐに不快な状態を取り除きたいのであれば、圧倒的に医薬品が効果が期待できます。このようなことは誰もが周知の事実です。
しかしながら、今そこにある状態をすぐに変えたいのではなく、長期的な健康を維持するため、あるいは健康を増進するためなのであれば、副作用があるかもしれない医薬品よりも、むしろサプリメントの方がおすすめの場合もあるのです。
サプリメントを飲むときは現在の状態、または将来こうなりたい状態などを相談し、必要な栄養成分をアドバイスしてもらえます。
栄養成分によってはやはりサプリメントよりも医薬品の方がおすすめ、というものも中には存在します。
産婦人科の医師に葉酸を処方してもらえるのか
妊活中や妊娠が分かった時に、葉酸を飲むことが大切なことは、広く世の中に周知されてきました。ところで、葉酸は産婦人科の医師に処方してもらうことができるのでしょうか。この答えは一定ではありません。
どうして葉酸の摂取について医師の答えはバラバラなの?
それはですね。医師の判断によるところが大きいからです。
医師によって、葉酸をサプリメントとして、あるいは医薬品として処方する場合もありますし、葉酸サプリメントを飲むようにアドバイスをしてくれるに留まるのみの場合もあります。
気持ち的には医師に処方してもらえる方が、安全で効き目も確かな気がしますが、もし医薬品であるのであれば、副作用やお腹の赤ちゃんへの影響も気になります。
では、医師に処方してもらう場合、どのような葉酸成分になるのかを見ていきましょう。
フォリアミン
一般的に、妊娠中に医師が医薬品としての葉酸を処方することはありませんが、もし医薬品として処方された場合、フォリアミンとなります。このフォリアミンには1錠に5mgの葉酸が入っています。
実は妊婦が1日に必要な葉酸の量は400μgとされています。もし1日に5mgを服用してしまうと、なんと基準値の10倍以上も摂取してしまうことになるため、注意が必要です。
というのも妊娠後期に過剰に葉酸を摂取してしまうと、お腹の赤ちゃんが喘息になってしまう危険があるというデータも存在しています。
過剰な摂取の値が大体1日に1000μgを長期間取り続けることと言われており、もし1日に5mgを服用し続けると、瞬く間に過剰摂取となってしまいます。
もちろん医師から処方される時に、服用量などの注意事項が明示されるはずですが、摂取する時に自分自身でも服用量を気を付けなければなりません。
パルトックス
パルトックスはフォリアミンのジェネリック薬品として処方されることもある医薬品です。主にはこちらも妊婦にとって欠かせない栄養素であるパントテン酸の不足を補うための成分ですが、葉酸としての効能もあり、処方されることもあります。
パントテン酸も葉酸と同様、ビタミンB群に含まれます。ビタミンB群は主に相互に作用しながら効果を発揮しているため、パントテン酸は葉酸と共に働いてくれます。葉酸サプリメントとパントテン酸を一緒に摂取することもおすすめです。
パントテン酸は食品に多く含まれており、あまり不足することは無いのですが、妊娠中はいつもより多くパントテン酸を消費するため、不足してしまうこともあります。不足すると、疲労感が出たり、頭痛、食欲不振になることもあるため、とくに妊娠中には要注意です。
パンピオチン
パンピオチンもパルトックスと同様に、フォリアミンのジェネリック医薬品として医師から処方されることがあります。パンピチオンと同じく、パントテン酸を補うことが一般的な目的です。
あまり知名度の高くないパントテン酸ですが、普通に生活している分には、あまり不足してしまう事はありません。パントテン酸は代謝において、重要な役割を果たしています。
よって、細胞や身体内の組織を正常に保ったり、損傷した部分を修復することに役立っています。副腎皮質ホルモンの分泌にも大切な成分です。
一般的な生活においては、カフェインやアルコールの摂取、もしくはストレスによって、過剰に消費されたり、消費が阻害されて不足することが起こります。
しかし妊娠中や授乳中の女性も消費量が増えるため、稀に不足することがあるのです。同じビタミンB群でもある葉酸サプリメントと共に摂取することも効果的です。
「葉酸サプリ」VS「医薬品」どっちがおすすめ?
このように、サプリメントと医薬品の違い、また医薬品として葉酸を処方される場合の内容、注意点を見てきましたが、どちらで摂取するのがおすすめなのでしょうか。
医師から処方される医薬品のほうが良さそうだけどダメなのかな?
確かに葉酸を医薬品として医師から処方される方が安心な気がしますが、やはり成分が多く効果が高い分、過剰摂取や副作用など心配な面もあります。
逆に葉酸サプリメントだと全てが国や消費者庁に承認されているわけではないため、粗悪品に当たってしまう被害も考えられますので注意してください。
選択肢が増える分、消費者の賢い選択が求められるため、迷ってしまいそうです。双方のメリット、デメリットを比較しながら、より良い答えを導き出していきましょう。
葉酸サプリのメリット・デメリット
葉酸サプリメントで葉酸を摂取するメリットは、まずは医薬品と違い手軽にどこでも手に入る気軽さがあげられます。どこのドラッグストアでも、オンラインショッップでも見つけることができることでしょう。
また、一般の食品と同様に副作用の心配がありません。また、サプリメントであれば他の栄養成分などと組み合わせて服用することができます。
妊活中や妊婦に必要な栄養素は葉酸だけではありません。葉酸は不可欠ですが、量にしてみれば実に微量です。であれば葉酸だけを気にするのではなく、バランスよく必要な栄養素を取れる、妊活中もしくは妊娠中のサプリメントを服用するのもおすすめです。
デメリットはやはり国や消費者庁が監視しているわけではないため、残念ながら粗悪品も混在している点です。これは消費者が自分自身の責任で、判断しなければなりません。
医薬品(葉酸)のメリット・デメリット
葉酸を医薬品として処方されて摂取される場合の最大のメリットは、葉酸サプリメントと違い、医師に処方されているという安心感だと思います。また、成分から製造方法まで国が監視し、承認している医薬品としての安全性や、効果の確実性もあげられるでしょう。
デメリットとしては、効果が高い分、過剰摂取をしてしまった時や、その副作用への心配があげられます。葉酸の過剰摂取によるリスクはまだまだ知られてはいませんが、そのようなデータが存在するのであれば、妊活中や妊婦としては敏感になってしまうはずです。
また、他にも摂取したい栄養成分があったとしても、自由に自分の裁量や判断で組み合わせや追加をすることができません。全て医師と相談のもとで、ということになり少々手間がかかってしまいます。
葉酸サプリは添加物が多いからダメ?
葉酸サプリメントで気になる点の1つとして、サプリメントは添加物がたくさん入っているのではないかという心配があると思います。
確かにサプリメントを製造するにあたり、品質の安定や効果を高めるために添加物を使うことは必要なことです。また、製造を容易にするためももちろん使われています。
ただし、これはサプリメントに限ったことではありません。医薬品にももちろん添加物は使われています。添加物は上記の通り、悪いことだけではありません。
添加物は医薬品にも使われているんだ!でも添加物って悪いものじゃないの?
添加物は悪いものではありません。飲みやすさ、コストを下げるため、製造しやすさ、品質の安定、有用性を高めるためなど様々な理由により、正当に使用されています。
サプリメントだから添加物が多く含まれている、という判断ではなく、不要な添加物が多く含まれているサプリメントを選ばないようにしなければならないのです。
とくに、人工甘味料や合成着色料が添加物として含まれているサプリメントは、極力避けるようにしてください。
妊娠中はビタミン&ミネラルも摂れる葉酸サプリがおすすめ
実は妊娠中の葉酸サプリメントの摂取は、厚生労働省も推奨していることを知っていますか?
胎児の神経管閉鎖障害のリスクを軽減することが世界中で広く周知され、日本でも遅かりしながら厚生労働省も日本先天性異常学会も葉酸サプリメントの摂取の必要性を発表しています。前述の通り、母子手帳にもはっきりと明記されているほどとなりました。
日本先天異常学会は、神経管閉鎖障害(脳や脊髄の障害)の発症リスクを低減するために次のメッセージを発信します。妊娠を計画する女性、妊娠が考えられる女性は、妊娠前4週から妊娠12週まで葉酸サプリメント 400 マイクログラム = 0.4 mg/日を摂取することで、お子さんに神経管閉鎖障害が起きる可能性が減少します。
また、食品で葉酸を取ることもできますが、サプリメントの摂取が推奨されるのは、葉酸が水溶性の成分のため、調理の際の熱や水によって多くが失われてしまう可能性があり、大量に摂取をしないと、基準値に達しないからです。
ただし、注目しておきたいのは、葉酸が必要なのは十分承知したとしても、葉酸だけが妊娠中に必要なわけではありません。健康な胎児を育てるため、またお母さんが健やかに過ごすために、妊娠中はビタミンやミネラルもバランスよく摂取する必要があります。
そこでおすすめは、葉酸に加えビタミンやミネラルも総合的に摂取できる葉酸サプリメントです。鉄やカルシウムなども女性が慢性的に不足しがちな栄養素ですし、ビタミンが入って入ればさらに万全です。
個別で容量を気にしながら服用するよりも、最初からバランス良く配合されていれば、1種類飲むだけで栄養素同士が相互に作用してくれるので、さらに高い効果も期待できます。
まとめ
妊活中や妊娠中は口に入れるものにはとくに敏感になるものです。葉酸を摂る必要があると一口に言われても、世の中には様々な葉酸が溢れかえっており、何を選んでよいのか分からなくなってしまいます。
しかしこれまでの葉酸の摂取方法の、医薬品からサプリメントまで、そして葉酸のみの物から複合的なものまで色々と検証してみました。
総合的に判断すると、葉酸プラス他の栄養素、ビタミンや鉄、カルシウムなどのミネラルを最初から含んだ葉酸サプリメントを服用することが、心身ともに負担が少なそうです。
理由は手軽さと副作用の無さ、また厚生労働省も発表している効能の高さです。でも中には添加物が多く、成分の少ない粗悪品も出回っています。大事な赤ちゃんとお母さんの身体のために、情報を見極めて正確なものを抽出し、賢く判断していきましょう。
それでも心配なときには、医師や専門家、薬剤師へ相談してみることもおすすめします。心配事が増えるとストレスは母体にも胎児にも悪い影響を与えかねません。心配事やストレスを少しでも軽減し、心身ともに健やかな妊活、妊娠生活を送るよう心がけましょう。
- サプリは食事では足りない栄養素を補助的に摂取するための食品
- 医薬品は即効的な効果がありますが、副作用がある場合も。
- 産婦人科の医師に葉酸は処方してもらえる
- 妊娠中は医薬品よりも葉酸サプリがおすすめ
- 葉酸の摂取は厚労省・日本先天異常学会が推奨している