基礎知識

【警告】妊娠中の喫煙が胎児に与える悪影響が怖すぎる…

喫煙といえばがんくらいの認識で、自分への健康影響としては正直ピンと来ない方が多いかもしれません。

しかし、そのまま妊娠しても喫煙を続けていると赤ちゃんに悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。

喫煙は自分だけではなくお腹の中の赤ちゃんのことも考えないといけません。そこで今回は妊娠中に喫煙をしたときの危険性について解説していきます。

タバコはなぜ吸いたくなる?喫煙率はどれくらい?

世の中は妊活から産後まで禁煙することを推奨していますが、禁煙することが出来ず悩んでいる人はたくさんいるでしょう。

そもそも、なぜタバコは吸いたくなるのでしょうか。吸いたくなる仕組みを理解することで禁煙につながることもあるので、ぜひ知ってください。

また、どれだけ同じように悩んでいる人はいるのか喫煙率も気になりますよね。喫煙率も一緒に紹介していきます。

どうして、タバコってやめられないの?

それはじゃな、タバコに含まれる「ニコチン」に原因があるのじゃ。

タバコが吸いたくなる原因は「ニコチン」

タバコを吸っている方なら知っていると思いますが、タバコの葉の中にはニコチンという化学物質が含まれています。ニコチンは化学物質として毒物指定されているもので、神経細胞に作用する猛毒性を持っているのです。

喫煙をすることによってニコチンは煙から吸収され体内に取り込まれていきます。その後、体内に取り込まれたニコチンは全身に一気に広がっていきます。

広がったニコチンは中枢神経にあるニコチン性アセチルコリン受容体と結合すると、大量のドーパミンが放出されます。

ドーパミンは快楽をもたらす神経伝達物質で、大量の放出によって喫煙者は心地よさを感じることができるのです。喫煙によって取り込まれたニコチンは30分ほどすると体内から消え、神経はドーパミンの放出量を減らします。

その結果、喫煙者はドーパミンを不足し不快感を味わいます。ドーパミンによる心地よさと不快感によってニコチンに依存してしまうわけです。

注意してね!ニコチンには中毒性があり、子供がタバコの葉を誤食してしまうと中毒を引き起こして、命を落とすこともあるので、小さいお子さんの手の届かないところに置きましょう。

妊娠中の女性の喫煙率は3.8%

厚生労働省の「次期計画における指標に対する目標の考え方等について」によると平成26年度の段階で男性は32.2%、女性は8.2%でした。男女ともに10年間で減少傾向があるようで、今後さらに減っていくと思われます。

妊娠中も喫煙している人は3.8%で、過去に比べて喫煙率は倍以上減ってきていますが、それでも本来なら0%を目指さなければいけません。

育児期間中になると父親の喫煙率は41.5%、母親の喫煙率は8.1%と妊娠中から喫煙する人が増えています。

一応この10年間での減少を考えると、今後の10年間でさらに半減した数字になると予想されています。ただ、こちらも同様に0%になるのが理想です。

妊娠中に喫煙した場合の症状

喫煙というのは健康にさまざまな悪影響を及ぼしてしまいます。それは妊娠中も例外ではありません。妊娠中に喫煙すると以下の症状がでる可能性があります。

  • 早期破水
  • 前置胎盤
  • 胎盤異常
  • 早産

妊娠中に喫煙すると胎盤に異常を起こしたり、妊娠期間が短くなったりするなどのことが起きる可能性が高くなってしまうのです。

上記以外にも「子宮外妊娠・自然流産・口蓋裂」も喫煙が関係しているといわれています。こちらはあくまで可能性なので断言はできませんが、喫煙が無関係ともいえないので注意したほうがいいでしょう。

葉酸摂取で流産を回避すべし

流産の確率は6人に1人!葉酸摂取で『流産率20%低下』の理由とは?

[pickup] 流産とは 流産とは妊娠22週目よりも前に妊娠が終わってしま……

(参考サイト:e-ヘルスネット「喫煙の妊娠出産などへの影響」)

早産と本数に関係はある?

妊娠中の喫煙本数と早産率は大きく関係しています。1日の喫煙本数と早産率は以下の表になります。

非喫煙 6%
5本以上 7%
6本~10本 11%
11本~20本 13%
21本~30本 25%
31本以上 33%

1日に1箱以上喫煙すると、高確率で早産の原因となることがわかります。本数が多い人は少しでも良いので量を減らしていきましょう。

(参考サイト:飲酒、喫煙と先天異常)

妊娠中に喫煙すると赤ちゃんに障害が発生する?

妊娠中に喫煙すると「低出生体重児」の原因となります。タバコを吸っていない夫婦に比べて赤ちゃんの体重は200g軽くなり、出生時の体重が2500gの赤ちゃんが生まれる確率は2倍ほどになります。

さらに、無事出産できても喫煙していると出生後に「乳児突然死症候群(SIDS)」という病気の原因になるかもしれません。

乳児突然死症候群とは名前のとおり睡眠中になんの予兆もなく突然死に至る病気です。喫煙によって赤ちゃんの体重は増えず、呼吸機能も十分に発育しないことが考えられます。

喫煙で葉酸を失ってしまう

葉酸は「神経管閉鎖障害」のリスク低減のために注目されていますが、それ以外にも血液を作ったり、赤ちゃんの発育をサポートするなど重要な働きを持っています。

妊活から産後まで大切な葉酸ですが、喫煙をすることによって葉酸を失ってしまうのです。

非喫煙者と禁煙者、喫煙者の3つに分けて葉酸の濃度を測定した研究によると非喫煙者は7.9ng/mlに対して禁煙者は7.5ng/ml、喫煙者は6.8ng/mlと結果が出ているのです。

ちなみに「妊娠初期の平均値は7.69ng/ml」で「3~6ng/mlになると葉酸低値」「3ng/ml以下は葉酸欠乏」となります。

喫煙本数が多く、葉酸を大きく不足すると低出生体重児のリスクが増加します。喫煙本数が少なくても葉酸を大きく不足していると同様にリスクが増加するので気をつけてください。

タバコを吸うと葉酸が消えてしまうんだね。

そうじゃ。喫煙するとビタミンCが壊れることは有名じゃが、実は葉酸も壊れてしまうのじゃ。

(参考サイト:妊婦の喫煙と葉酸代謝酵素遺伝子多型が出生時体重に及ぼす影響)

受動喫煙にも注意が必要です!

ここまで妊婦さんの喫煙について話してきましたが、パートナーがタバコを吸っている方は受動喫煙に注意が必要です。

タバコの煙には喫煙者本人が吸う「主流煙」、燃えているところから出る「副流煙」、喫煙者が吐き出した「呼出煙」の3種類があります。

受動喫煙とは副流煙と呼出煙が広がって混ざった煙を吸うことをいいます。受動喫煙は主に車や家庭内などの室内だと混ざりやすく、タバコの煙を吸う機会が増えてしまいますので気をつけないといけません。

パートナーが喫煙者だと継続的に受動喫煙をする機会が増えてしまいます。その結果、タバコを吸っていなくても喫煙者と同じくらい検出されることもあります。

タバコの先から出る副流煙にはとくに気をつけてください。副流煙はフィルターを通っていないため、主流煙に比べて有害です。

注意してね!ニコチンやタールも数倍になり、発がん性物質も主流煙に比べて多いことが分かっていますので喫煙者の近くに行くのはやめておきましょう。

喫煙によって失った葉酸を取り戻すために

たんぱく質に欠かせない核酸…それを作る”葉酸”はもっと重要だった!

喫煙もしくは喫煙者の受動喫煙によって葉酸を不足すると悪影響を及ぼすことが分かって頂けたと思います。

では、そのタバコによって不足した葉酸をどう摂取するのかというと「食事」「サプリメント」になります。

食事からの摂取方法と、サプリメントからの摂取方法どちらも解説していくので自分にあった摂取方法を選んでください。

食事から葉酸を摂取する方法

葉酸を摂取するには緑黄色野菜や柑橘類の果物、レバーに多く含まれています。そのため、葉酸を意識して摂るなら摂りたいなら3種類のどれかから摂りましょう。

ただ、レバーには注意が必要です。3種類の中でレバーが一番多く葉酸を摂ることができますが、その分ビタミンAの過剰摂取に注意をしなければいけません。

ビタミンAを過剰摂取すると成長を止めたり、奇形児の発生率が上昇してしまいます。そのため、葉酸を食事から摂取するなら「緑黄色野菜」「柑橘類の果物」がおすすめです。

ここでワンポイント喫煙するとビタミンCを壊してしまうので、私としてはビタミンCも補うことができる柑橘類からの摂取をおすすめします。

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サプリメントから葉酸摂取がおすすめ!

厚生労働省が葉酸摂取を推奨

葉酸は水溶性ビタミンでビタミンB群の一種です。水溶性ビタミンは熱や光に弱く、水に溶けやすい性質をもっています。

つまり、食事から摂取しようと調理の段階で半分以上は消えてしまいます。さらに葉酸は体内で吸収しやすいように一度変換をします。

その変換の過程によってまた失われていくので、最終的に体内で吸収できるのは50%以下になってしまうのです。

しかし、葉酸サプリなら調理の過程もなくすぐに吸収できるように変換されているので、食事から摂取するよりも吸収率が非常に優れています。

実際に海外の研究結果で以下のように説明をしています。

「Maternal smoking during pregnancy leads to increased risks of neonatal complications. The use of folic acid supplements might reduce the adverse effects of smoking.」

これを簡単に訳すと「妊娠中の母親の喫煙は、赤ちゃんに合併症のリスクを増加させます。葉酸サプリを使用すれば、喫煙の悪影響を軽減できる可能性がある」と発表しているのです。

葉酸サプリの使用によって喫煙の悪影響を軽減できる可能性があるので、サプリメントから葉酸を摂取することをおすすめします。

また、厚生労働省も神経管閉鎖障害のリスク低減のために葉酸の摂取を推奨しているのですが食事にプラスして栄養補助食品から摂ることを推奨しています。

注意してね!サプリなどの栄養補助食品で葉酸を摂取すると過剰摂取になるかもしれません。そのため、商品ごとの用法用量は守って飲むようにしましょう。
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まずは禁煙を目指そう!

タバコを吸う方にとってもっとも問題なのが禁煙だと思います。やめようと思っても簡単にはできず、そもそもどうやめたらいいのかわかりませんよね。

やめかたとして有名なのが「徐々に本数を減らしていく」です。徐々に本数を減らして最終的には吸わなくなることが目的で、やめれた人もいると思いますが、恐らく多くの方は途中で限界を迎えるかもしれません。

また、タールを減らしていくなど色々なやり方を試してみたけど禁煙できなかったという人もいるでしょう。

その場合は医療機関で禁煙治療を始めましょう。禁煙補助薬を使って離脱症状を抑えるので簡単にやめることができます。その成功率はなんと7割~8割となっています。

禁煙治療を行っている病院やクリニックは増えてきています。内科や循環器科、心療内科、婦人科などさまざまな診療科で受けることができます。

治すことも大切ですが、治療を続けていくことによる費用も気になりますよね。あまり高ければやはり治療の気が引けると思います。

禁煙外来による治療は健康保険を利用すれば「1日の治療費は約230円」ほどで済みます。※細かい金額は病院によって違うかもしれません。ご了承ください。

住んでいる場所、職場の近くの禁煙外来・禁煙クリニックは調べることができます。こちらのリンクからどうぞ「禁煙治療に保険が使える医療機関情報最新版

出産のために禁煙すべき期間について

妊娠しているときは喫煙してはいけないとよく言われますが、いつから禁煙をすべきなのか、いつまで禁煙するべきか説明しているサイトが少なく分かりませんよね。

禁煙はいつから?

まずいつから禁煙すべきかですが「妊活を始めたその日から」禁煙をするようにしましょう。

女性の喫煙というのは、妊娠する能力の低下の原因となってしまいます。喫煙によって不妊症になるということもありますので、妊活を始めた日から禁煙するといいでしょう。

禁煙はいつまで?

いつまで禁煙すべきかですが、できれば子供のためにそのまま禁煙を続けるのが理想です。子供が受動喫煙をすると喘息や気管支炎などの症状を起こす可能性があるので、そのまま禁煙を続けることが理想です。

ただ、治療を行うほどなので禁煙をするのが難しい方もいるでしょう。その場合は最低でも赤ちゃんが離乳食になるまでは禁煙を続けましょう。

授乳期に喫煙をすると母乳に悪影響を及ぼす大きな要因だといわれていますが、実は強い医学的根拠というのはありません。

「じゃあ産後すぐでもいいんじゃないの?」と思うかもしれませんが、母乳の分泌が悪くなるなどの悪影響はあるといわれているので、最低でも離乳食になるまでは禁煙したほうがいいでしょう。

また、喫煙をするときも受動喫煙による赤ちゃんへの悪影響はたくさん確認されているので、赤ちゃんのいない場所で吸うようにしましょう。あまり長時間目を離すと危ないので、誰かに見てもらいましょう。

まとめ

以上、妊娠と喫煙について解説をしました。妊娠中に喫煙すると早産や前置胎盤の原因となってしまいます。

また、出産できたとしても赤ちゃんが低出生体重児となるリスクがあり、最悪の場合は突然死に至る「乳児突然死症候群(SIDS)」を発症する可能性もあるので注意しないといけません。

喫煙をすることによって葉酸が不足し、赤ちゃんの発育を遅らせることになります。この不足した葉酸はサプリメントで取り返すのがおすすめです。

このように喫煙は百害あって一利なしです。禁煙治療は比較的簡単で費用もタバコ代より安くなっています。赤ちゃんのことを考えて治療を受けてみてはいかがでしょうか。

  • 喫煙することによって葉酸が不足し、赤ちゃんは低出生体重児になるリスクが増加する。
  • 葉酸を効率よく摂取するなら葉酸サプリがおすすめ。
  • 海外の研究結果から葉酸サプリで喫煙による悪影響を軽減できると考えられている。
  • 禁煙治療は簡単で、1箱よりも安い治療で受けられる。
  • 妊活から産後までは最低でも禁煙をするべき。