妊娠中は葉酸の摂取が厚生労働省から推奨されていますが「ビタミンB6」も必要だったことをご存知でしょうか。
また葉酸は有名ですがビタミンB6とはどういうものか知っている人は多くないと思います。そこで今回はビタミンB6とはどういうものか妊娠にどのような影響があるのか解説していきます。
ビタミンB6とは?
ビタミンB6とは水溶性ビタミンの一種です。水溶性ビタミンには他にも葉酸やビタミンB12などのビタミンB群やビタミンCなどもあります。
ビタミンB6はたくさんの食品の中に含まれているので自然な形で摂取する機会が多いです。また食品に添加することもあり、サプリメントからも摂取することができます。。
水溶性ビタミンは文字どおり水に溶けやすい性質となっているため、調理の時に水洗い、茹でるなどを長時間行うと水に溶けて、食品から消えてしまいます。
また、光にも弱い性質をもっているので、太陽の光や電気の光が当たり続けていると消えてしまいます。そのため、保存方法にも注意が必要です。
ビタミンB6の働きは?妊娠中は必要なの?
ビタミンB6の基本的な働きは、たんぱく質や炭水化物、脂質からエネルギーを作り出すこと、脳からの信号を伝える役割がある神経伝達物質の生成をサポート、ホルモンの調節です。
妊娠していなくても健康維持のために大切なビタミンB6ですが妊娠すると、より大切で摂取する必要があります。
ビタミンB6はたんぱく質が筋肉や血液などの生成と神経伝達物質の生成をサポートするため、赤ちゃんの脳の発達や免疫力にも関係しているといわれています。
その他にも「つわりを軽減」する働きがあるともいわれているのです。正直ビタミンB6を摂るだけでつわりを軽減するというのは信じにくいことだと思いますが、実際につわりの治療でビタミンB6を補給する方法があります。
つわり以外にも「月経前症候群(PMS)」の症状緩和に、ビタミンB6の神経伝達物質の生成をサポートするのにも有効といわれているので摂っておいたほうがいいでしょう。
ただ、つわり軽減と赤ちゃんの脳の発達とは違って、研究の質が高くないためあくまで可能性です。
公表されている研究では月経前症候群の女性1000人のデータを解析してビタミンB6が有効だったと発表していますが、いくつかの試験では方法論に欠点があると指摘されています。
データが少ないのは残念ですが、有効だったという事実はあるのでビタミンB6は月経前症候群の症状緩和に期待してもいいと思います。
ビタミンB6でつわりが軽減できるんだ!
そうじゃ。実際につわりが酷い人にはビタミンを摂取して軽減する方法があるのじゃ。
(参照:統合医療情報発信サイト「ビタミンB6」)
ビタミンB6を過剰摂取した場合の危険性
ビタミンB6は水溶性ビタミンのため過剰摂取しても尿の中に溶けていきます。そのため、過剰摂取になることはほとんどありません。
ただ、これは自然に含まれる食品から摂取した場合に限ります。サプリメントなどに添加されているビタミンB6だと過剰摂取になる可能性があります。
サプリメントは不足している人に向けて作られているため、たくさん吸収できるように作られています。そのため、毎日食べ過ぎると過剰摂取となり、症状が出る危険性があります。
過剰摂取して出る症状は以下になります。
- 運動ができなくなる感覚神経障害(ニューロパチー)
- 皮膚が変化し、痛みが伴う皮膚病変
- 光に対して過敏になる光線過敏症
- 吐き気や胸やけなどの消化器症状
過剰摂取すると胎児が奇形に!?
妊娠期間前半のときにビタミンB6のサプリメントを摂取していた妊婦から生まれた赤ちゃんに先天的欠損症が発生したと報告されています。
しかし、最近の観察研究の結果から妊婦から生まれた乳児と奇形は関係しているとは認められないことがわかりました。
報告された症例も1例だけなので関係していないと思いますが、あったことは事実なので念のためビタミンB6は過剰摂取しないように注意したほうがいいでしょう。
ビタミンB6を不足した場合の6つの症状
ビタミンB6は基本的には単体で不足することはほとんどありません。「葉酸」や「ビタミンB12」などの他のビタミンB群が不足すると一緒に不足します。
ビタミンB6が単体で不足するときは極端にビタミンB6だけを摂取しないか、ビタミンB6の吸収を阻害する抗リウマチ剤や抗結核剤などの阻害剤を摂取しているときです。
ビタミンB6が不足すると現れる症状は以下になります。(参照:健康食品の安全性・有効性「ビタミンB6とは」)
- 湿疹
- 口角炎、舌炎
- 貧血
- 麻痺性発作
- 脳波異常
- 免疫力の低下
ビタミンB6を不足すると上記の症状が現れますが、少し足りていないぐらいであれば症状が何ヶ月もしくは何年も現れないことがあります。
ビタミンB6は単体で不足することがないため、他のビタミン不足による症状と一緒に上記の症状がでるかもしれません。
どの症状も妊娠中は気をつけてほしいのですが特に「免疫力の低下」は気をつけたいところです。妊娠中は免疫力が低下するため不足することで、より免疫力が低下するかもしれません。
免疫力が低下するとウイルスや細菌に感染する可能性が高くなり、お腹の中にいる赤ちゃんにまで影響を及ぼす危険性があります。
こんなにも症状がでるんだ…
ビタミンB6は単体で不足せず、他のビタミンB群と不足するから上記以外の症状もでるかもしれんぞ。
妊娠中はビタミンB6をどれくらい摂取すべき?
過剰摂取と不足したときの危険性について知っていただけたと思います。ただ、普段どれだけ摂れているのか知らないし、どれだけ摂ればいいのかわかりませんよね。
そこで、厚生労働省が発表している食事摂取基準と国民健康・栄養調査を比較してみて、どれだけ摂れているのか確認してみましょう。
あくまで全国の平均なので普段からビタミンを意識して摂っている方は足りているかもしれません。普段の食事を思い出しながら参考にしてください。
ビタミンB6の食事摂取基準
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」によると18歳~49歳まで1日に1.2mg摂取することを推奨しています。
妊娠中はさらに0.2mgプラスした「1.4mg」、産後は0.3mgプラスした「1.5mg」が推奨されています。
18歳~49歳までの耐容上限量は「1日45mg」までとなっています。1回超えた程度では症状はすぐに現れませんが、何週間、何ヶ月と続くと危険なので注意しましょう。
ビタミンB6は普段どれくらい摂れているのか?
普段どれだけビタミンB6を摂れているか知っていますか。恐らく知っている方は多くはないでしょう。
私も分かりませんでしたし、摂る栄養素は意識しても量まで把握することはできません。そのため、大体どれぐらい摂れているか把握するために確認が大事です。
厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査結果の概要」によると15歳~49歳までの女性のビタミンB6の摂取量は「0.95mg」でした。
食事摂取基準に対して約0.5mg足りていません。一見少ないように思えますが、元々の必要摂取量が1.4mgなので、およそ3分の1足りていないということになります。
3分の1と考えるとかなり足りていないことがわかりますよね。さらにビタミンB6は単体で不足することがあまりないので、他のビタミンB群も不足しているということがわかります。
ビタミンB6が効率的に摂れる食品【TOP5】
ビタミンB6が不足していて摂ることが大切なのはわかっていただけたと思います。そこで、次に何に多く含まれているのか書いていきます。※成分量は100gあたりに対してです。(参照:食品成分データベース「ビタミンB6」)
- 1位:トウガラシ(3.81mg)
- 2位:米ぬか(3.27mg)
- 3位:にんにく(2.32mg)
- 4位:バジル(1.75mg)
- 5位:パセリ(1.43mg)
上記の成分量だと推奨量を超えてしまうようにも思えますが、実際に100g摂取したとしてもその数字のまま摂取できるわけではありません。
一度消化されて吸収をするので100%吸収することはできません。厚生労働省によると米飯を主体とした食事の場合、吸収できるのは73%ほどだと考えられています。
ビタミンB6を摂るなら葉酸サプリがおすすめ
葉酸サプリには葉酸以外にも人が不足しやすいビタミンB群が入っているのでビタミンB6やB12なども補うことができます。
本来であれば葉酸を含めたビタミンB群は全て食事から補うのが理想です。しかし、妊娠中だと、つわりなどの症状からそれらをすべて食事で補うのは大変です。
ビタミンB6だと米ぬか以外のトウガラシやにんにく、バジルなど匂いや刺激が強くて余計に食事で摂取するのは難しいでしょう。
そのため、妊娠中にビタミンを摂取するなら葉酸サプリのほうが体に負担がなくておすすめです。もちろん、過剰摂取しないように用法用量は必ず守りましょう。
つわりやニオイに敏感になるなどの妊娠症状がなく、普通に食事をできる方は葉酸サプリに頼らなくてもいいと思います。
たしかに、バジルとかニンニクとか匂いがキツイのは食べられないなー。
匂いだけじゃなくて食べる量も大変だと思うから、簡単に食べることができる葉酸サプリがおすすめじゃ。
まとめ
ビタミンB6は赤ちゃんの脳の発達や免疫力に関係しているといわれています。また、それ以外にもつわりの軽減にも期待ができるほど、妊娠中において大きな役割を持っています。
それだけ大きな役割を持っているだけに不足または過剰摂取すると、感覚神経障害や脳波異常などの重度な症状が現れる危険性があります。
足りているのか厚生労働省の食事摂取基準と国民健康・栄養調査を比較してみたところ、ビタミンB6が足りていないことがわかりました。
足りていないので摂取することをおすすめするのですが、ビタミンB6がたくさん含まれているのはトウガラシやニンニクといった妊娠中に食べづらいものばかりでした。
つわりなどから食べづらい方には葉酸サプリから摂取しましょう。葉酸サプリなら簡単にビタミンB6を含めたビタミンB群を摂取することができます。
ただし、簡単に摂取できるぶん用法用量を守らないと過剰摂取になる可能性があるので注意してください。
- ビタミンB6は赤ちゃんの脳の発達と免疫力に関係している
- つわりの軽減に期待できる。月経前症候群にも効果的との噂も
- 不足、過剰摂取すると重度な症状が現れる
- 厚生労働省の摂取基準に対して不足している人がたくさんいる
- ビタミンB6がたくさん摂れる食品はニオイがキツイものが多い
- 葉酸サプリから摂取すると負担がないのでおすすめ