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逆子が心配なあなたへ!妊娠後期までにやるべき『4つ』のこと

逆子を防ぐ4つのこと

出産までもうすぐの妊娠後期ですが、この時期に「逆子」だと診断されることがあります。逆子と聞くと難産を想像してしまい不安な方もいるのではないでしょうか。

逆子の出産は通常の出産に比べて危険性が高く、出産方法は帝王切開だけで不安だと思う方もいるでしょう。

不安なことばかりの逆子ですが、実は出産までに治すことができる可能性をあることを知っていましたか。そこで今回は、逆子の出産方法や治し方など解説していきます。

逆子とは?

通常、赤ちゃんは頭が下に向いていて頭から出てきます。しかし、頭が上を向いていてお尻から出てくる反対の姿勢状態を「逆子」といいます。逆子は”骨盤位”とも呼ばれます。

妊娠中期までは逆子の赤ちゃんは20%~50%ほどいます。その後、妊娠中期~後期にかけて赤ちゃんはお腹の中で自然に回転をして頭を下に向けます。

出産までに治らない逆子の頻度は3%~5%で、逆子と診断されたおよそ90%の方は自然に回転をして治っていきます。

逆子はただ反対になるわけではなく普通の出産に比べて、赤ちゃんが危険になる可能性が高くなります。

通常であれば一番大きい頭から生まれて、その後に頭より小さい手やお腹、お尻、足はすんなり生まれてきます。しかし、逆子になると一番大きな頭が最後に生まれるので、引っかかって簡単には生まれなくなることがあります。

(参考サイト:日本産科婦人科学会「骨盤位牽出術」)

逆子ってよく聞くけど意外と頻度は低いんだね。

そうじゃ。しかし、その分逆子のままだと大変なことになるのじゃ。

逆子の胎動はどの位置に感じられる?

胎動を感じる場所は個人差が大きいので、ここだと一概には言えませんが、逆子だと手や足をぶつけたりする位置が低いので、へそよりも下側に感じることが多くなっています。

出産に近づけば近づくほど子宮は下がっていき、体は出産への準備をします。そのときに胎動の位置も下がっていくので、人によってはへそよりもっと下の恥骨で胎動を感じることがあります。

逆子でなければ、手足が上にあるので胎動はへその上あたりで感じることが多いです。赤ちゃんの体勢によって胎動を感じることができる場所は違うので、参考程度にしておいてください。

逆子による障害などのリスク

逆子になって長いことお腹の中にいると発達障害、知能障害になるという噂を聞いたことがあると思います。

先に結論から言うと逆子が原因で障害児になることはありません。また、逆子が原因で発達障害、知能障害になったという報告も見つかりませんでした。

そのため、逆子だからといって障害の心配をする必要はありません。通常通り、元気に育っていくので安心してください。

ただ、逆子によって母体には影響をもたらすことがあります。逆子になることで、胎動を感じる位置が下になることで頻繁に尿意が起きたり、下腹部が痛くなるなどの症状をもたらします。

逆子になる原因

逆子になる明確な原因というのは現在見つかっておらず、原因不明ということが多くなっています。

赤ちゃんは子宮の形や動き、胎動、母体の体位などによって回転し、頭を下に向けて安定するのが一般的です。

このことから憶測ですが考えられる原因は以下になります。

  • 母体の子宮に筋腫があり、場所や大きさなどの形が定まっていない
  • 妊婦の体型が小さく、骨盤も小さい方
  • 胎盤に異常がある(前置き胎盤など)
  • 双子や3つ子の多胎妊娠
  • 赤ちゃんの奇形、発育不全
  • 赤ちゃんが回転をするタイミングを逃している。

いまだに原因は不明で多くのことが判明していませんので、上記以外のことが原因になるかもしれません。

赤ちゃん、母体どっちも原因だと考えられるのね。

そうじゃ。ちなみに赤ちゃんの奇形、発育不全が原因で逆子になると勘違いが生まれてしまったのじゃ。正確には奇形・発育不全が原因で逆子になるのじゃぞ。

逆子の出産はなぜ危険?

逆子の出産に対して帝王切開が一般的ではなく帝王切開を行う人は10%代だったころ、逆子の死亡率は通常の子に比べて5倍ほど高くなっていました。

なぜ、これほどまでに高かったのかというと「へその緒の脱出」「自然分娩そのものに危険」があったからです。

逆子で起きる「へその緒の脱出」の危険性

へその緒の脱出とは正確にいうと「臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)」といいます。臍帯脱出とは分娩時に破水することでへその緒が赤ちゃんより先にでてくることです。

破水によって赤ちゃんより先にでてきたへその緒は子宮の壁と赤ちゃんの間に挟まれて、血行が止まってしまいます。その結果、赤ちゃんに対して酸素が送り込まれなくなり、仮死状態、そして最悪の場合は死亡します。

逆子の自然分娩の危険性

通常なら最も大きい頭から生まれるので、他の部分は頭を通っているので楽になります。しかし、逆子だと最初に通る部分が小さく、最後に通るのが大きい頭なので非常に出産が困難になります。

逆子を自然分娩するとなると安全のために肩から先の手、肩甲骨付近、最後に頭というように順番に操作をしないといけません。

ただ、この操作をしているときに外傷を発生させる危険性や、へその緒を圧迫してしまう危険性があります。

これらの危険性から逆子は自然分娩すると命に関わることもあるので、帝王切開を行う人が一気に増えました。アメリカでは逆子のおよそ80%~90%は帝王切開を選んでいます。

帝王切開の有用性の報告と周産期の管理方法の進歩によって、逆子の死亡率は大きく改善することができました。

逆子の出産は帝王切開だけ?様々な出産方法について

逆子の出産は帝王切開以外に「骨盤位経膣分娩」という方法があります。難しい言い方になっていますがこれは「逆子のことを考えた経膣分娩」だと思ってください。

逆子の経膣分娩の危険性と帝王切開の選択率の高さから「帝王切開のほうが良い」と思う方は少なくないと思います。

帝王切開のほうが安全で良さそうに思えますが、帝王切開にもメリットとデメリットがあります。また、危険しかないように思える「骨盤位経膣分娩」にもメリットとデメリットがあります。

基本的には経膣分娩が危険だと判断された場合は帝王切開がおすすめされるのですが、状況によってはどちらかを選択することができます。

それぞれのメリット・デメリットと推奨する条件も併せて解説していきますので、選択するときの参考にしてください。

(参考サイト:骨盤位の管理および分娩管理法)

逆子は帝王切開でしか出産できないと思ってたわ。

一応、帝王切開以外にも経膣分娩できるのじゃが、その分リスクもあるのじゃ。

帝王切開

帝王切開のメリットは自然分娩に比べて赤ちゃんの安全性を確保することができます。臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)などの危険性なく出産することができます。

デメリットは帝王切開はあくまで手術なので麻酔による事故や異常など母体にリスクがあります。

また、帝王切開によって不妊症となる「帝王切開瘢痕症候群(ていおうせっかいはんこんしょうこうぐん)」になる可能性があります。治療法はあるので安心してください。

一度帝王切開をすると経膣分娩だと子宮破裂のリスクが高まるので、以後も帝王切開となるのがほとんどです。

赤ちゃんの体重が推定3500g~4000g以上になると危険性が高くなることから帝王切開が推奨されます。また、低出生体重児も安全性のために帝王切開で出産することを推奨されます。

ここでワンポイント帝王切開は赤ちゃんの安全性は高いのですが、母体へのリスクがあります。

骨盤位経膣分娩

骨盤位経膣分娩は赤ちゃんへの危険性はありますが、次回妊娠しても子宮破裂などのリスクは高くなりません。

帝王切開に比べて母体への危険性はほとんどありません。また、費用も抑えることができます。

ただ、赤ちゃんへの危険性があるので骨盤位経膣分娩のための条件がいくつかあります。条件は以下になります。

  • 赤ちゃんがお尻を下にしている単殿位である
  • 赤ちゃんの体重が推定2000g~3800g以内
  • 赤ちゃんの頭の角度が90度以上でないこと
  • 緊急帝王切開に対応できること

上記の具体的な条件は病院によって違っています。そのため、しっかりと担当の医師と相談しあうことが大切です。

逆子を治す4つの方法

逆子を治すことができるなら、出産までには治しておきたいですよね。逆子を正しい状態に戻す方法として以下の4つがあります。

  1. 骨盤位胎児外回転術
  2. 逆子体操
  3. お灸
  4. ツボ

1.骨盤位胎児外回転術

外回転術とは医師が母体のお腹を触って外から回転させて頭を下に治す方法です。この方法は妊娠35週か36週頃に行います。

成功率はおよそ50%と高いのですが子宮破裂や常位胎盤早期剥離など、危険な合併症を引き起こす可能性があります。

安全のためエコー検査などで赤ちゃんの状態を確認しながらしますが、最悪の場合は緊急帝王切開となることがあります。

2.逆子体操

逆子体操にはいくつか種類があります。1つがうつ伏せになって、膝を曲げます。それから胸は床につけたまま腰をできるだけ高くします。その姿勢を大変ですが10分~15分ほど維持します。

もう一つが赤ちゃんの背中が上に来るように横向きで寝るポーズです。赤ちゃんの背中側は定期健診のときに確認してもらいましょう。

3.お灸

逆子を治すために古くから行われてきたお灸があります。あまり信用できないかもしれませんが、逆子584人中、525人(89.9%)が治ったという報告がされています。

お灸は安全性が高く、何度行っても副作用がでる心配はないので妊娠中でも安心です。鍼灸治療は逆子だけではなく、陣痛の促進などにも期待できます。

4.ツボ

逆子を治すといわれているツボは2つあります。1つが「至陰(しいん)」、2つ目が「三陰交(さんいんこう)」です。

至陰は足の小指の外側にあるツボで押すことホルモンの分泌を促し、子宮と赤ちゃんの動きを活発にします。

三陰交は内側のくるぶしの頂点から上に指一本ぐらいの高さのところにあります。三陰交を押すことで体が温まり、活発化させることができます。

ツボによっては押しすぎると刺激が強すぎることもあるので、自分の判断で行わず鍼灸院で診てもらってからしましょう。

まとめ

逆子とは妊娠中期までなら多くの方に見られ、ほとんどが自然に治っていくものです。しかし、逆子になった数%は治りません。

「逆子になると知能障害になる」などの噂がありますが、一切そのような報告はでていませんので安心してください。

ただ、逆子になると出産がとても大変です。母体にリスクのある帝王切開か、赤ちゃんにリスクがある経膣分娩を選ばないといけません。選ぶのが難しいと思う方は逆子を治すことに期待ができる4つのどれかを頑張ってやりましょう。

  • 妊娠中期までなら50%ほど逆子が見られるが妊娠後期になると3%~5%になる。
  • 逆子による障害は発生せず、健康に育っていく。
  • 逆子の原因は不明で明確なものが見つかっていない。今のところ原因は母子どちらも考えられる。
  • 逆子の出産方法は「帝王切開」と「経膣分娩」のどちらか、どちらもリスクはある。
  • 逆子の治療には4つあり、鍼灸治療が最も期待できる。