基礎知識

【パントテン酸】妊娠~産後まで摂取が大切!不足は流産の原因に!

パントテン酸

パントテン酸はビタミンの1種で、元々は酵母の成長を促進させる物質として発見されたものです。その後研究の結果によりこの物質が欠乏すると成長が阻害される、皮膚炎が起こるなどといったことが解り、それからビタミンとして認識されるようになりました。

またパントテン酸は体内のエネルギー産生時に重要な補酵素の成分となる他、脂質や糖質の代謝において重要な役割を果たします。

これらのことから妊娠中においては胎児の健やかな成長、妊娠脂肪肝の予防、産後においても母子ともに健やかな成長を維持するために欠かすことができない栄養と考えられており、日頃から不足しないよう努めていく必要があります。

これまでは不足しなければよいという考え方がされていた栄養ですが、昨今では積極的な摂取がメタボリックシンドローム対策になるとも考えられており、産後の肥満予防に効果があるものとしても期待が高まっています。

パントテン酸(ビタミンB5)とは?どんな働きをするの?

パントテン酸は、糖質やたんぱく質、また脂質の代謝、そしてエネルギー産生に欠かせない酵素の補助をする栄養です。またこの他、コレステロールやホルモン、また免疫抗体などの合成にも関係があり、皮膚や粘膜の健康維持においても大きな役割を果たします。

つまりパンテトン酸の働きというのは身体の成長をはじめ、調子を整え、免疫力の維持など健康を保つ上で欠かすことができないものと言えます。

ストレス緩和の効果もあると言われているため、身体だけでは無く心の健康を保つためにも大きな役割を担う栄養でもあります。

この他にも動脈硬化の予防、肌と髪の健康を保つなどさまざまな働きをしてくれますから、健康だけでは無く美容面においても担うものは大きいでしょう。

全身の細胞と組織の健康維持に深く関わっている栄養であり、不足すれば様々なバランスが崩れてくるため、健やかな身体を保つためには欠かすことができません。

善玉コレステロールを増やす、自律神経の働きを維持するなどの作用もあることから、下痢などの不調に悩まされやすい場合においても果たしてくれる役割は大きいです。

成長、精神状態、免疫力や各機能を上手くコントロールしていくためにはパントテン酸を充分に摂る必要があり、特に妊娠中においては身体に様々な不調が生じやすくなりますから、意識して備え、必要な栄養を摂取していけるよう努めなければなりません。

パントテン酸というと美容のイメージしかなかったわ!

多くの美容系の商品に使われているから、たしかにそのイメージが強いじゃろう。しかし、免疫力など健康に大切な栄養素でもあるのじゃ。

パントテン酸はどうして妊娠中に必要なの?

妊娠中には母体だけでは無く胎児の成長のためにも、普通より多くの栄養が必要になります。

この点についてはあらゆる栄養において同じことが言えますが、特にパンテトン酸においては人体の成長そのものに大きな関わりを持ち、これが不足すれば胎児の成長停止や母体の副腎障害などの影響が出てくるため、より注意が必要なのです。

パントテン酸は代謝に関わる重要な栄養であるため、妊娠中や授乳中は特に消費が激しく、また授乳期には摂取したパンテトン酸はほとんどが母乳に移行してしまいます。

通常の食生活を送っていれば不足することは無い栄養ですが、妊娠中、授乳中においてはその限りでは無く、積極的に補っていかないと欠乏を招いてしまいますので、この点についてはよく理解しておきましょう。

妊娠中にパントテン酸をはじめとしたビタミン不足に陥ると体内の脂肪酸が酸化、脂肪肝の原因となり、妊娠脂肪肝になるリスクも高まります。

妊娠脂肪肝は肝細胞、腎細胞に脂肪が沈着するもので、これによって肝不全や腎不全を発する可能性も高まります。

これは母子共に死亡率の高い疾患であり、できる限りの努力をして予防に努めていかなければいけないものですから、妊婦さん自身はもちろん赤ちゃんのためにもパントテン酸を適切に摂っていくことはとても大切なことなのです。

妊娠中は様々な不調により思うように食事がとれないということも多いですから、栄養の不足については常に意識して補っていけるよう気をつけていかなければなりません。

パントテン酸が妊娠中に不足するとどうなるの?

妊娠中にパンテトン酸が不足すると、胎児の成長停止・成長障害や母体の副腎障害など生理的な悪影響が起きます。そうなれば流産や死産のリスクもぐっと高くなりますから、これは大変なことでしょう。

また手や足のしびれ、灼熱感、疲労、頭痛、不眠、胃の不快感を伴う食欲不振なども起こるようになってきます。

パンテトン酸はエネルギー産生はもちろん自律神経や免疫抗体など身体のあらゆる組織や機能に大きく関わってくる栄養であるため、一度不足すると様々な健康障害が伴うのです。(参照:国立健康・栄養研究所「パントテン酸」)

妊娠中はただでさえ様々な不調に悩まされやすいものですが、パンテトン酸が不足することで一層その症状が酷くなる恐れがあるため、日頃から意識して欠かさないよう努めていくことが必要です。

パンテトン酸は皮膚や粘膜の健康などにも関わるビタミンであるため、不足すれば当然これが損なわれ、早期老化のような症状も出てきます。

妊娠・出産においてはこれを経験したことで一気に老け込んでしまったというような話もよく耳にしますが、これについては皮膚・粘膜の健康はもちろんホルモンや免疫抗体の形成の役割を担うパントテン酸が不足してしまうことも一つの理由として考えられるので、心得ておくべきでしょう。

パンテトン酸の不足による身体への影響は全身の様々な機能に及び、特に妊娠中はより不足しやすく、症状も酷く出やすいため、これらのことをよく理解し栄養の補給に努めていってください。

パントテン酸って不足するとこんなに危険なんだ。

そうじゃ。食欲不振など自分の体の不調だけでなく、赤ちゃんの成長にも影響するから気をつけるのじゃぞ。

パントテン酸を過剰摂取について

パントテン酸については、他の栄養のような摂り過ぎによる過剰症は特に認められていません。量をたくさん摂取したとしても体内では必要な分しか利用されず、残りは尿などとして排出されてしまいます。

余計に摂ったぶんが体内に蓄積し害となるといったことはありませんから、安心です。

パントテン酸を含む食品の長期利用においても弊害は報告されておらず、そのためパントテン酸については摂り続けることによる身体への影響を心配する必要はありません。

不足しないように努め、積極的に摂取していくことで健康を維持していくことができます。様々な食品から補うことができる栄養なので、進んで摂っていけるようにしましょう。

過剰摂取による副作用はほぼなし!

パンテトン酸は過剰に摂取したとしても、それによる身体への副作用の心配はありません。過剰に摂取した分はそのまま尿と一緒に体外に排出されますから、摂り過ぎてしまったらどうしようといった心配は不要です。

パンテトン酸を意識して摂ろうとした場合、特定の食品を長年利用し続けるといったことも出てきますが、そういった場合においても健康への弊害は無いので安心です。

長期間に渡って特定の食品で摂り続けたとしても余剰分のパンテトン酸が健康に影響を及ぼすことはありませんから、安心して摂ることができる栄養と言えるでしょう。

ここでワンポイントまたこれらのことから、摂取については耐用上限量も設けられていません。

普通は食品やサプリメントを活用し意識して特定の栄養を摂る場合、摂り過ぎてしまわないよう注意をしていかなければなりませんが、パンテトン酸の場合は過剰に摂った分は自然と体外に排出され、また副作用の心配も無いため上限については特に定められていないのです。

しかし摂取基準量としては妊婦の場合1日あたり5mgと定められていますから、基本的にはこの前後で摂っていくよう考えていきましょう。

他のサプリメントや薬との飲み合わせに注意

パントテン酸そのものについては大量に摂取しても、過剰摂取分は自然と体外に排出されるので、過剰症の心配はありません。

注意してね!しかし他の薬品と合わせてパンテトン酸カルシウムを大量に投与した実験においては、吐き気や腹部の痛み、食欲不振としった症状が現れるといった結果が報告されているので、この点についてはよく心得ておきましょう。

動物実験でもパントテン酸の過剰摂取で成長障害や脱毛、また下痢といった健康障害が起こったという報告がありますから、100%何の心配も無くいくらでも摂取して平気というわけでは無いのです。

通常の食事で栄養を摂る場合についてはこういった心配をする必要はありませんが、サプリメントを利用する場合、特に複数種類と併用をする場合においては、どのような健康障害が起きるか解りません。

医師に処方してもらい薬を服用してもらっている人においても同じことが言えますから、パンテトン酸をサプリメント等で意識して摂る場合には、飲み合わせなど問題が無いか、よく相談するようにしてください。

サプリメントの飲み合わせについては薬剤師なども相談に乗ってくれるので、購入をする際に予め相談をしてみるのもおすすめです。

サプリメントとは気をつけないといけないんだ。

サプリメントは栄養素の塊じゃから、医薬品との組み合わせ次第では過剰摂取になったりするかもしれないのじゃ。

パントテン酸は妊娠前(妊活)、妊娠中、産後まで必要?

これから紹介する平均摂取量食事摂取基準は厚生労働省の情報を参考にしています。

日本人女性(20歳~49歳)の平均摂取量

年齢 パントテン酸の平均摂取量(mg)
20~29歳 4.73
30~39歳 4.92
40~49歳 4.78

18歳~49歳の食事摂取基準

年齢等 パントテン酸の推奨量(mg)
18~29歳 4
30~49歳 4
妊婦(付加量) +5
授乳婦(付加量) +5

パントテン酸を多く含んだ食品厳選5つ

パンテトン酸をより多く含む食品としては、鶏レバー、乾燥しいたけ、豚レバー、牛レバー、チーズホエーパウダーなどが挙げられます。

パントテン酸は「いたるところに存在する酸」という意味で命名された栄養であり、幅広い食品に含まれています。また腸内細菌によって体内でも合成されるものでもありますから、通常の食生活を送っていれば不足することはあまりありません。

しかしもし食品から積極的に摂っていきたいというのであれば、これらの食品を利用していくことで効率良く摂取することができますから、参考にしてみてください。またパンテトン酸は熱に弱く酸・アルカリによって壊れやすいという性質があるので調理には工夫が必要です。

「鶏のレバー」

鶏レバーには、100gあたり10.1mgのパントテン酸が含まれています。カロリーは111キロカロリー、糖質0.6gと低めで、鉄分は9mgと多めですから、ヘルシーかつ鉄分がしっかり摂れる食品としておすすめです。

また鶏レバーは葉酸が1300μgと豊富であり、この他ビタミンAやB1の量も充実しています。鉄を含め、これらは妊婦に不足しがちな栄養ですから、鶏レバーは非常に妊婦に適した食品と言えるでしょう。

ただレバーは苦手な人も多いですし、鶏レバーというと牛や豚などとは違いいつでも気軽に手に入る食品とは言い難いです。定期的にこれを食べるというのも現実的ではありませんから、定期的かつ効率良くパンテトン酸を摂れる食品では無いでしょう。

しかし鶏レバーが好きという妊婦においては非常に都合が良い食品でもあるので、上手く手に入れて食べるようにしてください。1週間の献立に少量でも取り入れていけば必要な栄養を充分補っていくことができます。

「乾燥しいたけ」

乾燥しいたけには、100gあたり7.93mgのパントテン酸が含まれています。この他、食物繊維が41g、カリウムが2100mg、ビタミンDが12.7μg、葉酸が240μg含まれているなど、パンテトン酸以外の栄養も非常に豊富です。

乾燥しいたけに多く含まれているカリウムは、体内の水分バランスを調整する働きを持っているため、むくみの解消に効果的です。妊娠中においてはむくみも非常に大きな悩みの種となりますから、とても助かるでしょう。

同じしいたけでも生しいたけと乾燥しいたけでは、あらゆる栄養において乾燥しいたけの方が栄養が豊富です。含まれる栄養の量は3~30倍近くも変わってくるため、より効率良くたくさんの栄養を摂るためには、乾燥しいたけを選択していった方が良いと言えます。

調理の幅が広く日常的に利用しやすい食品ですから、栄養不足を補うためにも賢く利用していきましょう。

「豚のレバー」パントテン酸の含有量とその他に摂れる栄養素

豚レバーには、100gあたり7.19mgのパントテン酸が含まれています。カロリーは128キロカロリーで、鉄分は13gと非常に豊富です。葉酸も810μg含まれているので、これらの不足がしがちな妊婦においては適した栄養が摂れる食品と言えるでしょう。

疲労回復を代表する栄養であるビタミンBも豊富に含まれていることから、だるさや疲労感に悩む場合にも頼りになる食品となってくれます。頻繁に食べる必要は無く、1週間の献立の中に上手く組み込んでいければそれで充分ですから、スーパーなどで手に入る場合は積極的に利用していきましょう。

豚レバーは同じくパンテトン酸を豊富に含む鶏レバー、牛レバーと比べても群を抜いて鉄分の量が豊富です。糖質を分解しエネルギーに変えるビタミンB1も含まれており、他のレバーより圧倒的に栄養価が優れていますから、特におすすめです。

「牛のレバー」パントテン酸の含有量とその他に摂れる栄養素

牛レバーには100gあたり6.4mgのパントテン酸が含まれています。同じレバーでも鶏や豚と比べるとパンテトン酸、鉄ともに含有量は少なめですが、最も味が良いレバーであるため、食べやすいというメリットがあります。

鶏や豚は栄養価が高くともクセが強くて無理という人は多いですが、牛レバーであればそういったことが無いため、比較的積極的に食べられる人が多いです。流通している量も牛が最も多いため、手に入れやすく、また手頃な値段で購入することができます。

牛レバーには赤血球の生成に働く栄養であるビタミンB12が豊富なため、貧血予防に良い効果が期待できます。味が良く、また献立のメニューにも積極的に取り入れていきやすいので、栄養補給に上手く活用していってください。

しかし牛レバーは鶏と豚と比較して脂質の量が非常に多いですから、食べ過ぎによる肥満には気をつけなければなりません。

「チーズホエーパウダー」パントテン酸の含有量、その他に摂れる栄養素も解説

チーズホエーパウダーには、100gあたり5.95mgのパントテン酸が含まれています。この他にはビタミンB2、B12、カルシウム、カリウムなどが豊富で、エネルギー補給や代謝促進、体力増強などに効果が期待できます。

チーズホエーパウダーとはヨーグルトなどの上澄みとして知られる乳清のことで、これを粉末状にしたものです。プロテインサプリメントなどに多く用いられています。またこの他、パンや肉加工食品にも使われます。

100%乳製品なので、食品としては牛乳やヨーグルトなどを口にするのと変わりません。高たんぱく、低カロリーであることから妊娠中の栄養源としてもとても重宝に利用できるでしょう。

ココアパウダーなどと混ぜて蒸しパンやホットケーキにすると、良いおやつになります。カルシウムなどのミネラルもバランスよく含まれているため、間食の栄養に気を遣う際はまさに最適です。

妊娠中のパントテン酸(ビタミンB5)摂取は葉酸サプリ推奨!

代謝や成長において大切な役割を担うパンテトン酸は、様々な不調をきたしやすい妊娠中の身体、健やかな胎児の成長のためにも積極的に摂っていくことが必要です。

通常であればこの栄養は普通の食生活を送っていれば不足することはないものの、妊娠中や授乳中においては大量に消費されますし、ストレスによって減少してしまう、アルコールやカフェインの摂取によって吸収が阻害されるといった問題もあるため、妊婦・授乳期においては不足することが無いよう積極的に摂っていかなければならないのです。

パントテン酸を充分な量摂っていくためには、これを多く含む食品を利用するのも良いですが、やはり1番はサプリメントを活用していくのがおすすめです。

その中でも特に葉酸サプリメントは、パントテン酸はもちろん葉酸、鉄、カルシウムなど妊婦に不足しがちな栄養、必要な栄養がしっかり含まれているので、とても有意義に利用していくことができます。

ここでワンポイントマルチビタミン対応の葉酸サプリメントであればこれ1つで必要な栄養を補うことができ、また他のサプリメントを必要としなくて済むため、非常に手軽に利用することができます。

サプリメントは数粒で効率良く栄養を補うことができるものとはいえ、その種類が増えればやはり飲むのが面倒になってしまいますから、より多くの栄養が1つに詰まったサプリメントを選んでいくようにしてください。

妊娠中は体調を崩しやすいことも多く、食欲不振で満足に食べることができず栄養が不足するといったことも出てきますから、便利に利用できるサプリメントを備えておくということは意外と大切です。

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まとめ

身体の成長や代謝の働きに大きく関わる栄養であるため、パンテトン酸は妊娠中はもちろん授乳期においても積極的に摂っていくべき栄養と言えます。

これが不足することで妊娠中の胎児の発育や、授乳期の母体の健康に大きな影響が出てきますから、不足することが無いよう努めていきましょう。

妊娠中の胎児の発育に関してはもちろんですが、授乳期においてはパンテトン酸はどんどん母乳に出ていってしまうため、妊娠中と変わらず意識して摂り続けていくことが大切です。

パンテトン酸は摂り過ぎによる過剰症などの心配が無いため、過剰摂取による身体への影響を心配する必要はありません。しかし複数種類のサプリメントを飲み合わせる場合には吐き気や食欲不振、腹部の痛みなどの諸症状が現れる恐れがあるので、この点は気をつけてください。

この栄養を上手に摂っていくためには、含有量の多い食品を摂っていくのも良いですが、やはり葉酸サプリメントを活用するのが一番です。

マルチビタミン対応の葉酸サプリメントであれば妊娠中に不足しがちな様々な栄養をまとめて補うことができますから、賢く役立てていってください。母子共に健やかな妊娠・産後を過ごせるよう努めていきましょう。

  • パントテン酸は皮膚や粘膜の健康維持に必須
  • 妊娠中や授乳中は消費が激しい
  • 妊娠・授乳はプラスで摂らないといけない
  • 不足すると妊娠脂肪肝のリスクが上がる
  • 摂取には葉酸サプリがおすすめ