初めての妊娠ではわからないことが多く、お腹の赤ちゃんのことを考えて、食事や生活習慣などにおいても神経質になりすぎてしまうかもしれません。
しかし、妊娠中はそういった心配する気持ちが積み重なると、ストレスに変わってしまい、母体や胎児にもいい影響を与えないのです。
妊娠中にわからないことは調べれば解決することが出来ます。また、注意事項は母子手帳にも記載されていたり、わからない時は出産を経験した先輩や医師に相談もできるので、妊婦さんは神経質になりすぎないことが大切です。
今回はそんな妊娠中に気をつけておきたい注意事項やトラブルについて詳しくご紹介していきます。
妊娠中に注意すべきこと
健康な赤ちゃんを育てるためにも妊娠中はいくつかのことに注意しないといけません。たとえば注意が必要な有名なものだと「アルコールの摂取やタバコの喫煙」が挙げられます。
反対にあまり知られていないものでは「ビタミンAの過剰摂取」や「大豆イソフラボンの摂取」が挙げられます。
ここでは、そういった「妊娠中に注意したい10個のトラブル」を解説していきますので、ぜひチェックしてください。
胎児の先天性異常リスク低減のための葉酸摂取(サプリから)
妊娠中に必要な栄養素として代表的な物の一つに葉酸があります。この葉酸は妊娠中に不可欠な物と知っていても、なぜ葉酸が大切なのかを知っている人は少ないかもしれません。
この葉酸を摂取する期間は、特に妊活中から妊娠12週あたりまでは、意識して摂るように推奨されています。妊娠中は赤ちゃんが育つ上で、血液が必要になってくるので、血液不足で貧血に悩む妊婦さんも多くいるのです。
貧血は鉄分不足による貧血(鉄欠乏性貧血)に加え、葉酸不足による貧血(巨赤芽球性貧血)を引き起こす可能性があるので、鉄分や葉酸の摂取は必要不可欠となります。妊娠中期、後期でも貧血になる可能性はあるので、妊娠中は意識して葉酸を取り入れるようにしましょう。
一日に必要な葉酸の量ですが、普段は1日240μgの摂取が好ましいですが、妊娠中はその2倍の480μgが必要になります。葉酸は胎児がお腹の中で成長する時に、DNAを合成して細胞分裂を手助けすることで、胎児の器官を発達させる役割も持っています。
葉酸は食事からも摂取することはできますが、食事だけでは1日の摂取量を摂ることは簡単ではないので、妊娠中は特にサプリで補いましょう。
しかし、葉酸を摂取していないと育たないわけではありませんが、障害のリスクを減らすためには大切な栄養素なので、気がついた時から摂取する事をおすすめします。
アルコール・喫煙(副流煙)
妊娠中にはお酒を飲んだりすると赤ちゃんも酔っ払ってしまうから、飲酒はやめておいた方がいいという人がいますが、妊娠中の飲酒は本当に危険で注意が必要です。
日本産婦人科医会の調査によると、アルコールがお腹の中の胎児に及ぼす影響は、心奇形や関節異常などの身体的な奇形や、子宮内で胎児が育たないなどの疾患を起こします。
また、無事に生まれたとしても中枢神経など、脳に障害を持って生まれたりと様々な問題があるのです。
これらの症状を総称して「胎児性アルコール症候群」とよばれ、お酒に含まれるアルコールやアルコールが体内で分解される時に発生するアセトアルデヒドという成分が、お腹の中にいる胎児の成長に様々な悪影響を及ぼしてしまうことがわかっています。
妊娠中にアルコールを摂取した女性から生まれた子どもに、発育の遅れ、中枢神経の障害等を伴う異常がみられる場合があります(「胎児性アルコール症候群(FAS:Fetal Alcohol Syndrome)」)。
アルコールの摂取により最悪の場合、流産や死産の可能性が出てくることもわかっています。また、妊娠中の喫煙の危険性についてはいうまでもありません。
タバコに含まれる有害物質はなんと200種類以上にもなるといわれており、妊婦さんでなくても身体に悪い影響があるといわれているのに、お腹の胎児にいい影響がある訳がありません。
妊娠中の飲酒や喫煙は、胎児にとって「被ばく」といわれるほど悪影響を及ぼしてしまうので、妊娠中は赤ちゃんのためにきっぱりやめましょう。
予防接種
妊娠中の女性が風疹や麻疹(はしか)にかかると、どんなリスクがあるかを知っていますか?
妊娠初期に風疹にかかってしまうと、お腹の中の胎児も感染症にかかり、白内障や緑内障などの目の疾患になってしまったり、先天性難聴や先天性風疹症候群などの症状を引き起こしてしまう可能性があります。
また、妊娠後期の感染した場合、新生児風疹と呼ばれる症状を引き起こしてしまいます。この症状は骨や脳や内臓の疾患です。最悪の場合は、流産や早産などのリスクも高まってしまうのです。
また、妊娠中に麻疹にかかると母体に影響があり、脳炎などになりやすく、風疹と同じく流産や早産の危険があります。また、抗体がない母親から生まれた新生児が感染すると、重症化する危険性が高くなってしまうことがわかっています。
妊娠中は、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなっています。妊娠中は赤ちゃんへの影響も考えて有効な薬が使えないことがあります。日頃から手洗い、うがいなど感染予防に努めましょう。
風疹・麻疹などの予防接種は、母体にも赤ちゃんにも悪影響になります。ワクチンを摂取すると2ヶ月間は避妊が必須になるので、妊活前の早い段階で行うことをおすすめします。
妊娠中は予防接種が打てないならどう予防したらいいの?
妊娠中は手洗いやうがいをすることが大切です。また、外出をするときはマスクをするのもひとつの手でしょう。
予防摂取はお腹の中で赤ちゃんを育てる妊婦さんだけでなく、パートナーやお子様など同居している家族には、前もったワクチンの摂取をしてもらうことが必要です。パートナーには特に妊活前に摂取の有無を確認して、早急に摂取してもらいましょう。
感染症(トキソプラズマ・リステリア)
トキソプラズマは寄生虫の一種で、手についたまま目をかいたり口に入れてしまうことで起きてしまう感染症です。
このトキソプラズマは
- 感染した猫の糞
- 糞がついた猫のトイレの砂
- 感染した牛や豚などの動物の生肉
- 加熱が十分されていない肉
などから人の体内に入ります。
その症状は感染しても何も目にわかるものはなく、症状があったとしても風邪に似たものなので、トキソプラズマと判断することが難しいでしょう。
妊娠中に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、目の異常、脳内石灰化、水頭症などの症状を引き起こす可能性があります。過去にトキソプラズマにかかって抗体がある場合は二次感染はないと言われていますが、注意が必要です。
ヒトが感染すると、多くの場合は無症状で経過しますが、微熱が出る程度の軽い症状を示すことがあります。しかし、妊娠中に胎盤を経て胎児が感染すると、流産や死産を引き起こす原因となるだけではなく、生まれてくる赤ちゃんに脳や眼の障害が生じる場合があります。
感染を防ぐ方法は食事の際にできるだけ肉は火をしっかりと通すことです。そして、猫を飼っている人はトイレの掃除をした後には、しっかり手を洗うことが感染を防ぐ方法となります。
また、リステリアはトキソプラズマとおなじく、生の食品から検出されるもので、欧米ではチーズに少量のリステリアが検出され、食中毒を起こしたケースがあります。
妊婦が感染すると、流産などの危険性があったり、免疫機能の低下したお年寄りや妊婦などは特に注意が必要です。
予防方法は、賞味期限の過ぎているものを避け、生物はできるだけ火を通して食べることで感染を予防することができるでしょう。
体重制限(BMI)
妊娠時の体重制限にとても苦労される人も多いようで、あまりに太ってしまうと出産の時に時間がかかってしまったり、難産になる危険性もあると言われています。
妊娠初期にはつわりなどの症状もあり、「赤ちゃんの分もちゃんと食べなくては」とプレッシャーに感じている妊婦さんも多いようです。
そして、つわりが治まってくる妊娠中期には、だんだんと食欲旺盛になり、食べれることへの喜びと赤ちゃんのためにモリモリ食べる妊婦さんが多く、反動で一気に太ってしまう人もいます。
妊娠中のホルモンバランスの影響もあって、食事の好みも変わってくるのだそうです。初期に食べづわりを経験した人は、空腹時は気持ちが悪くなるため、食べ続けて太ってしまったなんていうこともあります。
食べ過ぎを防ぐ方法ってあるの?
もちろんあります。簡単に食べ過ぎを防げる方法は「水分を摂ること」です。毎日2リットルの水を飲むように心がけることです。
同じ水分といっても、コーラや甘い飲み物を飲んでしまうと、妊娠糖尿病などを引き起こしてしまうので完全にNGです。冷たい水よりも常温の水を飲むことで体を冷やしませんし、便秘に悩んでいる妊婦さんにもオススメです。
また、適度な運動は、ストレス発散などにも大きく役立ちます。ウォーキングなどの軽い有酸素運動を意識して取り入れてみましょう。
魚介類等に含まれるメチル水銀
妊娠中の方や妊娠している可能性がある場合、魚に含まれているメチル水銀が、胎児に対して悪影響を及ぼす危険があるということがわかりました。
妊娠中の方が食事をする際に気をつけなければならないのが魚から出る水銀です。水銀というのは地殻などから出た天然のもので、川や海などで微生物によってメチル水銀へと性質を変化させます。
そのメチル水銀が付着した微生物を小魚が食し、また、大きな魚がメチル水銀を食べた小魚を食べることで、大きな魚になればなるほど高濃度のメチル水銀を体内に含んでいる可能性があります。
魚の中でもメカジキ・キンメダイ・クロマグロ・メバチは一回につき80グラムを1週間に1回までなどが妊娠している人の基準値です。
マグロといってもキハダ・ビンナガ・メジマグロ・ツナ缶に至っては食事制限は出ておりません。そのほかにも魚介類に関しては妊婦さんが食べれるのを控えたほうがいいものなどがありますので、妊娠中はしっかり調べた上で魚を購入、調理しましょう。
ビタミンAの過剰摂取
妊娠中には、代表的な葉酸をはじめとする栄養素の摂取を、医師から推奨されることもあるでしょう。しかし、まちがった知識を持って、必要のないものまで過剰に摂取してしまうことはとても危険なんです。
ビタミンAは特に摂取の量を確認することが大切になります。もともとビタミンAを含む食材が鶏や豚のレバーに多く含まれており、およそ100グラム当たり14000μgRAE(レチノール活性当量)含まれています。
数字にするとわかりずらいですが、成人男性の推奨量は850μgRAE、成人女性の推奨量は650μgRAEと、レバーにおいては5グラムほど食べれば、1日の推奨量を満たしてしまうのです。
そもそもビタミンAの働きは、粘膜がある喉や鼻、消化器官などや皮膚を正常に保つ働きと、盲夜症を防ぐ働きがあります。
妊娠初期にビタミンAを過剰に摂ることで、赤ちゃんの先天異常のリスクに大きく影響してしまうことがあります。(主に眼球、頭蓋、肺、心臓などの奇形)
ビタミンAはレチノールとβカロテンの2種類に分かれます。レバーなどの動物性食品にはレチノールが多く含まれ、緑黄色野菜などにはβカロテンが多く含まれます。βカロテンにおいては、体内でビタミンAとなることからプロビタミンAと呼ばれています。
ビタミンAを含むレチノールもβカロテンも、妊婦さんの体にはなくてはならない栄養素ですが、妊娠初期の場合は特に、過剰に摂取しないように気をつけましょう。
大豆イソフラボンの摂取
大豆イソフラボンと聞くと、女性にはとてもお肌や体にいいイメージがあるかもしれません。女性にはあればあるだけ良いと思うかもしれませんが、過剰摂取に注意しなければならない栄養素なのです。
大豆イソフラボンが多く取れる食品といえば、豆乳を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。豆乳にはビタミン・たんぱく質・鉄分・カルシウムが摂取でき、栄養もあり、調理法もたくさんあって気軽に摂取できます。
豆乳自体が悪いわけではなく、摂取量に配慮が必要なのですが、一気に摂りすぎると、ホルモンバランスの偏りやお腹にいる赤ちゃんの発育にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。
食品安全委員会では大豆イソフラボンのリスク評価を行っており、妊娠中の方が通常の食生活に上乗せして、サプリメントといった健康食品などで、この物質を摂取することは特段のメリットがないとされており、お勧めできません。
では豆乳から摂れる大豆イソフラボンの適量値は、どれくらいなのでしょう。1日の目安として70~75mgが上限値となっており、コップおよそ2杯分の量になります。この適正量は妊婦さんもそうでない人も変わりません。
しかし、納豆や豆腐からも大豆イソフラボンを摂取できるので、豆乳は1日一杯ほどが理想になるでしょう。
ビスフェノールA
ビスフェノールAという物質を聞いたことはありますか?またの名をBPAと呼ばれ、主に食品の缶詰のコーティングや、カップ麺、レトルト商品やラップに使用されているプラスチック原料のことを言います。
このビスフェノールAが、世界中で深刻な問題になっているのです。この素材が、缶詰の加工段階で溶け出して、食品に混ざったりして体内に入ってしまうことで、私達の体内に入ってしまっているというのです。
妊婦さんにも同様、体に取り込んでしまうと、お腹の赤ちゃんにも悪い影響があるといわれています。
この成分は、熱によって溶け出してしまう危険性もあり、プラスチック製の哺乳瓶や、幼児のおもちゃなどにも検出され問題にもなっています。
アメリカではBPAフリーの哺乳瓶などの製品を販売するなどしておりますが、全世界のプラスチック製品が、BPAフリーになることは、まだまだ時間はかかるので、自分でプラスチック製品を使わないなどの配慮が必要でしょう。
妊娠中の症状&疾患
ここからは妊娠中に起こりやすい症状と疾患を紹介していきます。
妊娠悪阻(つわり)
妊娠がわかり、初期に起こる不快感や吐き気、胃のむかつきなどの不快感を総称してつわりと呼びます。
このつわりの時期は個人差にもよりますが、妊娠4~7週(妊娠2~3ヶ月)ごろから妊娠12~16週(妊娠4~5ヶ月)ごろのまで続くもので、8割の妊婦さんはこのつわりの経験をしているといわれています。
つわりの大きな原因の一つに、ホルモンバランスの乱れや変化によるものといわれていますが、その仕組みはまだわかっていません。
つわりの原因ってわかっていなかったんだ!
実はそうなのです。現在はホルモンバランスやストレス、不安などが主な原因ではないかと考えられています。
妊娠するときに変化するホルモンは、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)といわれるホルモンが急激に増えることで、脳にある中枢神経を刺激し、吐き気を催すといわれています。
また、妊娠中に精神的にも過敏になることから、ストレスや不安などからくるつわりもあります。あまりにもつわりがひどい時は妊娠悪阻(にんしんおそ)の可能性もあります。
妊娠中に激しい吐き気と嘔吐をもよおし、短期間で体重の5パーセントが落ちてしまった場合には、妊娠悪阻になっている可能性が高く、入院が必要になることがあるので注意が必要です。
そのまま放置してしまうと、脱水症状や肝機能低下、また、胎児の成長過程で問題も出てくる可能性もあるので、我慢せずに病院を受診しましょう。
妊娠糖尿病
妊娠する前まで糖尿病と診断されたことのない人が、妊婦になってから発症する血液が高血糖状態になることを「妊娠糖尿病」と呼びます。この妊娠糖尿病と診断されると、妊娠高血圧症候群になるだけではなく、感染症や羊水過多症などの可能性が高くなります。
また、お腹にいる胎児も、糖を吸収して高血糖になってしまうため、様々な疾患を発症してしまいます。体が巨大化してしまうため、帝王切開になる可能性があったり、出産後には新生児低血糖症や、重度の新生児黄疸などの症状も起こしてしまう可能性があります。
もし妊娠糖尿病と診断を受けたら、食生活に気をつけなければなりません。食事療法やカロリー制限をして、血糖値を下げることが必要になります。医師に食事などのアドバイスをもらうことや、自己管理が重要になります。
また、血糖値が上がりすぎている場合は、入院を余儀なくすることになるでしょう。毎日指から採血して血糖値を確認しながら、低エネルギー食を食べて数値が安定するまで様子を見る事となるでしょう。
妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)
妊娠高血圧症候群とは、妊娠中毒症ともいわれるもので、悪化すると母子ともに危険な症状といわれています。この妊娠高血圧症候群は、赤ちゃんに必要な血液を増やしていく過程に発症しやすい症状です。
その量は通常の1.5倍の血液の量を循環させるので、心臓から押し出す血液量も増えるため、同時に欠陥が拡張されることで血流がスムーズになるのですが、その流れがうまくいかず、血圧が高くなるため、妊娠高血圧症候群を発症してしまうのです。
このリスクがあるのは、高齢出産や妊婦の肥満などが原因とされています。現在では妊娠高血圧症候群に対する予防法はありませんが、肥満にならないよう、軽いウォーキングなどの有酸素運動や塩分を抑えた食事を心がけましょう。
もし診断を受けたら、管理入院で絶対安静をして、食事療法や降圧剤を投与する形になります。最悪の場合は母体と赤ちゃんに負担のかからない段階で早期分娩や子癇(しかん)と呼ばれる母子ともに命の危険にもなりかねないので、無理をせずに休むことが一番の方法です。
また、妊娠糖尿病と、妊娠高血圧症候群を同時に併発する可能性もあります。そうなってしまった場合、できるだけ早期発見での治療が好ましいので、定期的に妊婦健診でチェックをしてもらうことが望ましいでしょう。
切迫早産・流産
切迫早産は、胎児よりも母体が原因で起こることが多い症状のひとつです。妊婦の感染症や子宮無気力症や、妊娠をした事での体の負担などで妊婦さんの体質が大きな原因の一つになります。
また、切迫流産とは妊娠22週未満に起こる流産のリスクがある状態のことを言います。切迫流産はまだ赤ちゃんが子宮内に残っていて、心拍が確認できる状態のことをいうので、しっかりとした休養と治療をすれば妊娠を続行することも可能になるでしょう。
切迫早産も切迫流産も絶対安静で休養する事と治療をすれば妊娠を続けることができます。どちらも早期発見が重要ですが、切迫早産は下腹部の痛みが重く、長く続くことが症状になります。
切迫早産とか切迫流産ってどうしたら気づけるかな?
いつもと違う痛みを感じたら、早めの受診をしましょう。また、切迫流産においては自覚症状がないので、早期の発見は難しいようです。
出血と下腹部の痛みがある場合は切迫流産の症状になります。妊娠中に違和感を覚える痛みと、出血がある場合は自己判断をしないことが大切です。
妊婦貧血(特に中期以降の鉄不足は深刻)
月経時などにも血液が足りずに、貧血になりやすく悩んでいる女性は多いでしょう。普段から貧血気味の女性は、妊娠中はさらにめまいや立ちくらみなどの貧血の症状を起こしかねないのです。
また妊娠中は貧血だけに止まらず、十分な栄養が行かなかったりと、お腹にいる赤ちゃんにも大きく影響してくるのです。さらに、お腹が目立ってくる妊娠中期や出産前などは貧血で倒れたりしたらとても危険です。
もし普段から貧血気味の場合は、妊娠前の妊活の段階から、貧血にならないように意識をしていかなければなりません。貧血の検査は、病院で診断することができます。
貧血を調べる方法は、採血をしてヘモグロビンとヘマトクリットという血球の割合を示す値を調べることでわかります。
血球の中には赤血球が多く含まれているのは通常の状態ですが、この赤血球の割合が少ないと血液の濃度が薄くなり、「血の気がない」貧血の状態になるのです。
貧血で起こる症状はめまいや立ちくらみ、動悸や息切れです。また、頭痛や吐き気なども貧血の症状としてあげられます。この症状は酸素が体内をうまく循環していないことや、血流が悪くなることが原因とされています。
妊婦さんの70%の人が貧血を診断されるほど多いものなので、軽度の場合は神経質になりすぎないように、鉄分を意識して摂取しましょう。重度の貧血でお悩みの方は、医師に相談してみるのもいいでしょう。
妊娠中のQ&A
次に妊娠中によくある質問についてお答えしていきます。
妊婦は添加物を食べてはいけない?カフェインはダメ?
毎日の習慣でコーヒーや紅茶を飲む人は多いでしょう。しかし、妊娠中にはカフェインの摂取を控えた方がいいといわれています。しかし、なぜカフェインを摂ることがいけないのかを、知らない人は多いでしょう。
カフェインとはコーヒー、チョコレートなどに含まれるカカオ豆や、茶葉を用いた紅茶や緑茶などにも含まれている成分です。
このカフェインの主な働きは、中枢神経に信号を送り緊張させることで、血管などの収縮などの活発にさせる働きがあります。そういった覚醒作用により、アドレナリンが放出されてリラックス効果があるともいわれています。
通常時に気分転換にもなるこの働きが、お腹に張りを与える妊娠初期の場合であれば、流産のリスクがあるといわれているのです。また、妊娠中期、後期、出産前などには胎児の発育などにも影響がある可能性があるのです。
カフェインにはタンニンという成分が入っており、そのタンニンが妊娠期に必要な鉄分やカルシウムと結合して、排尿とともに排出してしまうのです。その為、貧血やカルシウム不足の症状を起こしてしまい、母体に悪い影響を与えてしまうのです。
また、カフェインによる胃のむかつきなども、吐き気を及ぼす原因になってしまうので、できるだけ妊娠中のカフェイン摂取は避けた方がいいでしょう。
薬はどうすればいい?レントゲン(放射線)はダメ?
妊娠中は薬の服用や、レントゲンの撮影によって胎児への影響はあるのでしょうか。
薬の服用については、妊娠の時期によって影響する部分が変化してきます。妊娠初期は絶対過敏期ともいわれ、胎児の器官や体の成形が行われる段階で、薬の影響により奇形などの可能性もあったり、流産のリスクもあるので飲まない方がいいでしょう。
また、妊娠中期から後期にかけては奇形という面での心配はなくても、薬の成分が胎盤を通して胎児に影響を及ぼすといわれています。中には妊娠中に飲んでも問題ないとされる薬もありますが、自己判断での服用は避けるべきです。必ず医師に確認することが大切です。
レントゲンに至っては、レントゲン1回から出る放射線数値には胎児に影響はないといわれています。
ですが、レントゲンの種類によっては被ばく値が25mgyにもなるものもあり、こちらも基準値以下で身体に影響を及ぼす値ではないのですが、だからといって何度撮っても大丈夫と言う訳ではないのです。
妊娠以外の理由で病院に行った場合、レントゲンやお薬を処方される場合もあります。そんな時は妊娠していると伝え、医師の診断を仰ぎましょう。
脱毛ってダメ?
妊娠しているのに気づかずに脱毛を受けていた、また脱毛したいけれど、妊娠中は避けたほうがいいのかとお悩みの方もいるでしょう。
脱毛が胎児に及ぼす影響があるのかについては、実際に脱毛時に使用される光やレーザーについては胎児に影響しないとされていますが、はっきりとは言い切れないのが現状です。
しかし、脱毛サロンでは妊婦の方の施術を、お断りしているところが多いのです。胎児に影響があるかわからないのになぜ断られてしまうかと言うと、妊娠したことにより、身体が変化することが原因にあります。
体の変化が原因で断られるって具体的にどういうこと?
いくつか理由はあるのですが、まず妊娠中の身体はホルモンバランスの乱れにより毛周期が乱れ、ムダ毛が濃くなるといわれています。
ですので、妊娠中にいくら脱毛をしたとしても、効果がみられないのです。また、肌が黒ずんだり、皮膚が敏感になってしまうことで、痛みを感じやすくなることも大きな理由のひとつです。
施術中に同じ姿勢を維持しなければならないことから、無理をした姿勢で母体や胎児に負担をかけてしまうおそれもあります。ホルモンバランスの乱れは、出産して授乳をしている間も続きます。
もし脱毛を効果的に行うのであれば、出産後、授乳が終わる1年後あたりに施術を受けるのがいいでしょう。
飛行機に乗るのはダメ?
妊娠初期は早期流産の可能性が高く、人によってはつわりがひどい時期なので、飛行機に乗ることはあまりオススメしませんが、絶対乗ってはいけないということではありません。
仕事上などの問題で乗らなければならない時は、医師に事前に相談することをお勧めします。長時間の移動は体の負担も大きくなるので、飛行機に乗る場合や、長時間の移動などは自分の体と相談しながら、休みながら移動しましょう。
飛行機に乗っても大丈夫な時期とかある?
安定期に入る5~7ヶ月の妊娠中期は、妊娠経過が異常なければ、妊婦さんにとって一番フライトに適した時期です。この間に夫婦水入らずで旅行に行かれる方も多いでしょう。
しかし、安定期に入っていたとしても、妊娠初期と同様に医師に相談して許可をもらいましょう。妊娠経過も人それぞれなので、自己判断はしないようにしましょう。
お腹が大きくなってくると、座ったままの姿勢はお腹が圧迫されてエコノミー症候群が起きやすくなるので、妊娠中期から後期のフライトにも注意が必要です。
出産を控え始める後期には、33週あたりから医師の診断書が必要になってくる航空会社もあります。出産予定日はあくまで予定ですので、出産予定日間近のフライトは、早産や合併症などの危険性もあるので控えた方が賢明でしょう。
妊娠中は胎児の状態や体の変化もあるので、必ず医師の診断を受けてから飛行機に乗ることが重要です。
まとめ
妊娠中に注意したいことについて詳しくご紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。
約10ヶ月赤ちゃんと一心同体となる妊婦さんは、ホルモンバランスが乱れていつもの身体に変化が起きたり、赤ちゃんがお腹の中で安心して育つために必要な栄養素が必要になります。一つ一つのことは赤ちゃんが元気に生まれてくることに繋がっているのです。
しかし、生活習慣を見直そうと思っても、何年も続けてきた習慣を簡単には変えることはできないかもしれません。だからこそ、妊娠してからではなく、妊活中から意識して取り組むことが、大切になってくるでしょう。
気をつけなければならないことが多いと、神経質になりすぎて疲れてしまったり、憂鬱に感じてしまうこともあるかもしれません。
そんな時は無理をせずに気分転換で違うことに目を向けてみたり、ゆっくりと休息をとったりすることも時には必要です。
今回ご紹介したことは、妊娠中でなくても日常生活で健康な体を維持していくためにも大切なことでもあります。出産後にも役立つ情報がほとんどなので、これを機会に自分の身体と向き合ってみるのも良いきっかけになるかもしれません。
お腹の赤ちゃんの成長とともにお母さんも成長していくのでゆっくりでも確実に知識を身につけていきましょう。
- 妊娠中に注意したいトラブルは10個あり、母子手帳にも記載されている
- 妊娠中に気をつけたい症状&疾患は5つある
- 生活習慣の改善は妊娠してからではなく妊活中から取り組む
- 気をつけなければいけないのは「神経質になりすぎない」こと