妊活や妊娠中、産後に葉酸を摂取することが推奨されています。妊娠中の方か、産後の方は母子手帳で葉酸を摂るように推奨しているのを読んだことがあると思います。(※記載は任意なので書いていない場合もあります。)
ただ、母子手帳に葉酸の摂取について記載されていても、簡単な説明で何から摂ればいいのか、気をつけるべきことなど簡単にしか書いていないでしょう。多くの人が「結局、何を食べたらいいのかわからない」と思っているはずです。
そこで今回は妊活している人から産後の人まで、安心して葉酸を摂取できるようにたくさん摂取できる食品から、注意してほしい成分、調理法などをまとめていきます。健康な赤ちゃんの出産、発育のために葉酸を摂取する方は参考にしてください。
妊活・妊娠中に
必要な「葉酸」を安心・安全に
※JNFは日本ニュートリション協会のことです。
妊娠前後に摂取すべき葉酸は、ママにも赤ちゃんのためにも欠かせない栄養素。妊娠時は葉酸の他にもビタミンやミネラルが必要になり、厚労省も葉酸サプリを推奨。そんな葉酸サプリを専門家が評価!あなたに合ったものをチョイスしましょう。
葉酸を摂取する必要は本当にある?
葉酸の摂取が至るところで推奨されていますが「葉酸の摂取ってそこまで大事なことなの?」と疑問に思う方もいるはずです。
先に答えを言いますと「葉酸の摂取は大事なことです!」。ただ、周りの人で葉酸を摂取していなくても健康な赤ちゃんを生んでる人もいるはずですから、正直本当か信用できませんよね。
葉酸なんて言葉がなかった時代の人は全員不健康かというとそうではありません。当たり前ですが、葉酸を積極的に摂取しなくても健康な赤ちゃんは生まれます。
じゃあ、なぜ葉酸を勧めるのかというと「より健康な赤ちゃんを生む確率をあげるため」だからじゃ。
あくまで例えですが健康な赤ちゃんが生まれる確率が70%だったとします。その場合、葉酸を摂取することによって80%にまで引き上げることができるのです。
葉酸を摂取することによって「流産」や「神経管閉鎖障害」などの病気のリスクを減らし、より健康な赤ちゃんを生めるように高めます。もちろん100%ではありません。しかし少しでも高めることはできます。
また、葉酸は赤ちゃんにだけ効果的ではなく、母体にもよい効果をもたらしてくれるのです。妊娠中に起きやすい「貧血」の予防や、産後には「母乳の出」をよくするなどの効果があります。
葉酸は妊活から産後まで良い効果をもたらしてくれるので、積極的に摂取していきましょう。
葉酸って妊娠前の計画段階から妊娠初期だけ必要だと思ってた
葉酸は妊娠を計画している段階から産後まで摂取しつづける必要があるのじゃ
葉酸を多く含む食べ物一覧
食品成分データベースを参考に葉酸を多く含んでいる食べ物を分けて紹介していきます。
葉酸を多く含む野菜ベスト5
葉酸を多く含む野菜を5つ紹介していきます。
1.菊/菊のり
食用の菊は食べる機会が少ないと思いますが、実は葉酸が「100gあたり370μg」豊富に含まれているのです。酢の物や和え物、海苔巻きに多く使われています。
菊を100gも食べるのは大変だと思うので、食べる機会があれば食べるといいでしょう。
2.菜花(なばな)
菜花は他に菜の花や、花菜とも呼ばれています。「菜の花」だと一番親しみがあってわかりやすいですよね。そんな菜花には葉酸が「100gあたり340μg」含まれています。
菜花の味は少し苦いので食べづらさがあるかもしれません。ただ、その分多く含まれているので食べられる方は食べたほうがいいでしょう。茹でれば野菜の甘みもでてくるので、おひたしや和えで食べるのがおすすめですよ。
3.枝豆
枝豆はお酒のおつまみとして食べるのが人気の野菜です。枝豆に含まれる葉酸は「100gあたり320μg」含まれています。
生で食べると上記の数値ですが冷凍すると310μg、茹でると260μgにまで少なくなるので注意してください。一般的に枝豆は茹でて食べる人が多いので「260μg」と考えておいていいでしょう。
4.からし菜
からし菜は文字通り、からしの原料にも使われているものです。からし菜に含まれる葉酸は「100gあたり310μg」含まれています。
炒め物やおひたし、漬物によく使われています。辛味があるので苦手な人は気をつけてください。
5.モロヘイヤ
モロヘイヤは野菜の中でも上位に入るほどバランスのよい栄養価です。葉酸は「100gあたり250μg」含まれています。
モロヘイヤは灰汁(アク)がでるため、一度茹でてから食べるか調理することをおすすめします。食べ方はスープか天ぷらがおすすめです。
葉酸を多く含む果物ベスト5
葉酸を多く含んだ果物を5つ紹介します。
1.マンゴー/ドライマンゴー
なめらかで甘い食感のマンゴーが果物の中でもっとも多く葉酸が含まれています。含まれている量は「100gあたり260μg」です。
生で食べるのはもちろんドライマンゴーでも葉酸を摂ることができます。4月頃から8月頃までがもっとも多く出回ります。
2.ドリアン
強烈な臭さが有名な果物ドリアンは、実は葉酸を多く含んだ果物なんです。「100gあたり150μg」含まれています。
ただ、生で食べて上記の数値なので、中々食べるのは難しいと思います。ましてや妊娠中は匂いに敏感になるので、余計にツライでしょう。大好きでもないかぎりは無理して食べる必要はありません。
3.なつめ
あまり、食用として見かけることのない珍しい果物なつめですが、意外と葉酸が「100gあたり140μg」と多く含まれています。
食べ方ですが、上記の数値は干して乾燥させたなつめの数値です。乾燥以外にも生で食べたり、お茶(なつめ茶)にして飲んだりする方法もあります。
なつめには睡眠効果があるオレアミドが含まれているので、妊娠して睡眠が浅い方は食べるか飲むかしてもいいかもしれませんね。
4.ライチ
夏によく見るライチは別名レイシ、ライチーとも呼ばれます。ライチに含まれる葉酸は「100gあたり100μg」です。
葉酸やビタミンCなどの栄養素が豊富ですが、食べすぎるとイライラや倦怠感(ダルさ)、口内炎などを発症するといわれているので食べすぎには気をつけてください。
5.イチゴ
果物の中で必ず上位に入るほどの人気を誇るイチゴには葉酸がたくさん含まれています。「100gあたり90μg」と食べやすさに対して、多く含まれています。
水分量が90%と多く、カロリーも34kcal(100gあたり)と低カロリーになっています。砂糖や牛乳、練乳などをかけずに食べても太る心配もないので、デザートにおすすめです。
葉酸を多く含む藻類ベスト3
葉酸を多く含む藻類を3つ紹介します。
1.焼き海苔
手巻き寿司なんかによく使われる焼き海苔には葉酸が「100gあたり1900μg」含まれています。
たくさん含まれているようにも思えますが、100gで計算されており、標準の19cm×21cmの焼き海苔1枚だと3gほどになるので、標準サイズで約33枚分が必要となってしまうのです。
2.味付け海苔
醤油と砂糖で味付けをした味付け海苔は関西ではおにぎりによく使われます。味付け海苔に含まれる葉酸は「100gあたり1600μg」です。
コンビニやスーパーなどで簡単に手に入るので、少しでも食べてみてはいかがでしょうか。
3.岩海苔
海苔では少し珍しい岩海苔ですが、葉酸を「100gあたり1500μg」と多く含んでいます。食品としてはお吸い物や味噌汁に使われます。
味噌汁に岩海苔を入れて食べるのがおすすめです。
葉酸を多く含む魚介類ベスト5
葉酸を多く含む魚介類を5つ紹介します。
1.うなぎ(肝)
うなぎの肝には葉酸が「100gあたり380μg」含まれています。うなぎはよく食べると思いますが「肝」に葉酸が多く含まれているので、注意してください。
肝を使った料理だと肝の串焼きがや肝吸いが有名だと思います。食べる機会があれば、積極的に食べましょう。
2.ウニ
日本の三大珍味として数えられるウニには葉酸が「100gあたり360μg」含まれています。珍味だけあって味の好みは分かれると思います。
苦手な人は無理して食べなくても構いません。好きな人であれば食べるといいでしょう。無理して食べて体調が悪くなってはいけませんので、気をつけてください。
3.たたみいわし
たたみいわしとはシラスを洗い、生または茹でて、天日干しをした食品です。おかずとして食べるよりも、お吸い物に入れたり、ふりかけにしたり、お酒のおつまみとして食べます。
たたみいわしには葉酸が「100gあたり300μg」含まれています。魚が好きな方は食べてみてはいかがでしょうか。
4.アユ(養殖・内臓・焼き)
アユの塩焼きや天ぷらは夏の食べ物としても有名です。実は養殖のアユの焼いた内臓には葉酸が「100gあたり280μg」含まれています。
生の内臓だと「100gあたり260μg」と含有量が少し減ります。さらに天然のアユの焼いた内臓だと「100gあたり250μg」と意外と天然は少なめになっています。
葉酸の摂取が目的なので、食べるなら「養殖のアユ」をおすすめします。
5.桜えび
釜揚げやかき揚げ丼なんかでよく使われる桜えびには葉酸が「100gあたり230μg」含まれています。
冷凍された桜えびと干しえびがあるのですが、干しえびのほうが多く含まれています。干しえびはお好み焼きや、かき揚げによく合います。
葉酸を多く含む肉類ベスト3
これから紹介する肉類はすべて肝臓なんですが、絶対に生で食べるのはやめてください。食中毒や、E型肝炎になるかもしれません。
厚生労働省からも以下のように注意喚起しているので絶対にやめてください。とくに妊娠中だとお腹の赤ちゃんに何かあると大変です。
レバー(肝臓)の内部からも腸管出血性大腸菌が検出されたことが報告されています。
腸管出血性大腸菌は、少数の菌だけでも、食中毒を引き起こします。
一般に牛レバーを含む食肉を生で食べると、食中毒のリスクがあります。
「新鮮」かどうかは、関係ありません。
1.ニワトリの肝臓(レバー)
ニワトリのレバーというと焼き鳥屋さんで見かけますよね。ニワトリのレバーには葉酸が「100gあたり1300μg」含まれています。
主な食べ方は焼き鳥のイメージが強いと思いますがそれ以外にも、からあげにしたり、炒めたりしても美味しいですよ。
2.牛の肝臓(レバー)
牛のレバーには葉酸が「100gあたり1000μg」含まれています。牛のレバーを生で食べるのだけは絶対にやめましょう。
食中毒になるかもしれません。また、調理のときもしっかりと火が通っているか安全を確認してから、食べてください。
3.豚の内臓(レバー)
豚の内臓には「100gあたり810μg」の葉酸が含まれています。豚レバーも牛と同様に生で食べるのは避けましょう。
からあげや、炒めるなど火をしっかりと通した料理を食べましょう。
妊婦さんに注意してほしい成分
葉酸を意識して摂取すると他の成分が過剰摂取になってしまうかもしれません。とくに気をつけてほしい栄養成分は以下の3つです。
- ビタミンA
- アピオール
- カフェイン
ビタミンA
「ビタミンA」は肝臓(レバー)や緑黄色野菜に多く含まれています。葉酸を摂取することを意識して、レバーや緑黄色野菜をたくさん食べてしまうと過剰摂取になってしまうかもしれません。
過剰摂取すると頭痛や脱毛、肝臓障害などの症状が出てきます。妊娠中だと赤ちゃんに奇形が発生する可能性もあります。
アピオール
アピオールとはセロリやパセリに含まれる成分で、妊娠中絶や月経不順の治療を目的として使用される成分です。大量に摂取すると吐き気や、肝臓、腎臓に障害がでます。
200gほどのパセリを一度に食べた場合、命の危険があるとされています。ただ、パセリは一束20gほどなので、食べすぎることはないでしょう。
カフェイン
コーヒーや緑茶、コーラ、チョコレートなどに含まれるカフェインを過剰摂取すると、不眠や骨を弱くする、めまいなどの症状がでてきます。まれにですがカフェイン中毒となって死ぬ可能性もあります。
気をつけるべき調理方法
葉酸は水溶性ビタミンの一種で熱や光に弱く、水に溶けやすい性質となっています。厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」によると、調理の段階で葉酸は50%近く分解するといわれています。
葉酸を意識して摂取するならできるかぎり熱処理は加えず、水でさっと洗い流して食べるのがおすすめです。(※サラダはおすすめ)
洗うだけだと味に飽きてくると思うので、その場合は「蒸したり」「電子レンジ」を使うといいでしょう。あまり長時間使うと葉酸が壊れていくので注意してください。
葉酸を摂ろうとすると中々大変なのね。
そうじゃな、妊娠中だとさらに大変じゃな。大変なときは旦那さんや家族に協力をお願いするといいじゃろう。
厚生労働省は食品以外に葉酸サプリの摂取を推奨
厚生労働省は近年増えてきている「神経管閉鎖障害」のリスクを低減するためにも葉酸の摂取を推奨しています。
しかし、食品に含まれる食事性葉酸(ポリグルタミン酸型)は調理の損失と、体内での消化吸収される過程をふまえると、最終的には体内に吸収できるのは多くても50%程度でしょう。
しかも、食事性葉酸で神経管閉鎖障害のリスクを低減できるのか、情報が少なく科学的根拠が不十分だとされているのじゃ。
サプリ添加の葉酸(モノグルタミン酸型)であれば、葉酸を85%近く吸収でき、海外でもリスクの低減ができたと報告されて科学的根拠も十分です。
そのため、厚生労働省は栄養補助食品である「葉酸サプリ」の摂取を推奨しています。ただし、サプリで簡単に飲めることから過剰摂取にも注意喚起を促しています。
- 神経管閉鎖障害のリスクを低減するために葉酸を摂取する必要がある。
- 野菜などに含まれる葉酸よりもサプリ添加の葉酸のほうが吸収率がいい。
- 食事性葉酸の吸収率は50%に対してサプリ添加の葉酸は85%近く吸収できる。
- 葉酸サプリを利用するときは用法用量を守って摂取する。
まとめ
葉酸がたくさん含まれら食品を紹介しましたが、それらばかりを食べてはいけません。栄養バランスを第一に考えて、葉酸の摂取を意識してください。
食品に含まれる葉酸は吸収しづらく、半分以下しか吸収できません。神経管閉鎖障害や貧血、流産のリスクを低減するためにも葉酸サプリを摂取してみてはいかがでしょうか。