妊娠すると今まで感じなかったこと、今まで特に起こらなかったような体の変化が起こるようになります。
そのうちの一つが頭痛です。妊娠していることで薬を飲むことができなかったりしますから、思うように家事ができなくなったり食欲がでなかったりして心配になってしまうこともあると思います。
今まで頭痛が起こることが少なかった方も妊娠をきっかけに頭痛が起こるようになったり、頭痛もちの方はさらに頻繁に頭痛が起こったりすることもあります。
なぜ、妊娠をしたことで頭痛が起こることが多くなってしまうのでしょうか。横になっていれば治ることも多い頭痛ですが、なかなか休めないという方も少なくないのが現状です。
そんな辛い頭痛、どんな原因から起こり、どうやったら起こらないようになるのか、また薬を飲まなくても頭痛が緩和される方法はあるのでしょうか。
妊娠中に起きる頭痛には2種類ある?
頭痛といっても、妊娠中に起こる頭痛には2つのパターンがあると言われています。
一つが良く聞く偏頭痛、もう一つは緊張型頭痛です。頭痛が起こることが少なかった方にはこの2つにはどんな違いがあるのかがわからない方も多いのではないでしょうか。
日ごろから頭痛もちの方でも、2つの違いを知らなかったり起こる原因が違うということを知っている方も少ないはずです。
「頭が痛くなる」という点では、どちらも共通していますが、偏頭痛の場合は相応の対応の仕方が、緊張型頭痛にも相応の対応の仕方があります。
以後、それぞれの頭痛の原因や改善方法について詳しく解説していきます。
偏頭痛
偏頭痛とはその名の通り、頭の片側あるいは両方のこめかみのあたり、目のあたりにかけてずんずんと心臓が鼓動を打つのと同じような感じで痛みが出てくるのが特徴です。
痛み方は人それぞれなのですが、一度起こるとズキズキ、どくどくと痛む方、ちょっと良くなったと思ったらまた痛みが出てくる方もいます。
頭痛が起こる回数はその時の体調や気候、またストレスなどによって異なるものの月に1~2回、多い時には週に1回や2回起こるという方もいます。
頭痛が起こることで吐き気を催したり胃のむかつきといった症状が出ることもありますし、普段頭痛が起こらない方も妊娠をきっかけに偏頭痛が起こることもあるため、なかなか大変な思いをします。
また、偏頭痛の中にも前兆がある偏頭痛と前兆のない偏頭痛の2つのタイプがあり、前兆のある偏頭痛というのは、頭痛が起こる前に目がちかちかしたりかすんだりといった視力に関する症状が現れることが多いようです。
ただ、いったん痛みが治まると偏頭痛が起こっていたのが嘘かのようにすぐに通常の生活に戻ることができます。
緊張型頭痛
頭痛の中でも慢性的なものも多い中、最も多いと言われているのが偏頭痛ではなく実は緊張型頭痛です。
緊張型頭痛というのは、偏頭痛とは違って無理な姿勢を長時間続けていたり、過度なストレスや緊張などが重なったり、疲れが溜まっているような時に起こりやすいとされています。
緊張型頭痛は、毎日同じようなところが同じように痛くなるという方も多く、偏頭痛のように一部分ではなく頭全体が締め付けられるかのような鈍痛に襲われます。
どちらかといえば後頭部や首筋などに痛みを感じる方が多い傾向にありますが、その痛みは偏頭痛よりも比較的体が動く痛みなので、何とか家事をこなしたり仕事をしたりすることが出来る方も少なくありません。
動くことによって徐々に痛みが軽くなってきて、気づいたら頭痛がなくなっていたというケースもあるようです。
妊娠したことで家事や仕事に支障をきたしてしまうことがストレスになって、緊張型頭痛が起こることが多いのも妊娠中には多いとされています。
病気「妊娠高血圧症候群」が原因の恐れも…
妊娠したことで、起こりやすい症状の一つに、「妊娠高血圧症候群」があります。
今まで頭痛が起こりやすかった方も、頭痛を感じることが少なかった方も、妊娠によって血圧が高くなり妊娠高血圧症候群になっていることに気づかないケースもありますので、十分な注意が必要です。
特に今まで頭痛が起こることが頻繁に起こっていた方は、その頭痛が慢性的に起こるものであると断定しないことが大切です。
ただ、頭痛が妊娠高血圧症候群の症状の一つであると知っている方は意外に少ないのが現状です。
重症化してしまうと母体のみならずお腹の赤ちゃんにも影響を及ぼしてしまいますので、頭痛を侮らないように気を付けましょう。
頭痛以外にも倦怠感があったりむくみ、急激に体重が増加してしまったような時は妊娠高血圧症候群の可能性もありますので、少しでもいつもと違う症状が起こったり継続して続くような時は医師に診てもらうことをお勧めします。
どういった状況になると妊娠高血圧症候群になるのかが明らかになっていないため断定することは難しいのですが、発症しやすいケースとして高齢出産(35歳以上)であったり若年(15歳以下)の妊娠で起こりやすいとされています。
もともと自身の体重が多く、そこから妊娠をして体重が増えてしまったという方も妊娠高血圧症候群を引き起こす可能性が高くなると言われていますので体重管理はしっかりと行うことが大切です。
妊娠高血圧症候群なんてあるんだ…
そうじゃ。頭痛がなかなか治らなかったり、熱のない倦怠感、むくみなどがあった場合は妊娠高血圧症候群の可能性が高いから、一度医師に診てもらうといいぞ。
妊娠中に起きる2つの頭痛の原因
妊娠中に起こる頭痛には偏頭痛と緊張型頭痛の2つがあると前述しました。
同じ頭痛ではあるものの、なぜ偏頭痛と緊張型頭痛の2つに分かれて頭痛が起こるのでしょうか。
前述でも少し解説しましたが、後述はさらに詳しくそれぞれの頭痛の原因を探っていきたいと思います。
頭痛が普段から起こりやすい方も、今はまだ頭痛が頻繁に起こることはないという方もぜひ、頭痛が起こる原因や仕組みを知っておきましょう。
妊娠中の頭痛は侮れません。薬も簡単に飲むことができないからです。頭痛が起こらない工夫をすることも大切ですから、そのためにもしっかりと原因をおさえておきましょう。
偏頭痛の原因
血管が拡張することで起こってくるのが偏頭痛です。
こめかみから目のあたりに痛みがあるようなときは偏頭痛が起こっている証拠。
4時間程度で収まることもあれば数日続くこともあります。偏頭痛が起こりやすいという方も多く、一度起こると痛みが強いため家事や仕事に手がつかなくなってしまうことも少なくありません。(参照:日本頭痛学会「頭痛について知る」)
偏頭痛というくらいなので片側のみに現れるケースがほとんどですが、中にはこめかみの両側が痛くなることもあります。痛みが起こり始めると光だったり音やにおいなどに対する反応が強くなる傾向にあります。
男性よりも女性に多く、理由として考えられるのは女性ホルモンの影響を受けているのではないかというもの。
20代~40代に比較的多いとされていますが、年齢に関係なく起こる方は起こります。
偏頭痛が起こる原因はこれ!と決まっているわけではなく解明されていないので一概には言えませんが、なんでも完ぺきにこなさないと気が済まない、神経質な性格、細かなところまで気になってしまうという方に起こりやすいと言われています。
緊張型頭痛の原因
偏頭痛持ちも多い中、実は緊張型頭痛の方が起こる頻度が高いとされています。頭蓋を包み込んでいる筋肉が持続的に収縮してしまうことで緊張型頭痛が起こります。
偏頭痛のように強い痛みのときもあれば痛みが弱い時もあったり、頭が締め付けられるかと思えば痛みが消えたりといった波があるのも特徴です。
同時に肩こりや首のコリといった症状を併発することが多く、緊張型頭痛が起こると首のあたりが硬くなり首から上が動かしにくくなるといった症状も現れやすいとされています。
精神的なストレスがあることや、眼精疲労や肩こり、何かしらの刺激によって筋肉が収縮してしまうことが原因で起こっており、その頭痛がさらにストレスとなって筋肉に刺激を与えてしまいます。(参照:日本神経学会「脳神経内科の主な病気」)
筋肉に刺激が伝わるとさらに収縮してしまうという悪循環に陥り、継続して鈍い痛みを伴うのが緊張型頭痛です。
緊張型頭痛は偏頭痛とは違って、誰にでも起こる頭痛といえます。妊娠してから頭痛が起こりやすくなったという方も、妊娠をしたことによって自分では自覚していないストレスが溜まっていたりすることもあります。
妊婦さんは頭痛薬の服用に要注意!
妊娠中というのは特に薬の服用が今まで通りにできない状況にあります。
もちろん、市販薬を飲んだからといって母体や赤ちゃんに必ずしも影響を及ぼすというわけではありませんが、やはり飲まないに越したことはありません。
ですから、頭痛が起こっても我慢をしてしまったりする妊婦さんも実際には多いのが現状です。
妊娠する前から頭痛が起こりやすかった方は、事前に医師に相談をし頭痛が起こったときに妊婦さんでも服用できる薬を処方してもらっておくと安心です。
痛くなった時に飲めますし、まず妊娠をしていることをわかっている医師が処方してくれた薬なので薬の影響の心配がいりません。
また妊娠をきっかけに今まで頭痛が起こったことがない方も頭痛が起こりやすくなります。
月に一度しかない検診ですが、頭痛があって家事や仕事が思うようにできない、支障をきたしてそれがさらにストレスになってしまうことがないよう、検診の日ではなくても医師に相談しましょう。
もし病院に行けないときは、自宅にある鎮痛剤を飲んでも問題はないか、通っている病院に問い合わせて確認をするのもいいでしょう。
頭痛くらいでって思っちゃって相談するのって難しいんだよね。
そうじゃな。病院に行くのも面倒だと感じて我慢する人も多いじゃろう。しかし、お腹の中の赤ちゃんのことを想って病院で診てもらうのじゃぞ。
今すぐできる!頭痛を軽減する5つの予防法
妊娠中は特に薬を飲まずに頭痛を解消することが出来る方法があれば、そちらを試したいというのが本音ではないでしょうか。
なぜなら医師から処方してもらった薬だったとしても、やはり自身もそうですが赤ちゃんのことを考えると飲みたくないという気持ちが出てきますよね。
もちろん、頭痛と一口にいっても痛みの度合いも人それぞれ。これからご紹介する方法で良くなる方もいればよくならない方もいるでしょう。
10人中10人に効果がある方法ではないかもしれませんが、頭痛がなくなったり痛みが緩和され弱くなったという方も実際にはたくさんいます。
妊娠中ですから無理なことはできません。妊娠中でもできる頭痛の改善方法を5つご紹介しますので、無理をしない程度に行ってください。
1.安静にしておく
偏頭痛と緊張型頭痛、どちらの頭痛にも痛みを緩和する方法として有効なのがまずは「安静にする」という方法です。
頭痛が起こるということは筋肉だったり体が何かしら敏感になっている証拠でもあります。偏頭痛の場合、動くと余計に頭が痛くなったり、ひどくなると吐き気を催すこともありますので、まずは頭が痛くなったら横になりましょう。
ベッドで横になれるのが一番ですが、自分が一番リラックスできる環境に身を置くということが大切ですので、リビングのソファで横になったり座っている方が気持ちが楽だというのであればそれでももちろん構いません。
光や音によって頭痛がひどくなるような時は、光も音もできる限り遮断できる場所で安静にするのが一番です。
頭痛が良くなってくる時間は人それぞれですが、1時間、2時間ほど安静にしていると痛みが弱くなってくることも少なくありません。
2.リラックスできる体勢になる
頭痛が起こった時は、無理な姿勢をしていたりすることも多いもの。そのような頭痛には、まずはリラックスできる姿勢に立て直すことが先決になります。
リラックスできる体勢も人それぞれですが、ソファに座ったりするのがお勧めです。
ただ、リラックスしすぎて頭痛が起こってしまうことも実はあることを知っていますか?一日何もすることがなくぼーっと座っているだけでも頭が重くなる時がありますが、リラックスもずっとしていればいいというわけではありません。
適度に動くことも頭痛を起こさないポイントとなるので一概には言えない部分ももちろんあるわけですが、何かしていて頭痛が起こった時はその作業や姿勢からまずは抜け出すこと、そして、リラックスできる飲み物、ココアやハーブティなどを飲んでゆっくりと過ごすことを心がけてみましょう。
普段からリラックスできる自分の時間や空間、物があると頭痛が起こることを予防できます。
3.ストレスを避ける
誰でも大なり小なり目に見えないストレスを抱えて生きています。またストレスを全く感じずに生きることが難しいのも事実。
ですが、頭痛の原因のひとつでもあるのがストレスです。ということは、ストレスをなるべく感じない生活を送るということが頭痛を引き起こさない秘訣にもなるのです。
ストレスを避ける方法としては、自分の好きなこと、趣味を見つけて1日のうち10分でも20分でもその時間を作るようにしましょう。
また妊娠中も無理をしない程度に体を動かすことはストレス発散になります。妊娠をしているといろいろなところで制限がかかります。今までとは生活が変わりますから、自分では感じていないストレスが起こりやすいのも事実。
ですので、ストレス発散できることを見つけ、ストレスを溜めないようにしましょう。ストレスが溜まるような空間に身を置かなくてはいけないような時も、リラックスできる時間をその中でも作るように心がけましょう。
4.食事の改善
頭痛を改善する方法の中の一つに「食事の改善」というものがあることを知っていますか?頭痛と食事、あまり結びつかないイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
実は私たちが毎日口にしている物の中には、頭痛を誘発するものがあると言われています。逆に頭痛の予防になったり緩和につながるものもあります。
頭痛を引き起こしにくくしてくれるものとしておススメなのがビタミンB2とマグネシウムです。
ビタミンB2を多く含む食材としては納豆やレバー、牛乳やヨーグルトなどの乳製品、ホウレンソウや小松菜などの菜っ葉と呼ばれる野菜です。
マグネシウムを多く含む食材には大豆製品、ゴマやアーモンドなどのナッツ類、ひじきやワカメなどの海藻類、緑黄色野菜があります。
逆に頭痛を引き起こしやすいと言われているのがポリフェノールを豊富に含んでいるもの、たとえばチョコレートやオリーブオイル、血管を拡張する作用などがある亜硝酸ナトリウムを含んでいるハムやサラミなど、乳製品の中でもチーズは頭痛を引き起こしてしまうと言われています。
5.頭痛に良いとされるツボを押す
頭痛にも偏頭痛と緊張型頭痛の2つがあり、それぞれに効果のあると言われているツボは違います。
緊張型頭痛で後頭部や側頭部に痛みがあるような時に押すといいと言われているツボは「百会」と呼ばれているツボです。
頭頂部にあり、両耳と鼻の延長線上で交わるところがちょうど百会と呼ばれるツボになります。体の中心に向かって垂直に押すようなイメージで押すのがポイント。
また、「風池」と呼ばれる耳の後ろの骨の部分にあるツボや後頭部のくぼみのあるちょうど真ん中にあるツボも押すといいと言われています。首の骨の両側に太い筋肉がありますがこの外側にあるくぼみも頭痛に効果があると言われています。
偏頭痛に効果があると言われているツボは「てさんり」というツボです。肘を曲げたときに横にしわができますが、そのしわから手首の方へむかって指3本分ほど進んだところにあります。
そして万能ツボといわれている「ごうこく」もおススメです。親指と人差し指の骨の合流部分、くぼんでいるところがあると思います。ここがごうこくと呼ばれるツボです。頭痛や生理痛、歯痛などにも効果があると言われています。
また、くるぶしの外側及びアキレス腱の間にくぼみがあります。この部分を「ころてん」といいますが、個々も頭痛を緩和してくれると言われています。
頭痛が酷いときは我慢せずに一度医師に相談しよう
頭痛は横になったり安静にしていると収まることも少なくありません。ですので大したことがないと思われがちですが、妊娠中の頭痛は薬も安易に飲むことができませんから、ひどい時や頻繁に起こるときは、我慢をせずに医師に相談をしましょう。
頭痛から実は病気や疾患が見つかることも可能性はゼロではありません。妊娠しているときは女性ホルモンのバランスもいつもとは違いますから、頭痛が起こりにくかった方も頭痛を引き起こすことも少なくありません。
日ごろから頭痛を起こしやすいという方も、普段からどういうときに頭痛が起こりやすいのかをチェックし、頭痛が起こらないよう原因となることを避けるということも大切です。
医師に相談をすることは恥ずかしいことでもいけないことでもありません。相談をせずに我慢をしていることがストレスになってよけいに母体と赤ちゃんに影響を及ぼしてしまう方が良くないのです。
頭痛って普段のイメージから大したことないって思っちゃうんだよね…
そうじゃな。少し経てば治ることもほとんじゃろうから、そう思うのも仕方ないじゃろう。しかし、妊娠中の頭痛はいつもと違うと思うことが大切じゃ。自己判断せず、医師に診てもらって大丈夫か判断するのじゃぞ。
まとめ
妊娠中している・していないにかかわらず、頭痛は大きく分けて偏頭痛と緊張型頭痛があります。
それぞれに起こる原因や要因が異なり、もちろん、それに伴って偏頭痛や緊張型頭痛を起こさないような方法も存在します。
これらを知っているかどうかだけでも、妊娠の際の頭痛に対する対処法をとれるかどうかが決まってきます。
もちろん、頭痛が起こらないようにしていてもいつどういった形で頭痛が起こるかは誰にもわかりません。
日ごろから頭が痛くなることが多い方もいれば、頭痛があまり起こらないという方もいるでしょう。しかしながら、妊娠したことで頭痛が起こることも決してゼロではないこともわかりました。
場合によっては、妊娠高血圧症候群を引き起こしているがために頭痛が起こってしまっている可能性だってあるわけです。
つまり「たかが頭痛」と思わないということが大切です。9割の頭痛が安静にしていればよくなるかもしれません。
ですが、医師に相談をすることで我慢せずとも妊娠中でも安心して飲むことが出来る薬を処方してくれますから、検診などがなくても体調に異変を感じたときはぜひかかりつけの産婦人科に相談するようにしましょう。
- 頭痛には「偏頭痛」と「緊張型頭痛」の2種類がある
- 妊娠高血圧症候群が原因の頭痛もあるので注意が必要
- 偏頭痛の原因は女性ホルモンの影響だと考えられるが原因は不明
- 緊張型頭痛はストレスや肩こりなどの筋肉の収縮が原因
- 市販の頭痛薬には注意をする
- 頭痛が酷いときは病院で診てもらう