妊娠中期に摂る栄養は、赤ちゃんの成長に大きな影響を及ぼします。非妊娠時のように自分の身体の健康だけを考えて食べていれば良いというのでは無く、赤ちゃんが健やかに成長できるよう必要な栄養を意識し、充分量摂取していかなければなりません。
どのような栄養をどれだけ摂れば良いのかをきちんと把握しておけば、赤ちゃんの成長のためになることはもちろん、お母さんの身体の健康を維持していくためにもなります。
健やかな妊娠・出産には必要な栄養とその量をしっかり把握しておくことが欠かせませんので、この点についてはよく心得ておきましょう。また過剰摂取に気をつけなければならない栄養などについても、よく把握しておいてください。
妊娠中期は栄養素に付加量が設定されている
赤ちゃんの成長が著しい妊娠中期はもちろんのこと、基本的に妊婦の摂る栄養というのは妊娠中全般に渡り、摂るべき付加量が設定されています。
赤ちゃんに栄養を送らなければいけないぶん、非妊娠時に比べてどの栄養をどれだけ摂るべきといったことが決まっていますから、しっかり守れるように努めていってください。
必須栄養素を摂れないとどうなってしまうの?
必須栄養素をしっかり摂っておくことができなければ赤ちゃんの成長に影響を及ぼしますし、またそれによって障害のリスクが高まる恐れもでてきます。
母子の健やかな妊娠・出産のためには充分意識をして栄養を補っていかなければなりませんから、この点についてはよく心得ておきましょう。
妊娠中期に絶対欠かせない2つの栄養素
お母さんの健康はもちろん、赤ちゃんの成長のためには様々な栄養が必要になりますが、その中でも特に気をつけて摂っていくべき必須栄養素というのが、鉄分と葉酸です。
この二つの栄養は妊娠中期には特に不足しがちで、放っておくと赤ちゃんに充分な栄養が送れず発育不全などの問題が出てくる恐れがあります。
また赤ちゃんだけでなくお母さんにとっても不足することで健康に大変な影響を及ぼしますから、しっかり摂取していけるようにしましょう。
「鉄分」不足する理由&必要不可欠な理由
赤ちゃんへの栄養は血液によって送られますが、妊娠中期以降というのは赤ちゃんの成長が著しいこともあり、圧倒的にこの量が不足しやすくなります。
血を作る元となる栄養素である鉄分はこの時期非常に深刻な不足に陥りやすくなりますから、この点についてはよく心得ておきましょう。
鉄分の摂取推奨量は非妊娠時が1日当たり10mgであるのに対し、妊娠時の摂取推奨量は20mgと付加量が大幅に増えます。実際の20~40代の鉄分の平均摂取量は6.5~6.7mgと言われており、非妊娠時においても全く推奨量に達していないのが現状です。
妊娠時となると自分だけの問題では無く赤ちゃんの健やかな発育そのものに影響を及ぼすことになりますから、この栄養が不足することの無いよう、非妊娠時よりも一層注意して摂取を心がけていくようにしてください。
他の必須栄養素をどれだけ一生懸命摂ったとしても、血液の元となる鉄分がしっかり摂れていなければ赤ちゃんに栄養を届けることはできません。意識して摂っていかなければ不足してしまう栄養なので、充分な摂取を心がけてください。
「葉酸」不足する理由&必要不可欠な理由
葉酸は鉄と共に血液を作る元となる栄養です。妊娠初期においては赤ちゃんの神経閉塞性障害のリスク防止を目的として摂られることが多い栄養ですが、妊娠中期においてはお母さんの貧血予防目的のためにこの栄養を摂ることがとても重要になってきます。
赤ちゃんの成長に必要な栄養というのは血液から送られることになりますから、当然貧血を起こしたりすれば、その栄養の供給に問題が生じてくることになります。
葉酸を意識して摂取することは貧血予防はもちろんのこと、赤ちゃんの成長を健やかなものにするためにも、とても大きなことですから、充分な量をきちんと摂っていけるようにしてください。
妊娠時において葉酸は1日当たりの摂取推奨量が400μgとされていますが、実際の平均摂取量は291μgと言われています。
妊娠の計画・可能性がある女性は、食事摂取基準の表に示されている量に、付加的に400μg/日のプテロイルモノグルタミン酸を摂ることが望ましいとされています (2) 。
ビタミンに属する栄養であり、摂ることが難しいこともありませんから、毎日進んで摂取し、健やかな妊娠・出産に努めていきましょう。
妊娠中期に積極的に摂取すべき栄養素(付加量設定あり)
妊娠中期になると、初期とは違ったものが不足しやすくなります。また、普段の食事にプラスして摂りたい栄養も少し変わってきます。
ここからはプラスして摂らなければいけない栄養素を紹介していきます。
「カルシウム」必要な理由
カルシウムは強い骨を作るために必要な必須栄養素ですが、赤ちゃんの成長において不足することはあまりありません。
しかしそれはカルシウムが優先的に赤ちゃんに送られるからであり、そのためにお母さんの身体というのはどうしてもカルシウム不足になりがちですから、この点についてはよく心得ておかなければなりません。
カルシウムを不足してしまうとどうなるの?
カルシウムが不足すれば当然骨粗鬆症になりますし、その影響というのは生涯に渡る可能性も出てきます。
妊娠出産においては健やかな身体作りが大切であり、骨がもろくなれば骨折などのリスクも高まりますから、そういったことの無いよう避けることも必要です。
カルシウムの摂取推奨量については1日あたり550mgとされていますが、実際の平均摂取量は493mgと言われています。
妊娠時においては赤ちゃんに送らなければいけないこともあり、不足による身体への影響はますます大きくなりますので、特に妊娠中期においては意識して摂取に努めていかなければなりません。
「亜鉛」必要な理由
亜鉛が不足すると、赤ちゃんの成長においては発達障害のリスクが高まります。そのため妊娠中にはこの必須栄養素についても不足することの無いよう意識して摂取を心がけていくことが大切です。
また亜鉛は味覚に大きな影響を与える栄養で、不足すると味覚障害に陥りやすくなります。味覚障害になれば当然食事を楽しむことはできませんし、食欲自体も落ち込んでしまうでしょう。
そうなれば亜鉛に限らず様々な栄養の不足を招くことになりますから、そういったことの無いようにするためにも、この栄養はしっかり摂っていくことを心掛けなければなりません。
妊娠中期は赤ちゃんの成長において非常に大切な時期ですので、味わって食事を楽しむことも、とても大切になってくるのです。
亜鉛の推奨摂取量は1日あたり8mgに設定されています。妊娠時はさらに+2mgを摂るべきとされているので、クリアしていけるようにしましょう。
「ビタミンB6」必要な理由
ビタミンB6は妊娠中、赤ちゃんの成長のためというよりも、お母さんの健康を維持するためにとても重要な役割を果たします。妊娠中期はまだつわりに悩まされる人も多いですが、ビタミンB6にはその症状を和らげる効果があるとも言われています。
ビタミンB6を不足するとどうなるの?
不足すると妊娠高血圧症候群になりやすいとも言われているため、充分な量を摂取することが必要です。
また、口内炎などになりやすくなり、そのせいで食事が楽しめないといった問題も出てくるため、意識して摂取していくべき必須栄養素だと言えます。
ビタミンB6は1日当たり1.2mgとされています。妊娠時の付加量は+0.2mgに設定されているので、しっかり摂っていけるようにしてください。
基本的にバランスのとれた食事を摂っていれば不足する栄養ではありませんが、偏食気味の人はその限りでは無いため気をつけなければなりません。
「ビタミンB12」必要な理由
ビタミンB12は腸内細菌によっても合成される必須栄養素であるため、不足するということはほとんどありません。しかし完全菜食主義者であったり、小腸に疾患を持っている場合はその限りではありませんから、注意が必要です。
この栄養が不足すると悪性貧血や食欲不振、疲労感やめまいなどの症状を起こすことになります。お母さんの日常の健康を阻むこととなり、体調を崩すことにもなりかねませんから、不足の心配が少ない栄養と甘く考えず、意識して摂取していくことが大切です。
妊娠中期にこの栄養が不足すると発育障害や成長遅延にも繋がりますから、そういった点についても配慮が必要だと言えます。
ビタミンB12は、1日の推奨摂取量が2.4μgに設定されています。妊娠時の付加量はプラス1.4μgなので、意識して摂取していけるようにしましょう。
「ビタミンC」必要な理由
ビタミンCは赤ちゃんの脳や血管、骨などを作るために不可欠な必須栄養素であり、不足すると特に脳の発育に大きな影響が出るとされています。
学習や記憶力を司る海馬の発達が未熟となってしまったり、また呼吸障害、心拡張、循環障害などのリスクも高まるので注意が必要です。
ビタミンCを不足すると赤ちゃんに悪影響を与えてしまうんだね…
そうです。また妊娠中期のお母さんの身体においては休んでも疲労がとれない、肌や粘膜の荒れなどといった問題が出てきます。
女性にとってこれらのトラブルというのは非常に大きなストレスとなりますから、メンタル面での健康を保つためにもビタミンCというのは非常に重要な栄養と言えるでしょう。
ビタミンCの1日当たりの摂取推奨量は、100mgとされています。妊娠時の付加量はプラス10mgとされているので、充分摂っていけるように努めてください。
他の栄養に比べて比較的摂りやすい栄養であり、不足するということもあまりありませんが、野菜や果物などでしっかり摂取していきましょう。
「マグネシウム」必要な理由
マグネシウムは直接赤ちゃんの発育に影響をするということは無いものの、カルシウムと共役関係にある必須栄養素であることから、不足することでカルシウムの働きが弱くなるといった問題が出てきます。
強い骨を作るためにはカルシウムだけではダメで、この働きをサポートするマグネシウムが充分量なければ力を発揮することができません。
またお母さんの身体においても同じことが言え、カルシウム不足に加えてマグネシウムまで不足すれば深刻な骨粗鬆症に悩まされることになりますから、この点についてはよく心得ておかなければなりません。
マグネシウムの1日当たりの摂取推奨量は、270mgとされています。妊娠時の付加量はプラス40mgとされているので、この量を満たせるよう意識して摂取していってください。
「タンパク質」必要な理由
様々な必須栄養素の中でも、身体を作るうえで主たる成分となるのが、たんぱく質です。たんぱく質は脳、皮膚、髪、筋肉などあらゆる組織を作る材料となる成分ですから、不足するということは赤ちゃんの発育を考える上でも考えられません。
一言にたんぱく質とは言うものの、植物性と動物性の2種類があり、両方のたんぱく質をバランスよく摂っていくことが理想です。比較的動物性たんぱく質の方が摂りやすい傾向にありますが、できれば1:1の割合で摂取していくことが理想的です。
妊娠中期においては赤ちゃんもぐんぐん成長していきますから、その成長に合わせて充分な量のたんぱく質をしっかり摂っていけるようにしましょう。
赤ちゃんの成長に限らず、お母さんの身体を作る上でもたんぱく質は非常に大きな役割を果たします。血や肉といった身体の基礎となる栄養をしっかり摂っておかないと健やかな妊娠・出産を経ることは難しいのでこの点はよく心得ておいてください。
「エネルギー(糖分)」必要な理由
エネルギーは身体を動かす燃料となるものですから、不足すれば当然健康には問題が出てきます。力が出ない、元気が出ない、動けないなどといった問題が起こってくるので、必要な量をしっかり摂っていく必要があります。
エネルギーの必要量も増えてきたりする?
増えてきます。妊娠中期においては目に見えてお腹が大きくなってくることもあり、お母さんに求められるエネルギーというのも必然的に増えてくることになります。
基本的に非妊娠時とそれほど必要となるエネルギー量は変わらないものの、非妊娠時の摂取推奨量は1日あたり2000kcal、妊娠中期の付加量はプラス250kcalとされていますので、満たしていけるようにしましょう。
しかしこのエネルギーは摂りすぎると肥満の元になるので注意が必要です。不足する心配の少ない必須栄養素であり、どちらかといえば過剰摂取に気をつけていくことの方が大切なものでもありますから、摂りすぎには充分気をつけてください。
妊娠中期に摂りたい栄養素(付加量設定なし)
普段の食事にプラスして摂る必要はありませんが、不足がないように摂りたい栄養素を紹介していきます。
「ビタミンB1」必要な理由
ビタミンB1が不足すると、ウェルニッケ脳症という神経異常の病気にかかりやすくなります。この病気は眼球運動障害や失調性歩行、意識障害などを起こすもので、一度発症すると神経学的後遺症や母体の死亡の可能性も出てきてしまいます。
赤ちゃんの成長著しい妊娠中期においては土台となるお母さんの健康が何よりであり、しっかりしていなければ赤ちゃんが健やかに成長することはできません
つわりなどの症状でなかなか思うように食事を摂れないといったことも出てくるでしょうが、健康を維持する必須栄養素として捉え、充分な量を摂取していけるように努めてください。付加量設定の無い栄養なので、非妊娠時と同様の量を摂っていければ充分です。
「ビタミンB2」必要な理由
ビタミンB2が不足すると、咽頭痛や歯茎の出血、口腔粘膜の出血などの症状が現れるようになります。
ビタミンB2は粘膜の健康を助ける必須栄養素であり、不足することで口をはじめとした様々な粘膜が健康を害することになりますから、この点についてはよく心得ておきましょう。
妊娠中期においてビタミンB2が不足すると口や喉にトラブルが起き、思うように食事を摂れないといった問題が出てくる恐れがあります。
しっかり食事を摂ることができなければ当然必要な栄養も補うことができなくなりますから、そういった理由において、ビタミンB12は欠かすことができない栄養だと言えるでしょう。
妊娠中期に避けるべき&過剰摂取に注意すべき栄養素
妊娠中は赤ちゃんの成長に必要であることから、普段よりも一層意識をして様々な栄養を摂る努力をしていかなければなりません。しかしその反面、摂りすぎてしまうことで赤ちゃんに影響をきたす栄養というのもありますから、注意が必要です。
非妊娠時においては必須栄養素であっても、妊娠時においては避けるべき、過剰摂取に気をつけるべき栄養というのはもちろんありますので、よく心得ておきましょう。
「ビタミンA」特に動物性のレチノール
妊娠時には積極的にビタミンを摂取することを奨められますが、ビタミンAに関しては摂りすぎることで逆に赤ちゃんの成長に影響をきたすことがありますから、気をつけなければなりません。
ビタミンAの中でも特に動物性の食品に多く含まれるレチノールという栄養は、摂りすぎると赤ちゃんの先天性異常が起こるとも報告されていますから、注意が必要です。
レチノールはレバーなどに多く含まれていますが、このレバーは妊娠中の貧血予防や鉄分摂取のために積極的に食べた方が良いと考えがちな食品です。
しかし必要以上に摂りすぎることで過剰摂取となり胎児の奇形のリスクを高めることにもなりますから、そのような心配を負うことの無いよう、過剰摂取には充分気をつけなければなりません。
妊娠中期においては食中毒などにも注意をしていかなければいけないことから、レバーなどの食品は鉄分が多い魅力があったとしても、食べるのを控えたほうが良いと言えます。
必須栄養素についてはより安全な食品から摂るべきと言えますから、レチノールの問題も踏まえて、レバーなどは食べない方が賢明な判断でしょう。
「ヨウ素」
日本人は日常的に魚介類や海藻から出汁を取る習慣がありますが、これらの食品にはヨウ素が含まれています。
ヨウ素は妊娠中に摂りすぎると甲状腺の機能の低下や甲状腺中毒症、甲状腺腫といった症状が現れることがあるため、摂取量に気をつけなければならない必須栄養素です。
赤ちゃんの成長著しい妊娠中期にヨウ素を過剰摂取すると、赤ちゃんは先天性甲状腺機能低下症になるリスクが高まります。
これは生まれながらにして甲状腺の働きが弱く甲状腺ホルモンが不足してしまう疾患なので、そういったリスクを負わないようにするためにも、妊娠中のヨウ素の摂取については充分注意していく必要があります。
妊娠中期対応の葉酸サプリで栄養補給
妊娠中期に摂る栄養は、不足や過剰摂取など量に対しても気を遣っていかなければなりません。
日に日にお腹が大きくなってくる時期でもあり、様々なストレスを受けやすい時期でもありますから、そんな時に食事にも気を配り健康管理に努めていかなければならないというのは非常に大変なことでしょう。
そう言った場合に役に立つものというのが、サプリメントです。特に妊娠中期に必要とされる葉酸を中心とした様々な栄養を必要量しっかり摂ることができるため、とても重宝します。
葉酸サプリメントは葉酸はもちろんのこと、その他にも必要とされる様々なビタミンやミネラルが適量含まれているので、食事の支度などのストレスに悩まされることなく栄養補給ができるといったメリットも出てきます。
妊娠中期はつわりやストレスなどの影響で思うように食事を摂ることができず、栄養が不足することも珍しくありません。サプリメントは必須栄養素を効率良く有意義に摂るためにとても役に立ちますから、賢く活用していきましょう。
妊娠中はいかにして上手く栄養を摂っていくかがとても重要になるので、食事だけに限らずこういったものを利用していくことも大切です。
葉酸サプリなら簡単に栄養補給ができるんだね!
まとめ
妊娠中に必要となる栄養というのは、非妊娠時よりも多くなります。赤ちゃんが成長するために必要になるわけですから当然のことですが、逆に不足をすれば赤ちゃんの成長に問題をきたすことになるので、この点については甘く考えてはいけません。
また妊娠中は様々な栄養が赤ちゃんに優先的に送られることになるため、必須栄養素の摂取を怠るとお母さんの身体に影響が出てきます。
貧血や骨粗鬆症など深刻な問題が起こると、気分が優れず食欲不振、そのせいでさらに栄養不足に陥るといった悪循環に巻き込まれることにもなりますから、そういったことの無いよう注意していかなければなりません。
資本である身体がしっかりしていないと健やかな妊娠・出産というのは到底かなうものではありませんから、どのような栄養がどれくらい必要になるのかということについてはよく心得ておき、意識して充分な量を補っていけるようにしてください。
栄養補給については必要に応じてサプリメントなども活用していくべきと言えますから、葉酸サプリメントなどを上手く役立てていくこともおすすめします。
- 妊娠中期には欠かせない2つの栄養素がある
- 妊娠中期はレチノールとヨウ素に気をつける
- 妊娠中期に対応した葉酸サプリで栄養補給する