ビオチンは水溶性のビタミンで、ビタミンB群に属します。酵母の増殖に欠かせない因子として発見され、研究によって皮膚の炎症防止に関わる因子であることがわかっています。
炭水化物やたんぱく質、脂質などの各栄養の代謝を担い、皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養であるため、不足することが無いよう摂っていくことが必要です。
特に妊娠・出産後においても妊婦・赤ちゃんにとって欠かすことができない栄養ですから、意識して補っていけるよう心がけていきましょう。
不足することで髪の毛や肌、体力や精神面あらゆる面において症状が出てくるので、注意してください。
ビオチンはどんな働きをする?
ビオチンは体内において、糖代謝や脂肪酸代謝、アミノ酸代謝に関わる補酵素として、エネルギーを作り出すサポートをしています。またこの他に皮膚や粘膜、爪や髪の健康維持に深い関わりを持っています。
コラーゲンの生成にも関わっている栄養であるため、これを摂ることで髪の毛そのものが健やかで美しくなり、また育毛効果も期待されます。
色素細胞を活性化させる働きもあることから、白髪への影響もあると考えられています。
肌のターンオーバーやニキビ肌の再生、肌の老廃物排出など肌においては全般的に機能を正常にし健康な状態を保つ役割を果たす栄養です。
アトピー肌の治療にも効果が期待されており、美しく健康な肌を維持するためには欠かすことができない栄養と言えるでしょう。
赤ちゃんにおいては特にデリケートな肌をしているため、これを維持していくためにはビオチンが欠かせません。
しかし子供の場合赤ちゃんはもちろん幼児期までは体内でビオチンを作る機能が低く、吸収率も低いため、不足することが無いよう積極的に摂っていく必要があります。
意識して摂取することができれば幼児期までに起こりがちな「湿疹」や「アトピー性皮膚炎」といったリスクもグッと減らしていくことができますから、妊娠中はもちろん出産後においても、母子共に健やかな肌をキープできるよう充分な量を補っていけるよう努めていかなければなりません。
もしかして妊娠中に肌荒れが起きやすいのはビオチンが原因?
原因は様々じゃから一概には言えんが、肌荒れ対策として摂るといいじゃろう
ビオチン(ビタミンB7)はどうして妊娠中に必要なの?
ビオチンは肌や粘膜、髪の毛の健康維持においてとても大切な栄養ですが、妊娠中においては胎児の奇形予防においても大きな働きをしてくれるため、欠かすことができません。
動物実験においては母体のビオチンが欠乏することで退治の内臓形成障害や短肢症、小顎症、口蓋裂などの奇形障害が起きたという報告もあるため、胎児の健やかな成長のためにはしっかり摂っていく必要があるのです。(参照:日本ビタミン学会「ビオチン」)
ビオチンは食事などから摂取するほか、腸内細菌によっても作られる栄養であるため、これまでは欠乏することが無いと考えられてきました。
しかしストレスや乳製品の摂り過ぎ、頻繁な下痢、鎮痛剤の無い服などによって母体の腸内環境が悪化すると欠乏するということが解っているため、妊娠期は特に注意してこの栄養を摂っていかなければならないとされているのです。
そういった理由からビオチンが不足していくと母体の健康はもちろん胎児の成長に支障がきたしてしまいますから、この点についてはよく心得ておきましょう。
ビオチンが不足することでさらなる食欲不振や吐き気を招き、神経障害などに発展していくリスクも出てきますから、気をつけてください。
母子共に健やかな妊娠・出産を経るためには、ビオチンは欠かすことができない栄養なのです。
妊娠中に不足するとどうなるの?不足しやすい人の特長は?
妊娠中にビオチンが不足すると、湿疹や炎症などの皮膚症状、食欲不振や憂うつ感、睡眠障害、神経障害、胎児の形態形成への影響などが懸念されます。(参照:国立健康研究所「ビオチン解説」)
ビオチンは皮膚や粘膜などの健康を維持する栄養であるため、不足すればまず皮膚に症状が現れはじめます。
ニキビをはじめ乾いたうろこ状の皮膚炎が起きるなど見て解りやすく肌質が衰えてきますから、これがビオチン不足の1つのサインとなってくるでしょう。
症状がより深刻になってくるとアレルギー反応などが起きてかゆみや発赤なども起きてくるため、肌に現れる異常については注意深く気を払い察知していかなければなりません。
ビオチン不足は肌の他、食欲、体力、精神面にも影響をきたし、これがどんどん進んでしまうと、食欲不振でろくに食べられず、元気や力も湧かず、精神的にも不安定になってきます。
そうなれば充分な栄養を摂れず当然胎児の成長にも影響が出てきますし、これによって胎児の内臓形成障害や外的奇形のリスクが高まります。
ストレス、頻繁な下痢、鎮痛剤の内服が多い人はビオチンが不足しがちな傾向にありますから、こういった場合は特に気をつけてビオチンを摂っていけるようにしてください。
妊娠中に偏食ぎみの方
生活習慣の乱れやストレスなどの影響で、現代人はビオチンが不足しがちな傾向にありますが、妊婦の場合は胎児の成長と合わせて二人分の栄養や体力が必要になるため、欠乏することの無いよう注意していかなければなりません。
特に偏食気味の人の場合には、栄養が偏っていることから腸内環境が乱れ、本来腸内細菌が合成するはずのビオチンが作られず、より一層不足しやすくなるといった問題が出てくるので気をつけましょう。
栄養が偏っていることでさらなる食欲不振や体調不良を招いてしまうといった悪循環に陥る心配もありますから、妊婦のビオチン不足対策としては、偏食をしないということをまず心がけていくことが大切になってきます。
食欲が出ず、さらにどうしても好き嫌いがあるという場合には、サプリメントなどを利用していくようにしましょう。
1日分、数粒でビオチンをはじめとした様々な栄養を補うことができますし、栄養のために食べなければならないというストレスも緩和されますから、精神的にもかなり大きな助けとなります。
しかしやはり栄養というのは基本的にバランスの良い食事から摂っていくことが基本となりますので、できる限りは好き嫌いを克服し、食品から栄養を摂っていけるよう努めてください。
ミルクアレルギーのある赤ちゃんはビオチン欠乏症に要注意!
ミルクアレルギーを持つ赤ちゃんの場合、アレルギー専用のミルクを使用し栄養を補っていくことになります。
しかし日本の調製粉乳においてはビオチンの点かが認められていないため、このアレルギー専用のミルクのみで赤ちゃんを育てていくと、ビオチン欠乏症になってしまうので気をつけなければならないのです。
赤ちゃんがビオチン欠乏症になると顔面や外陰部の皮疹、脱毛などが現れてきます。
アトピー性皮膚炎との見分けが難しいですが、ビオチン欠乏症の場合には定期的にビオチンを投与することで皮疹が速やかに改善されていきますから、こういった症状が現れた場合にはすぐにかかりつけの医師に相談をしましょう。
乳児早期からビオチンを含まないアミノ酸乳や加水分解乳のアレルギー専用ミルクでのみ養育しようとすると、常にビオチン欠乏症のリスクがついてきますから、この点についてはあらかじめよく認識しておくことが大切です。
産後は赤ちゃんのミルクアレルギーに気をつけないといけないのね!
そうじゃ。もしミルクを飲んでいて異変が起きたらすぐに医師へ相談するのじゃぞ。
ビオチンを過剰摂取するとどうなる?
ビオチンは水溶性ビタミンなので、摂った栄養が体内に蓄積されることは無く、過剰に摂取し多分については尿などとして自然に排出されてしまいます。
そのため他の栄養で怒るような過剰症を心配をする必要がありません。ビオチン自体副作用の少ない栄養素なので、毒性や摂り過ぎに関する問題は無いのです。
腸内細菌でも合成される栄養であることから、普通の食生活を送っていれば不足することも、多く摂り過ぎてしまうこともありません。
遺伝的なビオチン欠乏患者においては大量のビオチン経口投与による治療が行われますが、これにおいても健康被害の報告は無いため、基本的には不足しないよう気をつけていれば、健康に大きな影響が現れることは無いと考えて良いでしょう。
妊娠中の過剰摂取には注意が必要
水溶性ビタミンであるため摂り過ぎたぶんについては体内に蓄積することなく排出され、過剰症などの心配が無いビオチンですが、妊娠中においては胎児の成長にリスクが出てくるので、栄養の摂り過ぎに注意しなければなりません。
動物実験では、哺乳動物が妊娠中に過剰にビオチンを摂取すると、胎仔の吸収や胎盤、卵巣の萎縮が起きたという報告があります。
これは死産や流産、早産などのリスクがぐっと高まるということでもあるため、こういったリスクを少しでも避けられるようにするためには、妊娠中のビオチンの過剰摂取をできる限り避けていくべきと言えるのです。
ビオチンは妊婦の1日の摂取基準量は50μgと定められていますので、基本的にこれを目安として必要な量を摂っていくよう努めてください。
普通の食生活を送っていくのであれば、妊娠中に過剰摂取になるようなことはありませんが、サプリメントを利用してこれを補う場合、特に複数のサプリメントを併用するとなると摂り過ぎてしまう恐れがあるので、この点はよく心得ておきましょう。
特にビタミン系のサプリを併用するとなると摂り過ぎになりやすいですから、気をつけてください。
妊娠前・妊娠中・産後どれくらい摂取すればいい?
胎児の形態形成や皮膚の健康に大きな影響を与えるビオチンは、特に妊娠に関しては日頃から不足することが無いようきちんと補っていけるよう気を遣っていかなければなりません。
基本的にビオチンは妊娠前、妊娠中・授乳中において1日あたり50μgが必要という摂取基準が定められていますから、これを目安に適切な量を補っていきましょう。
妊娠中・産後において特別な量が必要になるということでは無いので、いつも通り摂っていけるよう努めてください。
普段の摂取量はどれくらい?
皮膚や粘膜の健康維持に欠かすことができないビオチンですが、この栄養は普通の食事を摂っていれば1日あたり45.1μgほど補えていると言われています。
ビオチンの摂取目安量は18歳以上の男女共に1日あたり45~50μgほどとされているので、このことから特別意識をして摂取しなくとも必要な量は充分に足りていることが解ります。(参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要 」)
しかしビオチンは腸内環境が悪かったり腸内酵素が不足していると吸収が阻害され、不足しやすくなってしまいます。
ストレスや不規則な生活習慣、また栄養バランスの偏った食生活を送っていればすぐにこういったこごに該当し不足のリスクが高まってくるので、充分に気をつけなければなりません。
通常の食事で目安量を補えるというのは、あくまでも基本の食事、食生活ができているという前提条件の上に成り立つものです。
特に妊娠期においては何かにつけて体調を崩しやすく、食欲不振などにより栄養が偏ることもありますから、不足や欠乏が起こることの無いよう気を遣っていくことが大切です。
良かった!きちんとビオチンは摂れているんだ!
摂れているからといって、妊娠中はつわりなどで食生活が偏ることもあるから気をつけるのじゃぞ。
ビオチンを多く含む食品厳選5つ
ビオチンはサプリメントに頼らずとも、食事の栄養バランスに気を遣っていけば必要な量を充分補っていくことができます。
食品においてはパン酵母・乾燥まいたけ・にわとりのレバー・からし・豚の腎臓に多く含まれるので、こういったものを利用していくのも1つの方法です。
ただこれらの食品については毎回の食事において積極的に取り入れていくというのはなかなか難しいので、手に入る際に上手く献立に取り入れいくといった気持ちで利用していくのがベストでしょう。
「パン酵母」
パン酵母には、100gあたり310μgのビオチンが含まれています。パン酵母はいわゆるイースト菌で、これが発酵する際にでる炭酸ガスの力によってパンが膨らみます。パン酵母にはビオチンの他、食物繊維の一種であるβグルカンが豊富に含まれています。
パンであればこのパン酵母は必ず含まれていますから、食事の中でビオチンを積極的に摂っていきたいというのであれば、献立の中に上手くパン食を取り入れていくと良いでしょう。
特に調理の手間も無くごはんと置き換えればOKなので、手軽にビオチンを摂ることができます。買ったものでも自分で作ったものでも問題無いですし、主食に限らずおやつとして取り入れていくのもおすすめです。
「乾燥まいたけ」
乾燥まいたけには、100gあたり243μgのビオチンが含まれています。きのこは乾燥させることで栄養がギュッと凝縮しますが、まいたけもまた乾燥させることでビオチンの含有量が高まっているため、この栄養を摂るためには生では無く乾燥されたものを選ぶようにしましょう。
乾燥まいたけにはビオチンの他、ナイアシンが多く含まれています。この栄養もまた妊娠においてはとても重要な栄養とされているので、1週間の献立に上手く利用していってください。
スープなどの具材にすれば、水戻しの必要も無く調理も簡単です。乾燥しているため保存も利きますから、ストックして献立に活用していきましょう。
「ニワトリのレバー」
ニワトリのレバーには、100gあたり232μgのビオチンが含まれています。この他にはビタミンA、B1、鉄、葉酸なども豊富で、妊婦に必要とされる栄養がギュッと詰まっていますから、より良い栄養補給のために役立てていけます。
栄養価が高く、低カロリー高たんぱくというとても優れた食品ですが、レバーという特性もありなかなか好んで食べることができないといった問題もあります。
しかし毎日の食事に取り入れていく必要は無いので、1週間の献立の中に上手く取り入れていくなどしてみてください。
炒め物などにすれば独特の味や食感も軽減されるため、美味しく食べることができます。
「からし」
からしには、100gあたり158μgのビオチンが含まれています。ビタミンB1、B2も豊富に含んでおり、エネルギー代謝の促進や疲労回復、新陳代謝の活性化、皮膚の健康などに効果が期待できます。
ナイアシンやカルシウム、鉄、マグネシウムなどのミネラルも豊富に含んでいるので妊婦にはおすすめの食品ですが、量を食べられるものでは無いため、これでビオチンを補っていくというのは難しいでしょう。
しかし毎日の調味料として少しずつ食べるだけでも健康維持に繋がりますから、献立の中に上手く取り入れてみてください。
納豆やウインナー、とんかつなど、比較的色々な食品と相性が良いので利用しやすいです。
「豚の腎臓」
豚の腎臓には、100gあたり100μgのビオチンが含まれています。葉酸、パントテン酸、鉄、ビタミンB1、B2、B6など非常に栄養が豊富であり、これらは妊婦に必要な栄養でもあるため非常におすすめです。
しかしコレステロールが高い、臭みがあるなどクセの強い食品であるため、日常的な利用はなかなか難しいです。
手に入れやすいかといった点においても珍しい食品であり、あまり目にすることはありません。しかしスーパーなどでは豚マメといった名前で販売されているので、見かけた場合にはぜひ手に取ってみてください。
トマト煮込みや山椒風味和えなどがスタンダードな調理方法です。
妊娠中は摂り過ぎや過剰摂取を避けるように
妊娠中に不足しがちな栄養素や摂った方が良い栄養素というのは、意識して摂取を心がけていきたいものです。
しかしビオチンにおいては、普通の食生活を送っていれば目安とされる量を充分補える、妊娠中の過剰摂取は胎児の成長や出産にリスクを与えるものであるため、摂り過ぎないようにも気をつけていかなければなりません。
妊娠中はあまり意識してビオチンを摂ろうとすると、過剰摂取に繋がりがちです。そのためあまり含有量が多いものを摂らない、頻繁に摂り過ぎないように注意していきましょう。
特に妊娠に必要な栄養を補うサプリメントなどを利用する場合には、高確率で充分な量のビオチンが含まれています。
これに加えて食事での摂取を意識していくと必要以上に栄養を摂り過ぎ、胎児への影響が出てくることもかんがえられますから、そういったことが無いよう努めていってください。
ビオチンの1日の摂取目安量は妊婦・授乳中においても18歳以上の男女の基準である50μgと変わりありませんから、基本的には「不足しないように」という心がけて摂っていければそれで充分です。
また体内でも合成される栄養なので、腸内環境を整えることなどにも気を遣っていきましょう。
サプリで摂る必要はないのね。
普段からビオチンは十分に摂れているから、不足しないように気をつけていればわざわざサプリからは摂る必要がないのじゃ。しかし、食事バランスが偏っているのであれば、サプリも考えるのじゃぞ。
まとめ
ビオチンは肌や粘膜の健康を保つと共に、妊娠中に欠乏することで胎児の形態形成に影響が懸念されますから、不足することが無いよう必要な量をしっかり摂っていかなければなりません。
しかし、摂り過ぎてしまうこともまた胎児の成長や健やかな出産に影響が出てくるので、摂り過ぎにも気をつければいけないという難しい問題があります。
ただ、ビオチンは普通の食生活を送っていれば、不足することも摂り過ぎる心配もほとんどありません。不規則な生活習慣や乱れた食生活が続くといったことがなければ基本的に過不足を気にすることは無いので、この点についても心得ておきましょう。
正しい量のビオチンを摂っていくためには、規則正しい生活習慣と栄養バランスの摂れた食事を維持できればそれで充分です。
しかし現代においてはこの基本を維持することが難しく、特に妊婦においては体調の変化による影響も受けやすいですから、当たり前のことを当たり前にできる努力をしていけるようにしましょう。
どうしても食事では不足しがちというのであれば、葉酸サプリメントを利用するのが一番です。葉酸サプリメントであればほぼ間違いなく不足しがちなビオチンが含まれていますし、効率良く摂取することもできますから、これを賢く活用してみてください。
- ビオチンとは皮膚や粘膜の健康維持に欠かせない栄養素
- 妊娠中・産後・赤ちゃんにとって欠かすことができない
- 湿疹やアトピーのリスク減に期待できる
- 不足すると皮膚に症状が現れる
- 基本的には不足する心配はない
- ミルクアレルギーの赤ちゃんと妊娠中の偏食は欠乏に注意
- 妊娠中の過剰摂取には要注意
- 葉酸サプリでビオチンを摂取するのがおすすめ