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男性が葉酸を摂る必要性は?染色体異常の予防には科学的根拠なし!

男性が葉酸を摂る必要性は?染色体異常の予防なら科学的根拠はない!

妊娠を計画している、妊娠中の女性が注目する「葉酸」ですが、実は男性にとっても注目されていることをご存知でしょうか。

男性が葉酸を摂取すると「染色体異常」の予防に役立つといわれているのです。健康な赤ちゃんのためにもできることはしておきたいですよね。

そこで今回は染色体異常とは何なのか、葉酸が本当に予防できるのか、男性に葉酸は必要なのかなど解説していきます。

 

染色体とは?染色体異常ってどんな病気?

葉酸を摂取すると染色体異常の予防に期待できると言われていますが、そもそも染色体、染色体異常を知らない方もいると思います。

また、知っていたとしても染色体、染色体異常について、いざ考えてみるとどのようなものか分からない難しい言葉です。

そこでまずは「染色体」と「染色体異常」について解説していきます。(参照:放射線医学総合研究所「染色体の基礎知識」)

染色体とは

私たち人間を含む生物はたくさんの細胞からできています。細胞ひとつひとつには核が存在し、その核には生物の形や生きていくための情報が入っています。

その核の中に存在しているのが染色体です。染色体は通常見ることができないものですが、細胞分裂によって新しい細胞が生まれるときに、特殊な薬品で染めると顕微鏡で確認することができるようになります。

染色体は核の中に複数個で存在しているのですが、多くは2本で1つのペアとなっています。2本の内1本は母親、もう一本は父親から受け継いだものです。

人間の染色体の数は23組46本となっています。そのうちの1組には「性染色体」という性別を決めるXとYの染色体が存在します。

ここでワンポイント2本どちらもX染色体なら女性に、XとYの異なる染色体なら男性になります。

染色体異常とは

生物の形や生きていくための情報、性別を決める染色体が何らかの原因(放射線や喫煙など)によって46本の数や形が変わってしまうことを染色体異常といいます。

染色体異常の原因は放射線や喫煙などの後天的なもの以外にも、生まれつき染色体に異常を持っている先天的なものがあります。

染色体異常には染色体の数が減った「モノソミー」や、数が1つ増えた「トリソミー」、など様々な種類があります。

染色体異常の種類が多い分、染色体異常が原因の病気も多く、その数は数十種類以上だと考えられています。

その中には流産やダウン症などがあります。自然流産の約半分は染色体異常が原因だと言われています。流産や死産を回避して出産にたどり着けたとしても病気や障害を持っていることがほとんどで、それらと向き合わないといけません。

注意してね!ダウン症は両親の年齢が上がれば上がるほど、発生頻度が上昇していきます。これは精子と卵子などの生殖細胞が作られる過程でミスがあり、受精卵が染色体異常となってしまいます。

男性が葉酸を摂ることで染色体異常を予防できる?

葉酸について調べてみると葉酸を摂取することで染色体異常を予防することができるような書き込みを見たことがあると思います。

まず、染色体異常を予防することができるかどうかですが、染色体異常は起きる原因が分かっていないため、完全な予防というのは残念ながらできません。

では、男性は葉酸を摂る必要がないのかというとそうではありません。

カリフォルニア大学のバークレー校が行った研究によると「葉酸は異常な精子、遺伝的異常を持つ子供を産み出さない可能性がある」と発表しました。(参照:Folate intake linked to genetic abnormalities in sperm, says new study)

この研究は健康な男性97名を対象に行ったものです。喫煙者、過去・現在で生殖障害になった人は対象から外れています。男性の年齢は22歳~80歳までとなっています。

年齢や飲酒、病歴などの要因を考慮した結果、葉酸摂取量が最も多い男性は、葉酸が最も少ない人よりも異常な精子の割合が19%低いことが分かりました。

しかし、一部の研究者たちは、この研究に対して「葉酸が精子の質を向上させているとは証明できていない。もっと多くの作業が必要だ」という意見も出ています。

調査した人数が少ないことなどから、まだまだ葉酸が関係しているのかどうか分からないのが現状です。

しかし、この研究によって男性の食生活を改善すれば、健康な子供の発達に関与している可能性があることが分かりました。

これまでは食生活の改善といっても曖昧なところがあったのですが、この研究によって大きく変わりました。今後さらに研究が進んで調査結果が確認されれば、日本の葉酸の推奨摂取量も変わるかもしれません。

この研究から私は男性も葉酸を摂取しておいたほうが良いと考えます。

完全に結果が出ているわけではありませんが、葉酸の摂取量による精子の質の差は出ていますし、何よりも摂っておいて得はあっても損はないと思います。

葉酸摂取している人のほうが良い結果出ているのにダメなんだね。

そうじゃ。研究と調査にしてはまだまだ人数が少ないから確定できないのじゃ。

男性が摂るべき葉酸の摂取量

女性の葉酸摂取は妊娠前~産後まで厚生労働省がプラスして摂ることを推奨しています。では、男性は一体どれだけ摂ればいいのかというと「240μg」です。

厚生労働省が発表している「食事摂取基準2015年版」によると18歳から男性は240μg摂取することが推奨されています。女性のように妊娠を考えているからといってプラスして摂ることも書かれていません。

そのため、何度も言いますが男性が推奨されている摂取量は「240μg」です。ただ、そもそも普段どれだけ摂れているか分かりませんよね。

普段が分からなければ、どれだけ摂ったらいいのか分かりませんし、続けづらいですよね。そこで次に普段の摂取量を確認してみましょう。

普段から葉酸はどれだけ摂れているのか?

推奨摂取量の「240μg」は普段の食事で足りているのか厚生労働省の「平成28年国民健康・栄養調査の結果」から確認してみましょう。

20歳~29歳 244μg
30歳~39歳 251μg
40歳~49歳 262μg

調査結果を確認してみると20代~40代まで全て推奨量を満たすことができていました。ただ、これはあくまで平均です。

葉酸は緑黄色野菜に含まれているので、普段の食事で野菜をあまり食べない人は推奨摂取量を満たせていないかもしれません。

調査結果と推奨量を見てもらえば分かるとおり、摂取量がギリギリです。そのため、食事で野菜を食べない人は葉酸の摂取を意識したほうがいいでしょう。

男性は葉酸サプリを飲む必要性は特になし

先述したとおり調査結果によると男性は推奨摂取量を満たすことができているので、葉酸をサプリで摂る必要はありません。

ただし、これは普段野菜を食べて栄養バランスを気にしている人だけです。野菜を食べていない人は葉酸が足りていない可能性があります。

そのため、野菜を食べていない人は葉酸サプリを摂取したほうがいいでしょう。それか野菜を毎日食べるようにするのであれば、葉酸サプリを摂らなくても大丈夫です。

むしろ、野菜を食べるなど食品から葉酸を摂取することをおすすめします。

女性の場合は葉酸を倍以上摂取しないといけませんし、つわりなどから食べることが困難なので簡単に飲める葉酸サプリを推奨しています。

しかし、男性の場合は倍以上摂る必要もありませんし、つわりなどの心配もないので食事でも十分に摂ることはできます。

何よりも食事から摂取する分には過剰摂取の心配がありませんので安心です。食品から吸収する葉酸は摂りすぎても尿の中に溶けて排出されるので過剰摂取になりません。

そのため、食事から葉酸を摂取することをおすすめします。野菜が大嫌いなのであれば葉酸サプリを頼ることも考えましょう。

野菜をたくさん食べてもらわないといけないんだね。

男性が葉酸を過剰摂取した場合の5つの危険性

食品からの葉酸の摂取は過剰摂取になることはほとんどありませんが、葉酸サプリを飲みすぎると過剰摂取になる可能性があります。

葉酸の過剰摂取による症状は以下になります。(参照:国立健康・栄養研究所「葉酸」)

  • 発熱
  • 蕁麻疹(じんましん)
  • 紅斑
  • かゆみ
  • 呼吸障害

葉酸を「1mg~10mg」摂取すると上記の症状がでるといわれています。またそれ以外にも、ビタミンB12を不足したときにでる症状を隠したり、亜鉛の吸収率を悪くする可能性もあります。

ただ、亜鉛は1日に「5mg~15mg」の葉酸を摂取しなければ影響はない報告されています。

厚生労働省が定めている男性の耐容上限量は18歳から29歳は「900μg」、30歳~49歳は「1000μg(1mg)」となっています。

注意してね!1日摂取量を超えたからといってすぐに過剰摂取になるわけではありませんが、何日も続くと危険です。用法用量さえ守れば越えることはほとんどないので量を守るようにしましょう。

もし男性が葉酸摂取するならいつから始めるべき?

妊娠のために葉酸を摂取するのであれば、妊娠を計画した段階から摂取するといいでしょう。特にいつからというのは決まっていません。

ただ、妊娠してから葉酸を摂っても意味がないとは言えませんが、一番の目的である妊娠することができたのなら無理して摂らなくてもいいでしょう。
いつでも良いのですが、妊娠を計画したときに摂取し始めるのが一番無難でしょう。

葉酸サプリを飲むタイミングですが、食品として扱うので基本的に何時に飲もうが問題ありません。

一応飲むとしたら消化と吸収が最も盛んな昼と晩のどちらかに飲むのをおすすめします。回数を分けて飲むと1回の消化と吸収の負担を減らすこともできますよ。

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男性におすすめは亜鉛配合の葉酸サプリ

男性におすすめの葉酸サプリは「亜鉛」が含まれているものです。亜鉛とはミネラルの一つで免疫力の向上など健康を維持するためにも必要栄養素です。

亜鉛は男性ホルモンや精子にも大きく関わっているため、不足すると勃起障害(ED)になってしまう可能性があります。

亜鉛の吸収は添加物によって阻害されやすいのでカップ麺などのインスタント食品やファストフード、市販の惣菜を食べ過ぎないようにしましょう。

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ここでワンポイント亜鉛は牛やチーズ、いわし、まいたけなどに多く含まれています。

まとめ

以上、男性が葉酸を摂取すると染色体異常を予防できるかについて解説しました。

染色体異常は起きる原因が分かっていないため葉酸を摂取しても予防することは難しいといえるでしょう。

ただ、完璧ではないとはいえカリフォルニア大学の研究結果から葉酸を摂取してみる価値はあると思います。

厚生労働省の情報によると基本的に男性は推奨摂取量を満たすことができていたので、葉酸サプリを飲む必要はほとんどありません。

しかし、厚生労働省の情報はあくまで平均です。野菜を全く食べない人は葉酸を不足しているかもしれません。

男性の推奨摂取量は、基本的に葉酸サプリを飲まなくても満たすことができる量ですし、過剰摂取の心配があるので食品から摂ることをおすすめします。

ただ、どうしても野菜嫌いな人もいると思います。その場合は葉酸サプリを頼りましょう。おすすめの葉酸サプリは亜鉛が含まれたものです。過剰摂取に注意して飲んでください。

  • 染色体異常が原因で自然流産やダウン症が起きる
  • 染色体異常の原因は分かっていないため予防はできない
  • 葉酸を摂取している人とそうでない人で異常な精子の割合が19%も違う。
    ※葉酸が本当に関係しているのか分かっていない
  • 男性は葉酸の推奨摂取量を満たすことができている
  • 野菜を食べない人は不足している可能性があるため葉酸サプリを考える
  • 男性におすすめの葉酸は亜鉛を含んだサプリ